Episode 25
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事件の真相はすぐに解明される事なく、時間だけが過ぎていった。
この現場から早く帰ろうとする者が現れる中、何かが散らばる音が聞こえた。
凛が音の方へ視線を移すと、鑑識が持っていた証拠品の入ったケースが床に落ちて開き、証拠品が辺りに散らばっていた。
その近くに居た凛たちは、証拠品を拾うのを手伝う事にした。
そのいくつかの証拠品の中で、コナンは何かに気付いたようだった。
その後、コナンのヒントを元に、安室と沖矢も何かに気付き、この事件のトリックを実際の現場で行われる事になった。
その結果、この波土がステージ上で首を吊られる事件の犯人は波土本人である事が証明された。
そして、その彼を最初に見付けたマネージャーの円城が波土を高く釣り上げて殺人に偽装したのだ。
波土が自殺をした理由は、一人の小さな命に対する贖罪からだった。
マネージャーの円城と波土は以前に交際していた。
そして、17年前円城は波土の子をその身に宿していた。
当時、デビューしたてだった波土は、生まれてくる子の為に、少しでも多く稼ごうと彼はスタジオに籠り作曲を続けた。
連日の徹夜で死んでしまうと周りが思う程に。
その波土の行動は、当然円城の耳にも入った。
波土を止めるべく駆け付けた円城はスタジオの前で倒れ、結果腹の子は流産してしまった。
円城はその事を波土には言わなかった。
その時に波土が作っていた一つの曲が、生まれてくる子の為に作った曲"ASACA"だった。
歌詞が付けられず17年間眠っていたその曲は、ある日波土に事実を知らされる事で再び起こされた。
自分のせいで亡くなった子どもの為に歌詞を書き、新曲として発表しようとしたが、どうしても書けずに"ゴメンな"というメッセージだけを遺して死を選んでしまった。
では、何故円城は波土の自殺を偽装したのだろうか。
それは、誰にも罪を着せたくなかったからだろう。
波土が自殺をしたとわかれば、人はその理由を知りたがる。
元カノの子どものせいで自殺したとなれば、波土の家族に知られてしまえば申し訳ない。
その理由から、自殺を偽装したーーーーなんて哀しい事件の真相だろうか。
円城は死体損壊罪として、署に連行される事になった。
その姿を見送りながら、梓はポツリと言った。
「でも結局わからず終いよね?
何でアサカのカが"CA"だったのか・・・」
「あぁ、それなら波土に聞いた事あるよ。
妊娠した事を徹夜明けの"朝、カフェ"で聞いたから、女の子なら"朝香"!
アルファベットで書くなら"Cafe"の"Ca"を取って"ASACA"ってね。」
「そっか、納得!」
「でも、そんな話を聞かされる程の大親友の貴方が、手の平を返して彼の引退を後押しするとは・・・
もしかして、先程、麻薬で逮捕された彼のバックバンドの事を知っていたのでは?」
「そ、そんな事は・・・」
「あら、さすが耳が早いわね。」
「もうネットに速報が流れてますよ。」
沖矢は安室と梓のその会話を静かに聞いていた。
心ここに在らずの状態の沖矢の腕を、凛は軽く引く。
「・・・昴、大丈夫?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
すると、そこへ安室がやって来た。
「そのハイネック・・・
この場でめくりたい衝動に駆られますが、今は止めておきましょう。
いずれ、また・・・」
安室はそれだけ言うと、その隣に居た凛に視線を移した。
何かを言いたげに口を僅かに開いたが、何も言わずに背を向け、そのまま梓と共にライブ会場から出て行こうとする。
「僕たちも帰りましょうか、凛。」
「うん。」
沖矢と凛もライブ会場を後にする事にした。
帰り道でも心ここに在らずの状態の沖矢に気付いていた凛は、彼の前に出て沖矢をその場に留めた。
「凛?
どうしましたか?」
「昴・・・
貴方のせいじゃないからね。」
「え・・・」
「昴も思い出してたんでしょ?
彼の事を・・・」
凛の言葉に、沖矢は口の端を僅かに持ち上げた。
「本当、凛には敵いませんね。」
「なんだそれ。」
凛は小さく微笑みながら、先を歩き始めた沖矢の後を着いて行った。
