Episode 35
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「それにしてもさっきの女は何なのよ!」
未だ怒りが治まらない園子は、ガチャガチャと割れた食器を乱暴に掻き集めながら言った。
「安室さんの事を自分の彼氏って言ってたよね・・・
安室さんは凛さんの彼氏なのに・・・」
蘭も不服そうに呟く。
「凛さんは何とも思わないの!?」
カウンター内から身を乗り出した園子に、凛は目を瞬かせた。
「え、何を?」
「さっきの女よ!」
「あぁ・・・
すっごく爆乳で綺麗な子だったよね。」
「ちっっがう!」
園子は額に手の甲を当てて天を仰いだ。
「そうじゃなくて!
あんな変な女が好き勝手に安室さんの彼女面してて何とも思わないの!?」
「うーん・・・
まぁ、私は透の事信じてるから何とも思わないかなぁ・・・」
「これが本妻の余裕ってやつなのね!」
目を輝かせる園子に、蘭と梓も目を輝かせた。
(ただ・・・
あの子が組織に関係する子かもしれないし・・・
探偵の依頼者かもしれないし・・・
下手な事して彼女を刺激して、零の任務の邪魔しちゃったら申し訳ないからなぁ。
でもポアロの収入がなくなると、もう1つの仕事だけじゃちょっと厳しいし・・・
兵ちゃんに頼んでもっと公安の任務に就かせてもらおうかな・・・)
うーんと思案していると、コナンに声を掛けられた。
「凛さん、今回の事・・・安室さんに言った方がいいよ。」
「え、どうして?」
「どうしてって・・・
だって凛さんあの人に怪我させられてるんだよ?
立派な傷害罪だ。
それに脅迫もしていたでしょ?
これ以上怒らせたくなければポアロを辞めろって・・・」
コナンの言葉に園子たちが、そーだそーだと言っている。
凛は首を左右に振った。
「んー・・・傷害罪とかはさて置き、とりあえず今日の事は透には内緒でお願いしたいかな。」
「でも・・・」
コナンの声に、凛は人差し指を自身の口元に添えた。
「お願い。
少し自分で対処してみるから・・・
まぁ、もし私に関係する大切な人たちに指1本でも手出しするようなら、その時はそれ相応の対応は取らせてもらうつもりよ。」
カウンターテーブルに両肘を着いて指を組んだ凛はニコリと笑った。
その笑顔の中に黒い笑みを含ませた凛に、誰も反論する者は居なかった。
帰宅途中、人気のない路地に入った凛は額に貼られたガーゼと絆創膏を勢いよく剥がした。
途端に傷口から流れ落ちる血液に煩わしさを感じながら袖口から杖を取り出し、額に杖先を向けると呪文を唱える。
『エピスキー (癒えよ)』
次いで膝に出来た傷も同じように杖先を向けて治した。
杖を袖口に入れて今後について考える。
(うーん・・・
透に迷惑掛けずに出来る事かぁ・・・)
凛の脳内に1つの天秤が現れる。
両端にぶら下がる皿の上に、安室と生活がそれぞれの皿に乗りかかる。
そしてコンマ秒で安室の乗った皿が下にガシャンと下がった。
(ま、考えるまでもないんだけど。)
凛はいつも通り、鼻歌交じりでマンションへと向かった。
