Episode 34
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
凛がレパロと唱えて杖を振った瞬間、バラバラだった鉄の破片は一瞬にして元通りの形へと変化した。
テーブルの上に乗った鉄の物体は、両側に取っ手のついた深い鍋のような形をしており、側面には黒いタッチパネルがついていた。
「・・・何これ。」
「鍋・・・みたいね。」
目の前のテーブルの上にちょこんと佇むその物体に、凛とキュラソーは首を傾げた。
2人はスマホを使って検索していると、この鉄の物体はIoT圧力ポットである事がわかった。
「IoT圧力ポットぉ?」
まさかの正体に、凛は思わず素っ頓狂な声を上げる。
「"圧力鍋をポットの形にした優れもの。
スマホから圧力、温度、時間を設定するだけでスープなどの調理が出来る"・・・ですって。」
「え、マジで鍋じゃん。」
「えぇ、鍋ね。
確かにこの破片が散乱していたのは、施設内にある飲食店の厨房だったわ。」
てっきり爆発物だと思い込んでいた凛は、紛うことなき圧力ポットに脱力する。
「えー?
爆弾じゃないじゃん・・・」
「どうやら今回の国際会議場の爆発は、このIoT圧力ポットが原因のようね。」
「んー・・・」
考え込む凛に、キュラソーはスマホをテーブルの上に置きながら尋ねる。
「何か気になる事でも?」
「うーん、ちょっと・・・
これが今回の爆発の根源である事は確かなんだろうけど・・・
少しコナンくんの意見を聞いてくるよ。
彼の意見を元に色々出方を考える。」
「わかったわ。」
凛はスマホを操作してコナンの番号をタップした。
数コールで受話口からコナンの声が聞こえてきた。
「コナンくん、今って大丈夫?」
「ああ、何かあったのか?」
「今回の国際会議場の爆発についてなんだけど・・・
あれの爆発って、爆弾じゃなくてIoT圧力ポットが原因だよね?」
その名前が出た瞬間、受話口のコナンが息を呑むのがわかった。
「っ!?
凛さんもその事に気付いたのか!?」
「うん。
それでちょっとコナンくんの意見を聞きたいんだけど・・・」
「あ、待って!
オレ今から警視庁へ行くんだ!」
「警視庁?」
「あぁ!
目暮警部から何か情報を聞き出せないかと思って・・・
凛さんもこっちに来てくれねぇか?
警視庁近くに公園があったろ?」
「ん、了解。
すぐにその公園に行くよ。」
通話を終えた凛が立ち上がると、キュラソーに言った。
「って事で、いってきます。」
「いってらっしゃい。」
凛は玄関で靴を履くと、姿くらましを使ってその場から消えた。
警視庁近くにある公園に姿現しをした凛は、コナンの姿を探した。
すると、向こうの方からスケボーに乗ったコナンがこちらに向かって走ってくるのが見えた。
コナンも凛の姿に気が付くと、スケボーから降りて走り寄ってきた。
「悪りぃ、待たせた!」
「大丈夫、さっき姿現しで来たところ。」
「凛さんも今回の事調べてくれてたんだな。」
「そりゃ、もちろん。」
「つーか、よく爆発の正体が爆弾じゃなくてIoT圧力ポットだとわかったな。」
「あー・・・うん。」
口ごもって言いにくそうにしている凛に、コナンは片眉を上げて続きを促す。
「えーと・・・その、キュラソーを鑑識官に変装させて・・・
現場の国際会議場へ紛れ込んでもらって・・・
その、今回の爆発に関係する破片を持って帰ってきてもらったから・・・」
視線をコナンから逸らして気まずそうに話す凛に、コナンはしばらく目を見開いて絶句した。
そして覚醒したコナンは、凛の両腕を掴んで声を荒らげた。
「証拠品を持って帰ってきちまったのか!?」
「いや!
さすがの私でもそこまでしないわよ!
