Episode 27
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凛とキュラソーが警察庁の入口へ姿現しをすると、ちょうど目の前に降谷と風見が立っていた。
2人に気付いた降谷がこちらに歩み寄り、その降谷の後ろを風見が着いてくる。
「凛、キュラソーお疲れ。」
「お疲れ様です。」
「零と風見さんの方がお疲れ様~。
今朝は早くからありがとね!」
凛と話している降谷にキュラソーが視線を移すと、それに気付いた降谷が首を傾げた。
「どうしました?」
「・・・ありがとう。
バーボンが私の新しい戸籍を用意してくれたと聞いたわ。」
「それくらい容易い事ですよ。」
「それで私は何故呼ばれたのかしら。」
「あぁ・・・
キュラソー、貴女に是非とも任せたい事がありまして。」
「何かしら。」
「公安部の部下たちに稽古つけてやって欲しいんです。」
降谷からのまさかの要望に、キュラソーと凛は顔を見合せて目を瞬かせた。
「僕が知る限り、貴女も相当な腕が立つようですし・・・
道場で彼らを鍛えてやって欲しいんですよ。
つまり、ここの道場の専属コーチとして働いて欲しいんです。」
「・・・そうすれば貴方たちの監視の目も行き届く、そういう事ね。」
キュラソーの言葉に対して何も言わず、ただ愛想のいい微笑だけを顔に貼り付けた降谷に、本当に
食えない男ね・・・と思った。
しかし正直働き口斡旋はありがたいものもあり、キュラソーは素直に頷いた。
「わかったわ。」
「ありがとうございます。
今日から頼みたいのですが・・・」
「大丈夫よ。」
「では、あとは風見が案内します。」
降谷は風見の名前を呼ぶと、頷いた風見がキュラソーにこっちだと言った。
「キュラソー頑張ってね!」
「えぇ・・・凛も喫茶店の仕事、頑張って。」
キュラソーは手を軽く振ると、風見の後に続いて警察庁内へと歩いて行った。
「凛はこの後ポアロか。」
「うん、そうだよ。」
「無理はするなよ?」
降谷は凛の頭を優しく撫でた。
頭頂部から伝わる降谷の手のひらの熱に、凛は嬉しそうに微笑んだ。
「・・・いいか?
男の客には気を付けるんだ。」
「ん?」
「コナンくんは大丈夫だが、それ以外の男には全員気を付けるんだ。
特に工藤邸に住むあの眼鏡男。」
「んんんん?」
凛は降谷の言葉の意味が最後までわからないままポアロへと向かうべく、手を振って警察庁から姿くらましで消えた。
しかし凛が姿現しをした場所は、ポアロの店近くではなく工藤邸の玄関だった。
姿現し特有の音を聞き付けたのか、リビングのドアを勢いよく開けてコナンが出てきた。
「凛さん!」
「おはよ、コナンくん。
朝早くから呼び出してごめんね。」
「おはよ!
いや、大丈夫だよ!
それよりキュラソーが話した組織の情報って?
組織壊滅に導けそうだった?
何かオレらの知り得ない重要な事とかあった?」
凛の腕を掴みながら矢継ぎ早に質問をするコナンに、次いでリビングから出てきた赤井が静止の声を掛けた。
「落ち着けボウヤ・・・
そう早まらずとも、凛が掴んだ情報は逃げやしないさ。」
「あ、おはよ秀一。」
「おはよう、凛。」
赤井の声に我に返ったのか、コナンは掴んでいた凛の腕からゆるゆると手を離して謝罪した。
「・・・ごめん、凛さん。
ボク、つい・・・」
「大丈夫だよ。
コナンくんの気持ちもすごくわかるから。」
コナンは組織が開発した新種の毒薬、APTX4869によって不本意に幼児の姿に変えられた張本人だ。
一秒でも早く組織を壊滅させ、元の姿に戻る為の解毒薬の情報が欲しいのは当たり前の事だろう。
それをわかっている凛は、コナンの焦る気持ちを大いに理解出来た。
「先程コーヒーを淹れたばかりなんだ。
リビングで話を聞こうか。」
「ありがとう。
コナンくん行こっか。」
凛は俯くコナンの手を取ると、赤井に促されリビングへと足を運んだ。
挽き立てコーヒーの香ばしい香りがどこかポアロの店内を彷彿させ、つい口元に緩みが起こる。
「凛、ミルクと砂糖はどうする?」
「あ、両方欲しい。」
「了解。
ボウヤはブラックだったな。」
「う、うん。」
「コナンくん、ブラックで飲めるの?」
赤井のサラリと言った言葉に凛が驚くと、コナンは苦笑いをしながら頷いた。
「カッコイイねぇ。」
そのコナンの頭をくしゃりと撫でると、やめろってと小さく言いながら手を振り払われた。
その頬には少し朱がさしており、凛に褒められた事が純粋に面映ゆいのであろう。
それが目に見てわかった凛は、その顔に柔らかな微笑みを浮かべた。
