Episode 45
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ここ最近、兄貴の様子がどうもおかしい。
数週間前もーーーー
「兄貴・・・どうしたんですかィ?」
「いや・・・」
「ポアロ・・・あぁ、バーボンに何か用ですかィ?」
「バーボンなんざに用はねぇよ。」
あの時の兄貴は明らかポアロを見ていた。
俺も視線をポアロに移せば、そこには肩に着くくらいの黒髪にヘーゼルカラーの目をした女が、店先を掃除しているだけだった。
てっきり俺はバーボンに何か用があるもんだと思ったんだが・・・
その後に何故か兄貴に鋭い目付きで睨まれた。
この前もーーーー
「あっ兄貴!!前!!」
「ーーーー!?」
ドガシャアアアアアン!!
「ーーーーチッ。
ウォッカ・・・車を修理に出しておけ。」
あの時も兄貴は運転しながら前を見ずにポアロの方を見ていた。
極め付けに、さっきはーーーー
「兄貴!
そろそろ煙草がきれるかと思って買ってきやしたぜ!」
「まだ残ってる。」
「へい!残ってーーーーえぇ!?
どっどうしたんですかィ!?」
「何がだ。」
「煙草・・・吸わなくなったんですかィ?」
「・・・ウォッカが気にする事じゃねぇ。」
あのヘビースモーカーである兄貴の煙草の減りが、明らかおかしい。
確実に本数が減っている。
これは一体どういう事なんだ?
クソッ、俺じゃ考えてもわかんねェ・・・
誰かに相談をーーーーおっ、あそこに居るのはバーボンじゃねェか。
バーボンならポアロに潜入してるし、色々と知識が豊富だから何かわかるかもしれねェな。
「おい、バーボン。」
「あぁ、ウォッカ・・・どうしましたか?」
「ちょっとお前に聞きたい事があるんだがよ・・・
最近、兄貴の様子がおかしいと思わねェか?」
安室はその言葉に目を瞬かせた。
「ジンが?
どのようにおかしいのですか?」
「明らかポアロを気にしてるんだよ。
しかも煙草を吸う本数が格段に減っている。」
ウォッカの言葉に、安室は思わず口の端を引き攣らせた。
「確か・・・お前が潜入してるポアロに、髪が黒色で目の色がヘーゼルカラーの女のウェイターが居たよな?」
「・・・それが何か?」
「まさか・・・兄貴、その女のウェイターに・・・
こっ恋を・・・!?
こうしちゃ居られねぇっ!
すぐにでもその女のところへ行って、兄貴との関係が上手く行くようにしねェと!」
安室はワタワタとしているウォッカの肩に、ポンッと両手を置いた。
「ウォッカ・・・」
「なっなんだ?」
「僕はそんな事より、彼の煙草の本数が減っている事の方が気になります。
どれくらい減ってるんですか?」
「どれくらいって・・・
前までは1週間で1カートン消費するくらいだったのが、今では1週間で3箱消費だ。」
その言葉に、安室は再び口元を引き攣らせた。
ふぅ・・・と小さく息を吐いた安室は、オドオドとしているウォッカを眉を下げて見た。
「・・・それは心配ですね。
ウォッカ・・・これは大変な事になってる可能性がありますよ。」
「なっなんだと!?
兄貴の身に何があるってんだ!?」
「1週間で1カートン消費していたジンが、1週間でたった3箱・・・
これは彼の肺に確実病魔が潜んでいる可能性がありますね・・・」
「びょっ病魔!?」
「そう、例えば・・・癌、とか。」
安室の言葉に、ウォッカの顔色はサッと青くなった。
「が・・・癌!?」
「それもこの短期間で、そこまで本数を減らしたという事は・・・
結構手遅れなのかもしれません・・・」
「あっ兄貴ィィィィィィィィィッ!」
血相変えてジンを捜しに向かったウォッカの背中を見送りながら、安室はフッと口の端を持ち上げた。
(・・・危なかったな。
これでウォッカの頭から凛の事は綺麗さっぱり抜け落ちただろう。)
黒い笑みを浮かべた安室は、その場を後にした。
ーーーーーーー
「兄貴!
見付けやしたぜ!」
「うるせぇぞ、ウォッカ。
何事だ。」
「兄貴!煙草!煙草はなんで吸わねェんですかィ!?
今までの兄貴は息を吸うかのように、煙草を吸ってやしたよね!?」
「あ?
・・・別に深い意味はねぇよ。
ただ・・・その内禁煙する為に本数減らしてるだけだ。」
「きっ禁煙!?」
「それの何が問題ってんだ。」
「兄貴ィィィィッ!
お願いしやす!
今すぐ病院へ行って、精密検査受けに行きやしょう!?
ね!?ね!?俺も一緒に行きやすから!!」
「あ?
ウォッカ・・・お前さっきから何言ってやがる。
疲れてんなら、さっさと帰れ。」
