Episode 4
夢小説設定
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(忘却呪文だと?
それは後で聞くとして、まずは・・・)
「神崎さん、話してくれませんか?
これは一体何でしょうか。」
安室は凛から奪った杖を見ながら尋ねた。
凛は話すべきなのか悩み、キュッと口を1度キツく閉じた。
そして、恐る恐る口を開いた。
「・・・それは、私魔女が持つ杖です。」
凛の言葉に、安室は小さく溜息を漏らした。
「神崎さん・・・
嘘をつくなら、もっとマシな嘘はつけないんですか?」
「うっ嘘じゃありません!
本当に私たち魔族が持つ杖なんです!」
凛は右手を安室に向かって差し出した。
「私の手を握ってください!」
「そんな事をして何になると?」
「私が嘘をついていない事を証明出来ます!」
安室は呆れながら首を左右に振った。
「下手な芝居はやめてください、神崎さん・・・
この世界に、魔法使いだの魔女だの存在するはずないでしょう?」
「私はこの世界の住人じゃない!」
凛は叫んだ。
安室は凛の言葉に、険しい表情になった。
「・・・どういう事です?」
「ーーーーっ」
「神崎さん、教えてください。
貴女が先程話した、"この世界の住人じゃない"とは一体どういう事ですか?」
「わ、私は・・・
魔法界の住人です・・・」
安室は再び溜息を漏らすと、凛は続けて口を開いた。
「嘘だと思うかもしれませんっ
でも・・・私は本当に魔法界の住人なんです。」
「・・・仮にそうだったとしましょう。
なら貴女は何故ここに居るのです?」
凛は首を左右に振った。
「・・・わからないんです。」
「わからない?」
「私は魔法界で1度死んだんです。」
「貴女は生きてるじゃないですか。」
「でも本当に死んだんです!
魔法界で死んだと思ったら、次に目が覚めると生きていて・・・
そしてこの世界に居たんです!」
安室は凛から発せられる信じ難い言葉に頭を抱えた。
「・・・ひとまず、貴女の話を最後まで聞きましょうか。」
「私たち魔族は、命の次に杖が大切なんです。
杖を奪われれば無力化されたも同然なので・・・」
「だから貴女は河川敷で目覚めた時、何よりも先にこの杖を探していたんですね。」
凛は頷くと、続きを話した。
「元の世界で私の実家が千葉にある事、生まれが日本で11歳まで日本で過ごしていた事は本当です。
日本円を持ち合わせていなかった私は、あの日安室さんに駅まで送っていただいた後、姿くらましで実家へ行こうとしました。」
「姿くらましとは?」
「姿くらましとは、"どこへ" "どうしても" "どういう意図で" この3つを意識する事で行う空間移動魔法の事です。
姿くらましは今居る場所から消える時に使う言葉で、逆に現れた時には姿現しと言います。」
「なるほど・・・
それで?」
「姿くらましが出来なかったんです。
確実に覚えているはずなのに。
何度も行った事のある場所なのに。
なので、試しに安室さんと最初に出逢った河川敷へ姿くらましをすると、そこへは出来ました。」
その後、凛は守護霊を使っても魔法界と連絡が取れなかった事。
違う世界に居る事に気付き、途方に暮れてただ適当に歩いていると事故に巻き込まれそうになった事。
この世界に自分の出生記録などもちろんない事から、記憶障害の診断を受け、警察の協力の元戸籍を作ってもらえた事。
自分が魔女である事がバレた今、危険人物として再び排除されるのではないかという不安と恐怖。
すべてを安室に話した。