Episode 3
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安室 透の運転は、一言で言うならすこぶる上手い。
彼が運転するこの愛車であるRX-7は、当然ミッション車だ。
下手くそならばギアチェンジする度に、あのミッション車独特のガクンガクンとなるはずだが・・・彼の運転では一切ない。
恐らくエンストなど無縁だろう。
発進停車もまったく前のめりになる事もなく、実に滑らかだ。
先程トイレ行きたさに寄ってもらったコンビニでは、停めにくい場所しか空いていなかったにも関わらず、片手で巧みにハンドルを操り、華麗に一発駐車を決めていた。
顔良し。
声良し。
運転技術良し。
料理の腕良し。
普段から機転が利いたり、探偵業をこなしてる事から頭も良し。
物腰柔らか親切丁寧な紳士さも兼ね備え、加えて高身長。
つまり内面外面共にパーフェクト。
あぁっ神様! 安室 透のご両親様!!
このようなハイスペックイケメンを、この世に授けてくださりありがとうございます!
私はそのようなイケメンを拝み見る事が出来て、大層しあわせです。
もう悔いはありません。
「・・・神崎さん、恐らく心の声のつもりなんでしょうけど・・・
すべて漏れていますよ。」
「!?!?
すみません、すべて忘れてください。」
「んー・・・内容が濃すぎて無理ですね。」
助手席で明らか意気消沈している凛を横目でチラリと見た安室は、すぐに視線を前に移しながら話しかけた。
「そう言えば・・・
コナンくんから聞きましたが、神崎さんは記憶喪失だそうですね?」
「あー、はい。
安室さんに助けて頂いた日に、居眠り運転のトラックに轢かれそうになっちゃいまして。
その事故のショックで、前の記憶が欠落しちゃったんじゃないかーって病院の先生に言われました。」
「え!
怪我は!?無事だったんですか!?」
「えぇ。
コナンくんが助けてくれたので・・・
まさか、自分に突っ込んで来てるなんて思わなかったので驚きでしたね。」
(そんな呑気にしてないで、もっと危機管理能力を持てよ!!)
あまりにも他人事のようにケロリと話す凛に、安室は思わず心の中で盛大にツッコミを入れた。
(・・・しかし、その事故は確か3月10日の夕方米花町で起こったものだ。
何故、杯戸町に居た彼女が米花町に?
杯戸駅へ送った後、実家に帰らなかったのか?
やはり、実家が千葉県というのも嘘か・・・)
「それは大変でしたね。
神崎さんが無事で本当に良かったです。
記憶、早く戻るといいのですが・・・」
「そうですね。」
「・・・なら神崎さんにとって、コナンくんが次の小さな救世主、ですね?」
安室の言葉に、凛はふんわりと優しげに微笑んだ。
「本当ですね。
ふふ、ここにも私が守りたいと思う人たちでいっぱいです。」
("ここにも"?
俺やハロの事も覚えているし、あの日の出来事もちゃんと覚えている・・・
事故のショックで記憶喪失、というのもなさそうだが・・・
彼女の目的は一体何だ?)
安室はハンドルを握る手に力を込めた。