Episode 47
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先にリビングで先程の撮った画像を見ていた凛とキュラソーが、リビングにやって来た風見が死にかけている事に気付いて首を傾げた。
「風見さん、どうしたんですか?
魂が抜け掛かっているような気がしますけど・・・」
「凛は何も心配しなくていいさ。」
降谷は当たり前のように凛の隣に腰掛けると、ソファは狭くなった。
ソファの背凭れ部分に手を回し、凛に見えないところでキュラソーに向かってシッシッと手を振る。
その降谷の行動を見ていたキュラソーは、眉根を寄せて小さく舌打ちを漏らすと、腰を上げて風見が腰掛けていた方のソファの隣に座った。
隣に座った降谷に、凛が嬉しそうにスマホを見せた。
「見て見て!」
「ん?」
「この零、すっごく可愛い!」
凛はキュラソーから先程の画像を送ってもらったのだろう。
至極ご満悦の表情で写真を見ていた。
降谷もスマホを取り出すと、先程風見に送ってもらった画像を見る。
「どの凛も可愛い。」
「えーっ、1番は?」
「選ぶのが難しいな・・・
俺にとっては、どの凛も1番だからな。」
その降谷の言葉に、凛はキュンとする。
さらにその降谷と凛を見ていたキュラソーと風見は、もはやこの光景に見慣れてるのか静かに紅茶に口を付けていた。
しばらく先程の縮み薬について盛り上がっていた4人だったが、気が付けば時刻が0時を回っていた為、降谷と風見は帰って行った。
風呂から上がってきたキュラソーは、リビングのソファに膝を抱えるようにして座っていた凛が首を傾げている事に気付いた。
「凛、どうしたの?」
「んー・・・さっきから何度も暗証番号入力してるのに、ロックが解除されないの。」
その彼女の隣に腰掛けたキュラソーは、凛の手の中にあるスマホ画面を見た。
凛のスマホは白色だ。
キュラソーは先程の光景を思い出した。
撮った画像を見た後、ソファの前にあるローテーブルの上に置かれていた凛と降谷のスマホ。
(・・・確か、バーボンのスマホも凛と同じ機種で同じ白だったわよね。)
「・・・凛、そのスマホの暗証番号・・・凛の誕生日じゃない?」
「んー?私、変えてないよ?」
「まぁまぁ・・・
1度やってみて。」
凛は首をひねりながらも自身の番号を入力する。
すると、ロックは解除されてホーム画面が映し出された。
その瞬間、凛の目が大きく見開かれて一気に顔を赤らめた。
「なっっっ!?
何これ!?」
スマホのホーム画面に、凛の寝顔の写真が使われていた。
そのスマホを隣から覗き込んでいたキュラソーは、やっぱりね・・・と呟いた。
「凛、そのスマホ・・・バーボンのよ。」
もはやスマホのホーム画面に設定されていた写真に、降谷は本当に公安警察なのかという疑問はキュラソーの口から出なかった。
「えぇ!?
どうして零のーーーー」
凛はハッとして顔を青ざめさせた。
「待って!
じゃあ、零が私のスマホを持って帰ってるって事よね!?」
「そういう事になるわね。」
「ヤバいヤバいヤバい!
零に隠し撮りがバレる!」
凛は急いでソファから立ち上がると、降谷のスマホ片手に姿くらましで消えた。
安室名義のマンションに帰宅した降谷は、寝室にあるベッド横に背中を預けながらスマホの電源を入れた。
ロック画面にいつもの暗証番号を入力するが、ロック解除はされなかった。
「・・・あれ。」
もう一度同じ暗証番号を入力するも、変わらずロックは解除されない。
「・・・あ、もしかして間違えて凛のスマホを持ち帰って来てしまったのか。」
顎に人差し指を添えて考えた降谷は、なんとなく自身の誕生日を入力してみた。
するとあっさりロックは解除され、ロック画面からホーム画面に変わった。
「ーーーーっ!?」
ホーム画面を見た降谷は目を大きくした。
そのホーム画面には、降谷が凛のマンションの洗面所でラフなルームウェアに着替え、上のシャツの端を口に軽く咥えて持ち上げてズボンの紐を結んでる姿を撮った写真が使われていた。
上のシャツを咥えて持ち上げている事で、しっかりと腹筋は写っているし、ボクサーパンツの一部分もしっかり写っている。
ちょうど目元辺りに光が反射して顔の半分は隠されているが、それは間違いなく自分の姿だった。
「こんなのいつの間に撮ってたんだ・・・」
降谷は左手で口元を覆い隠しながら微笑むと、画面下に並ぶアイコンの中に数字の "0" と記されたものがある事に気付いた。
「何のアプリだ?」
降谷はその "0" と記されたアイコンをタップしてみると、そこにもロックが掛かっていた。
