Episode 45
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
黒猫凛が綺麗にすべてを食べ終えると、安室は部屋から出て行ってしまった。
その彼を黒猫凛は激しく鳴いて呼び止めようとしたが、困ったように眉を下げて微笑んだ安室に頭をひと撫でされて出て行かれた。
その後ベルモットたちも出て行ってしまい、今現在この部屋に残るのはジンと黒猫凛だけだ。
(くすん・・・零に放ってかれた。
そりゃ零も私のアニメーガスを知らないから、仕方がない事なんてわかってるけど・・・
切ない・・・)
黒猫凛が床の隅で丸まってべそをかいていると、視界に革靴が入った。
その革靴の主を見上げると、ジンが黒猫凛の傍に片膝を着いて見ていた。
一体彼はどうしたのだろうか。
黒猫凛は首を傾げながらジンの目を見つめた。
「・・・大丈夫か?」
掛けられた言葉に、ますます首を捻る。
「・・・どこか具合でも悪いのか?」
黒猫凛が床の隅で丸まって静かにしていたのが気掛かりだったのだろう。
組織一冷酷非道と言われているジンだが、このように優しい一面も持ち合わせている。
心配を掛けてしまった事を詫びるように、近くにあったジンの指をペロリと舐めた。
すると、ジンは指の背で優しく黒猫凛の眉間を撫でた。
「・・・お前はアイツに似ているな。」
その言葉に黒猫凛はピクリと反応を示した。
ジンにその言葉を言われたのはこれで二度目だ。
("アイツ"って誰だろ?)
ジンは黒猫凛の眉間を優しく撫でながら続けた。
「アイツは・・・お前のように黒い髪に、ヘーゼルカラーの目の色で・・・煙草が苦手だ。」
そこまで言うと、彼はフッと小さく笑った。
「・・・俺は猫相手に何言ってんだか・・・」
ジンは立ち上がると、部屋から出て行った。
黒猫凛が自由に出て行けるようにだろう。
その部屋のドアは、完全に閉まっておらず少し開けられたままだった。
部屋に残された黒猫凛は、先程のジンの言葉を脳内で繰り返していた。
そして彼の言葉の意味に気付き、ハッとする。
(さっきのって・・・まさか陣さんの好きな人の話!?
わぉっ冷酷非道と言われた彼も好きな人が居るのね!?
しかも陣さんの表情から察するに、絶賛片想いっぽいぞ!?
これはこの凛さんが一肌脱いであげましょう!!)
黒猫凛はさらなる情報を求めて、僅かに開かれたままのドアから廊下に出た。
そして盗める情報がないか建物内を探りつつ、ジンの恋を実らせる為の情報を聞き出せそうな人物が居ないか捜す。
すると、廊下の先を歩く安室の後ろ姿を見付けた。
黒猫凛はすぐさまその安室の背中を追い掛けた。
「にゃあ!(バーボンさん!)」
鳴き声に振り向いた安室は、黒猫凛を見付けるとフッと微笑みながらその場に片膝を着いた。
「どうしたんだい?
もうご飯は持っていませんよ。」
「にゃー・・・にゃにゃ!(そうじゃなくてー・・・こっち来て!)」
黒猫凛は安室の袖口に穴を空けないよう気を付けて咥えると、近くにあった空き部屋に誘導した。
その行動の意味がわかった安室は、黒猫凛をひょいっと抱き上げた。
「こら・・・勝手に部屋に入っちゃダメだーーーー」
「バーボンさん!」
その瞬間、安室の腕の中に居た黒猫が人間の凛の姿に戻った。
突然腕の中に居た黒猫が凛の姿に変わった事に、安室は目を大きくした。
そして自身の背後で開け放たれたままのドアをすぐさま閉めて鍵を掛けた。
「ーーーーなっ!?
何故、君がここに居るんですか!?」
小声で凛に話し掛けた安室に、慌てながら経緯を説明する。
「いやっ、ここに私が居るのは本当に偶然!
