Episode 3
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凛がマンションのエントランスから出ると、その入り口近くの壁に背を預けて立っている安室を見付けた。
「待たせてしまって、すみません!」
凛の声に反応した安室は、彼女に視線を移してにこやかに微笑んだ。
「全然待っていませんよ。
それにしても・・・」
安室に上から下まで見られた凛は、慌てて自分でも同じように上から下へと見た。
(やっぱり気合い入れすぎだろって引かれたか!?)
「こっこれはーーーー」
「ポアロで見ているようないつもの格好も素敵ですが、今日の格好も一段と素敵ですね。
髪の結い方も普段と違って、とても似合ってますよ。」
安室にサラッとコーディネートを褒められた凛は、頬を赤く染めた。
「いつもとは違う雰囲気の神崎さんを見れて嬉しいです。
では、行きましょうか。」
背中を向けた安室に、凛はスカートの裾を少し振りながら、オシャレをするのも悪くないかもと微笑んだ。
そして先を歩く背の高い彼の後ろ姿を小走りで着いて行きながら、片手で熱くなった頬に風を送った。
「さぁ、どうぞ?」
マンションの駐車場に停めてあった白のRX-7の助手席のドアを開けて待っている安室に、凛は再び頬を染めながら礼を述べた。
その時ーーーー
ゴンッッッ!
「~~~~いっっっ」
安室の愛車は車体が低い為、凛が助手席に乗る際に頭を勢いよくぶつけてしまった。
安室はその音に慌てて腰を折り、涙目になりながらぶつけた所を抑えて悶えている凛を心配した。
「大丈夫ですか!?」
「だっ大丈夫です・・・
むしろ私の石頭でぶつけられた、この素敵な車は凹んでいませんか?」
「車なんかより、神崎さんのぶつけた頭の方を心配してください!
あぁ、ほら・・・タンコブが出来ているじゃないですか!」
次の瞬間、石けんと柑橘系を合わせたような爽やかな香りが、凛の鼻腔をかすめた。
凛が香りに釣られて顔を上げると、目の前には心配げな表情で彼女を見つめる安室の姿。
正確に言うならば、安室のホワイトシャツから覗く鎖骨があった。
それは痩せこけて浮き出たような骨々しい鎖骨ではなく、また肉で埋もれた鎖骨でもない、なんともバランスのいい芸術的な美しい鎖骨だった。
(なっっっっっっ!?
なんっって綺麗な鎖骨なんだ!!
しかもなんかめっちゃいい香りがする!!)
「ーーーーーふぐっっ
ちっ近い!近いですよ!!」
凛は頭を精一杯後ろに仰け反らせ、手に力を込めて安室を離そうと押したが、安室はビクとも動かなかった。
それどころか、さらに距離を詰めて来た。
「・・・あぁ、髪が・・・
せっかく綺麗にセットしていたのに、少し崩れてしまいましたね。」
安室はそう言うと、凛の乱れた髪の毛を手際よくセットし直した。
「ほら・・・これで元の可愛さに戻りましたよ?」
安室は凛の髪の毛から頬にかけて、スルリとひと撫ですると、ニコリと微笑んで離れた。
そして助手席のドアを優しく閉めると、運転席へと乗り込んだ。
先程の行動で一点を見つめて呆然としている彼女に、出発しますね~と何事もなかったかのように話し掛け、RX-7は滑らかに発進した。
(なっなんだ今の!?
いつから日本はこんなにもスキンシップの激しい国になったの!?
イギリスより激しくない!?
安室さんって絶対タラシでしょ!!)
心臓をバクバクと激しくさせて顔を真っ赤にした凛は、初めての事に戸惑う事しか出来なかった。
