Episode 4
夢小説設定
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(忘却呪文だと?
それは後で聞くとして、まずは・・・)
「神崎さん、ゆっくりで構いません。
僕に話してくれませんか?
これは一体何でしょうか。」
安室は凛から奪った杖を見ながら尋ねた。
凛は話すべきなのか悩み、キュッと口を一度キツく閉じた。
そして意を決したように頷くと、恐る恐る口を開いた。
「・・・それは、私魔女が持つ杖です。」
凛の言葉に、安室は小さく溜息を漏らした。
「神崎さん・・・
嘘をつくなら、もっとマシな嘘はつけないんですか?」
「うっ嘘じゃありません!
本当に私たち魔族が持つ杖なんです!」
凛は右手を安室に向かって差し出した。
「私の手を握ってください!」
「そんな事をして何になると?」
「私が嘘をついていない事を証明出来ます!」
安室はその行動に呆れながら首を左右に振った。
「下手な芝居はやめてください、神崎さん・・・
この世界に魔法使いだの魔女だの存在するはずないでしょう?」
安室の微塵にも信じていない言葉に、凛は差し出した右手をギュッと握った。
信じてもらえない。
証拠を見せたくても拒否される。
なのに真実を話せと言われる。
冷静にならなければと頭ではわかっている。
わかっているが心が冷静になれない。
「ーーーーっ
だったら何と言えば信じてもらえるんですか!?
安室さんが話してって言ったから、私は話したのに!」
「神崎さんが真実を話してくださればーーーー」
「真実よ!
そもそも私はこの世界の住人じゃないのに、これ以上何を言えば貴方は信じてくれるのよ!!!」
凛は叫んだ。
叫んでから我に返った。
気付いた時にはもう時すでに遅く、安室は凛の言葉に険しい表情になっていた。
「・・・どういう事です?」
「ーーーーっ」
「神崎さん、教えてください。
貴女が先程話した、"この世界の住人じゃない"とは一体どういう事ですか?」
「わ、私は・・・」
凛は言い淀みながらも続けて言葉を発した。
「私・・・は、魔法界の住人です・・・」
安室は再び溜息を漏らすと、凛は慌てたようにさらに続けて口を開いた。
「嘘だと思うかもしれませんっ
でも・・・私は本当に魔法界の住人なんです。
本当に・・・私にとっては、これが真実なんです。」
「・・・仮にそうだったとしましょう。
なら貴女は何故ここに居るのです?」
凛はその言葉に、力無く頭を左右に振った。
「・・・わからないんです。」
「わからない?」
「私は魔法界で一度死んだんです。」
「貴女は生きてるじゃないですか。」
「でも本当に死んだんです!
魔法界で死んだと思ったら、次に目が覚めると生きていて・・・
そして私が居た世界とは別のこの世界に居たんです!」
凛から発せられる信じ難い言葉の数々に安室は頭を抱えた。
しかしあまりにもこれが事実である事を信じてと縋るような彼女の表情に、凛が嘘を付いているようにも見えなくなってきた。
「・・・ひとまず、貴女の話を最後まで聞きましょうか。」
「ありがとうございます・・・
私たち魔族は一人一人に合った杖が与えられます。
そして魔族にとって、命の次に杖が大切なんです。
杖があれば様々な魔法が使える。
だからその杖を奪われれば無力化されたも同然なので、相手のやりたい放題になってしまいます・・・」
「だから貴女は河川敷で目覚めた時、何よりも先にこの杖を探していたんですね。
先程も必死になって取り返そうとしていましたし・・・」
凛は頷くと、続きを話した。
「元の世界で私の実家が千葉にある事、生まれが日本で11歳まで日本で過ごしていた話も本当です。
日本円を持ち合わせていなかった私は、あの日安室さんに駅まで送っていただいた後、姿くらましで実家へ行こうとしました。」
「姿くらましとは?」
「姿くらましとは、"どこへ" "どうしても" "どういう意図で" この3つを意識する事で行う空間移動魔法の事です。
姿くらましは今居る場所から消える時に使う言葉で、逆に現れた時には姿現しと言います。」
「なるほど・・・
それで?」
「姿くらましが出来なかったんです。
確実に覚えているはずなのに。
何度も行った事のある場所なのに。
なので試しに安室さんと最初に出逢った河川敷へ姿くらましをすると、そこへは問題なく出来ました。」
その後、凛は守護霊を使っても魔法界と連絡が取れなかった事。
違う世界に居る事に気付き、途方に暮れてただ適当に歩いていると事故に巻き込まれそうになった事。
この世界に自分の出生記録などもちろんない事から記憶障害の診断を受け、警察の協力があって現在の戸籍を作ってもらえた事。
自分が魔女である事がバレた今、危険人物として再び排除されるのではないかという不安と恐怖。
すべてを安室に話した。