再び考えた降谷は、凛の誕生日を入力してみる。
しかしロックは解除されなかった。
「んー・・・
彼女の両親か友人に関する数字・・・」
記憶する限りの数字を打ち込んでみるが、どれも当たりではない為ロックは解除されない。
ふと、降谷は凛と初めて出逢った日が頭の中に浮かんだ。
その日付を入力すると、今度はロックが解除された。
「なーーーーっ!」
降谷は再び目を大きくした。
なんとロック解除したそのアプリは、画像フォルダだったようだ。
問題はそのフォルダの中身だ。
ザッと見る限り、フォルダの中身はすべて降谷の画像だった。
警察庁でコーヒー缶片手に一息ついてる写真。
同じく警察庁で凄まじい速さでキーボードを叩いている写真。
警察庁の屋上の手すりに背中を預けて空を見上げてる写真。
バーボンとして取引相手に銃口を向けている写真。
バーボンがベルモットと並びながら何かを話している写真。
いつ撮られたのかもわからない画像で埋め尽くされたフォルダの中身に、さすがの降谷も呆然とする。
その時、近くでバシッ!と姿現し特有の音が聞こえた。
視線をその音の出処へ向けると、そこには心底焦った表情の凛が居た。
「零っスマホ間違えてるぁああああ!?」
安室名義のマンションの部屋の中に姿現しをした凛は、目の前で自分のスマホのロックを解除し、さらに降谷を盗撮しまくった画像が保存されているフォルダを開かれている事に目を飛び出させた。
「ちょ!まっ!!
返して!!」
凛はすぐさま降谷の右手に持たれているスマホを奪おうとした。
しかし降谷がひょいっとスマホを持っていた手を遠ざけた事によって、凛は彼の太腿の上にダイブする羽目となった。
勢いよくダイブした事によって、顔面が降谷の太腿に強打した。
「いたたた・・・」
凛がぶつけた顔面の痛みに顔を顰めながら降谷の顔を見上げると、彼の頬は何故か赤く染まっていた。
無言のままでスマホ画面を向けられ、そちらに視線をやれば、そこには降谷がベッドの上で寝ている写真が映し出されていた。
その彼は素っ裸だ。
もちろん下半身にはちゃんと布団が掛けられているが。
見せられた写真に、凛の顔が茹でダコの如く赤くなる。
「・・・俺の裸。」
「そそそそそそそそれは、以前事後に零が珍しく寝落ちした時のっっっっっっ!」
ふはっと破顔させた降谷は、自身の膝に顔を埋めている凛の脇に両手を入れて持ち上げると、膝の上に跨らせて抱きしめた。
「君は本当に俺が好きなんだな。
スマホの暗証番号は俺の誕生日だし、ホーム画面は俺だし。」
自身の胸元に顔を埋めながら嬉しそうに話す降谷に、凛はむうっと頬を膨らませる。
「何よ。
零だって暗証番号が私の誕生日だし、ホーム画面も私の寝顔じゃん。
公安警察として、それどうなのよ。」
「だって俺は凛の事愛して止まないからな。
いつでもどこでも君を見ていたいから仕方がないさ。」
その言葉に、凛はドキリと胸を高鳴らせた。
そして自身の胸元に顔を埋めている降谷の後頭部に腕を回してギュウギュウと抱きしめる。
「うっ・・・嬉しいけど、ちょっと苦しい。」
凛の胸に顔面を押し付ける形となった降谷は、彼女の豊満な胸の弾力に喜びを感じると同時に息苦しさに制止の声を上げた。
「零が私ばかりにドキドキさせるからお仕置です!」
「んー?
これはお仕置なのか?
ご褒美の間違いじゃないか?
・・・凛、ブラ着けてないだろ?」
その言葉で、凛はハッとした。
そう・・・彼女は風呂上がりすぐには何も着けない為、今はノーブラ状態だった。
つまり、今自身の胸に顔面を押し付けている降谷は、何にも守られていない凛の胸を薄いTシャツ越しに感じているという事だ。
「あー・・・やっぱ離れようか。
零が肉の塊で圧死したら大変だ。」
凛がギュウギュウと抱きしめていた降谷の頭から手を離した瞬間、自身の腰に回されていた降谷の腕に力が込められた。
「・・・お仕置、なんだろ?」
情欲に彩られた瞳で見上げられながら服越しに胸の頂きを軽く噛まれた凛は、ビクッと腰を揺らした。
「・・・んっ、待って・・・」
「待てない。
俺を煽った凛が悪い。」
ーーーーーーーー
「貴方のご主人様は、バーボンに捕まってしまったようね。」
『ホゥ・・・』
「今度は抱き潰さないで欲しいわね。」
キュラソーはライの背中を指の背で優しく撫でながら、開け放たれたベランダの窓から入る少し寒いくらいの夜風を浴びた。
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