集めた破片に複製魔法薬をかけてもらって、そっちを持って帰って来てもらったの!」
凛の言葉にほぅっと安堵の息を漏らしたコナンは、悪りぃ・・・と謝った。
「それより・・・小五郎さんの弁護士は見付かった?」
「いや・・・
1人だけおっちゃんの弁護させてくれって来た人が居たんだけど・・・」
「へぇ、誰?」
「橘 境子って弁護士。」
凛はその弁護士の名前を記憶した。
「その弁護士って腕が立つの?」
凛の問い掛けに肩を落としたコナンに、すべてを察した。
「公安事件を多く弁護してたみてぇなんだけど・・・」
「ふーん、どんな事件?」
「確か、"二条院大学過激派事件"、"経産省スパイ事件"・・・あと"NAZU不正アクセス事件"とかだったな。」
「へぇ・・・
それで?それらの裁判の勝敗は?」
呆れ顔で首を左右に振るコナンに、凛は乾いた笑みを浮かべた。
「しかも今回の事件で、地検公安部の日下部検事が担当される事が決まったんだ・・・」
「日下部検事?」
「あぁ。
負け知らずの敏腕検事として有名な日下部 誠検事だよ。」
「そう・・・」
「ま、とりあえず警視庁へ行って、目暮警部から何か情報を得られるかもしれねェし・・・行こうぜ。」
「うん、そうだね。」
凛はコナンから得られた数々の情報を一語一句脳に記憶していった。
警視庁に着き、受付でもらったビジターカードを胸に付けてエントランスホールで待っていると、目暮がやって来た。
「小五郎のおじさんのパソコンが、誰かに操られた可能性を調べているんだよね?」
凛とコナンは目暮を挟むようにして座った。
「まぁ、確かに日下部検事に追加の捜査を頼まれてはいるんだが・・・」
「言える範囲でいいから教えて。
新一兄ちゃんが小五郎おじさんを助ける為に、どんな情報でもいいから欲しいってーーーー」
「毛利先生がどうしたって?」
よく知る声に凛は、コナンと目暮から視線を前へ向けた。
そこにはビジターカードを胸につけた降谷が立っていた。
「・・・聞いてたの?」
コナンが鋭い目を向けると、降谷は平然とした顔で答えた。
「何を?
僕は毛利先生が心配で、ポアロから差し入れを持って来ただけだよ。」
そう言って、降谷は手に持っていた紙袋を見せた。
「あ、毛利君はもうここには居ないよ。」
「送検されたら原則、身柄は拘置所へ行く。
安室さんが知らないハズないのね?」
目暮の後に、コナンが皮肉めいた言葉を投げ掛けた。
「へぇ、そうなんだ。
君は相変わらず物知りだね。」
降谷は感心したような芝居を打ち、凛の方へチラリと視線を移したが何も言わずに踵を返して歩き出した。
その降谷の背中に、目暮が声を掛けた。
「それから、拘置所にこういったものは差し入れ出来ないよ。」
「わかりました。」
降谷は振り返らずに右手を軽く上げ、正面玄関に向かった。
コナンと凛がその後ろ姿を目で追い続けている。
その時、正面玄関から入ってくる人の中に、風見の姿があった。
正面玄関から出ようとした降谷は、入ってきた風見とすれ違った。
すれ違ざま、風見の唇が僅かに動いたのが見えた。
(!?
今、風見さんが零に何か言った・・・)
すると隣に座っていたコナンがベンチから立ち上がり、エントランスホールに入ってきた風見の元へ駆け寄った。
「ねぇ、刑事さん!
おじさん家から持ってったパソコン返してよ!
ボクの好きなゲームも入ってるんだから!」
ジャンプをして風見の手を掴み、ぶら下がりながら風見のスーツの袖裏にシール式盗聴発信機を仕込む。
「だから、ねぇ?
おねがーい!!」
「あれは証拠物件だ。
まだ返せない。」
「こーら、コナンくん。
ダメだよ。」
凛はコナンに駆け寄り、背中から抱え込むようにしてコナンを抱き上げた。
風見は凛の姿に一瞬驚いた顔をするが、すぐに元の表情に戻して引っ張られたスーツを直しながらその場から歩き出した。
去っていく風見の姿を、凛とコナンは見つめた。
警視庁を後にした凛は、コナンに尋ねた。
「さっき風見さんの袖口何か仕込んだでしょ?」
「あぁ・・・
やっぱ凛さんには気付かれてたか。
これだよ!」
コナンはジャケットのボタンからペリッとシールのようなものを剥がして凛に見せた。
「これなぁに?」
「シール式盗聴発信機だよ。」
「Oh・・・」
キリッとキメ顔で答えたコナンに、凛はそれ以上何も言えなかった。
「オレは一度妃法律事務所に戻るけど・・・
凛さんはどうする?」
「私も一度家に戻るよ。
また何か進展したら連絡して欲しいな。」
「あぁ。
凛さんも何かわかった事があったら、すぐに連絡してくれ。」
「OK!
英理さんの事務所まで送ってくよ。」
「いや、大丈夫だ。
気を付けて帰れよ!
凛さんはおっちょこちょいだからよ!」
コナンはそれだけ言うと、スケボーに乗って走って行った。
そのコナンに手を軽く振っていた凛は、見た目は小学生、中身は高校生のどっちにしても歳下である彼に、帰りの心配をされた事に複雑な心境のまま帰宅する羽目になった。