帰り道の路地でたまたま陣さん見掛けて・・・
アニメーガスで彼の様子探ってたら、まさかのここに連れられて来ちゃったのよ!」
凛の言葉に、安室は右手を額に当てて項垂れた。
「・・・まさかとは思っていましたが、本当に君だったなんて・・・」
安室の言葉に、凛は首を傾げた。
「どういう事?」
「ジンに任務時間変更を伝えに言った時、部屋に居た君の瞳を見て・・・
何故だか目が離せなくなったんです。
黒猫であるハズなのに、その黒猫がどこか凛のような気がして・・・」
「わぁ、さすがバーボンさん~。
私のアニメーガスもすぐに見破れるなんて、カッコイイ!」
「僕がお腹を撫でただけで、やたらと鳴いて身体をヒクつかせていたのも凛のような気がして・・・
それに僕に擦り寄る姿も凛にしか見えなくて・・・」
「・・・それは、その・・・色々すみません。」
凛は そんな事より!と安室の腕を掴んだ。
「バーボンさんは陣さんが恋してる相手について知ってる?」
凛から言われた言葉に、安室はビシィッと固まった。
「・・・何故、君が彼の想い人について知りたがるのですか?」
「さっきの部屋に居た時にね・・・
陣さんに私の眉間を撫でられてたんだけど・・・」
「・・・はぁ?」
「・・・ほら、私猫だったからね。」
「あぁ・・・」
「その時に、陣さんが私を見ながら"お前はアイツに似てる"って言ってて・・・
その後に"お前のように黒い髪に、ヘーゼルカラーの目の色で煙草が苦手"って、愛しい人を見るような目付きで、でもどこか少し寂しそうな顔で言ってたの。
その陣さんの表情から片想い中なのかなって。
だから隙あらば、陣さんのその恋が成就出来るようにお手伝いしよかなぁと思って。
良ければバーボンさんも一緒に応援隊に入らない?」
安室は腕の中で可愛らしい笑顔で話す凛に、頭を鈍器で殴られた気分になった。
何故、凛はジンにそこまで言われているにも関わらず、その想い人が自分であると気付かないのか。
何故、自分が自分の彼女である凛を、ジンと付き合えるように支援せねばならないのか。
安室は非常に頭が痛くなってきた。
「・・・すみませんが、僕はその応援隊とやらには参加出来そうにありません。
というより、ジンの恋の成就など願っていませんし・・・成就など絶対にさせたくありません。」
「そんな酷い事言わなくても・・・
もし彼の恋が上手くいけば、陣さんも人を殺める事がなくなるかもじゃん。」
眉を下げて話す凛に、安室はグッと奥歯を噛み締めた。
「なら教えてあげますよ。
アイツが好意を寄せている人物は、僕の何よりーーーー」
その時、この部屋のドアを荒々しく叩く音が響いた。
凛は慌てて人間の姿から黒猫の姿に変えた。
それを確認した安室は部屋の鍵を開けた。
鍵を開けたと同時に乱暴にドアが開け放たれ、ドアの向こう側にはジンが立っていた。
ジンは部屋の中で安室と一緒に居た黒猫凛の姿に視線を移した瞬間、鋭い目付きで安室を睨み付けた。
彼はその身に纏った殺気を微塵にも隠そうとしない。
「・・・テメェ・・・この部屋に鍵を掛けて、その猫に何してやがった。」
「別に何も。」
人を射殺せる程の目で安室を睨み付けながら、ジンは部屋の中に入ってきた。
そして床に座っていた黒猫凛には優しい目付きで見下ろしながら抱き上げ、大事そうに自身の懐へ入れた。
そのジンの行動に、安室が目を大きくする。
そして部屋を出て行こうとするジンを、慌てて呼び止めた。
「その黒猫をどうするつもりですか?」
「テメェには関係ねぇよ。」
ジンはそれだけ言うと、部屋から出て行ってしまった。
残された安室は、やり場のない怒りを思わず壁に向かってぶつけた。
ガンッ!と激しい音が部屋の中に響いた。
(クソッ!
彼女のあの魔法がジンにバレる事はないだろうが、ジンは間違いなくあの黒猫を凛と重ねて見ている!)
安室は奥歯を強く噛み締め、眉根を深く寄せた。
その時、この部屋の前をたまたま通り掛かったベルモットが、室内で壁に拳をめり込ませて俯いている安室の姿を見付けた。
「ちょっとバーボン、何してるの?
壁に穴を空けないでちょうだい。」
安室はベルモットを無視すると、すぐさま部屋を出てジンの姿を追い掛けた。
安室が早足で廊下を歩いていると、視線の先にウォッカの姿を見付けた。
「ウォッカ!」
振り返ったウォッカは、首を傾げて安室を見た。
「ジンは何処ですか!?」
「兄貴ならついさっき帰ったぜ?」
「なーーーーっ!?
猫は!?黒猫は何処に!?」
「あぁ・・・
あの黒猫なら、確か兄貴の懐に入っていたな・・・」
安室はその言葉に絶句し、すぐさま建物の正面玄関へと向かった。
その姿を見送ったウォッカは首を傾げた。
「・・・アイツも猫が好きなのか・・・」
ウォッカの呟きは誰の耳にも入らなかった。
