Episode 25
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そして、波土 禄道のライブのリハーサルの日がやって来た。
ライブ会場にやって来た凛たちであったが、少々問題が起こったようだ。
「えぇっ!?
リハーサルが見学出来ない!?」
驚愕の声を上げる園子に対して、波土のマネージャーである円城 佳苗は申し訳なさげに謝る。
「ごめんなさいね・・・
実はまだ新曲の歌詞が完成していなくて・・・
ステージの上で誰も居ない客席を眺めながら書くから、2時間一人にさせてくれって・・・」
そこへレコード会社社長の布施 憶康と雑誌記者の梶谷 宏和がやって来た。
話を聞けば、どうやら以前から噂にあった波土の引退するというのは事実らしい。
つまり、今回は最後のライブのリハーサルというワケだ。
それにも関わらず、リハーサルを見れないのであれば仕方がないといった園子は、あっさりと引き下がった。
「じゃあ、ウチらも帰ろっか?」
「そだね・・・
明日、学校だし。」
帰ろうとする園子に、蘭も賛同して帰ろうとする。
その二人に、コナンは慌てて呼び止める。
「え?
帰っちゃうの!?」
コナンに続き、沖矢も二人を引き留めようとする。
「最後のライブのリハーサルなら、見た方がいいのでは?」
「昴さんには悪いんですけど・・・」
「ウチら、そんなにファンじゃないから・・・」
「え?
では、ここに来るようにと言い出したのは・・・」
沖矢が首を傾げていると、その場に凛のよく知る声が聞こえた。
「僕ですよ・・・」
凛がその声の主に視線を移すと、そこには安室が立っていた。
安室の後ろに梓も居る。
(え・・・透?
あれ、梓ちゃんと一緒に?
ちょっと待って・・・ここにポアロの従業員集いすぎでしょ。
って事は、お店って今マスター 一人!?)
凛はポアロに一人残されたマスターを想像して、心から気の毒に思った。
「ポアロの店で僕が波土さんの大ファンだと話したら、リハーサルを見られるように園子さんが手配してくれたんです。」
安室は沖矢の隣に立っていた凛をチラリと見た後、沖矢を鋭い目つきで睨む。
その安室の様子に気付かなかった蘭と園子は、安室の後ろに居た梓に話し掛けた。
「あれ?
梓さんも来たんですか?」
「ポアロじゃ興味なさそうにしてたのに・・・」
「お店じゃ隠してたけど、私も大ファンなの!
でね、お店のシフトを終えてここへ向かう安室さんの後を着けて来ちゃったってワケ!」
「驚きましたよ!
ここへ入ろうとしたら、彼女に呼び止められて。
まぁ、スタッフに事情を話してなんとか入れてもらいましたけど・・・」
安室は視線を沖矢へ移すと、不敵な笑みを見せた。
「・・・驚いたといえば、貴方も来ていたんですね?
沖矢 昴さん・・・
先日はどうも。
僕の事覚えてますか?」
「えぇ・・・
貴方は確か、宅配業者でポアロの従業員の方ですよね?」
「え、えぇ・・・
まぁ・・・」
沖矢の間違っていない答えに、安室は目を点にした。
そんな彼らを交互に見ては、凛は何事も起こらなければいいんだけどと手に汗を握る。
その時、凛は園子に袖を引かれた。
「ウチらは帰るけど、凛さんはどうする?
大ファンなら残る?」
凛はポアロに一人残されたマスターを想像して申し訳なくなり、ポアロへ出勤しようかと思った。
「うーん・・・
マスターが気になるし、私も帰ろうかな。」
凛がそう言った時、背後から手を握られた。
振り向くと、そこには沖矢が彼女の手を握っていた。
「・・・昴?」
「凛はここに残るべきでは?」
「え、でも・・・
さすがにここにポアロの従業員が集いすぎて・・・
お店でマスターが一人で可哀想すぎるんだけど。」
「波土の大ファンなんですよね?
ここに残るべきです。」
片目だけ開眼させて言う沖矢に、凛は渋々頷いた。
すると、突然何者かによって凛の手を握っていた沖矢の手を勢いよく払い除けられた。
言わずもがな、その正体は安室だ。
手を払い除けられた沖矢は、目の前に居る安室を鋭く睨む。
「・・・何か?」
「いえ・・・
貴方の手に虫が止まっていたもので・・・」
沖矢に睨まれた安室も睨み返しながら答えた。
「そうですか・・・
凛、行きましょう。」
沖矢は凛の肩に手を回し、その場から離れようとした。
その沖矢の行動に、すかさず安室が止めに入ろうとする。
しかし、安室が沖矢を止める前に引き止めた人物が居た。
安室が小さく舌打ちをしながら、自身を引き止める人物に視線を移す。
「ちょっと、何やってるのよ!」
安室を引き止めたのは梓だった。
「凛にちょっかいかけないでちょうだい!」
続けて言われた言葉に、安室は渋々その場から離れる。
すると、そこへコナンがやってきた。
「ねぇ、梓姉ちゃん!」
「ん?」
「波土さんを好きになったのって、やっぱギターが上手なトコだよね?
梓姉ちゃんもギターすっごく上手だし!」
「えぇ、もちろんそうよ!」
梓の言葉に、凛は耳を疑った。
なぜなら、以前凛が梓にバンドの話をした時に、梓もギターに触れた事がないと話していたからだ。
それにも関わらず、梓はギターが上手だと言うコナンに対して否定せずに肯定した。
(・・・もしかして、彼女は梓ちゃんじゃなく・・・)
梓の言葉に凛だけでなく、蘭たちも不思議そうにしていた。
「あれ?
梓さんって、ギターに触った事もないって言ってませんでした?」
「ほら!
この前、ウチらが女子高生バンドを結成しようとしたって話した時に・・・」
「あ、あぁ・・・
あの時はなんだかギターを弾けるって言うのが恥ずかしくて思わず・・・
ごめんね!」
(・・・シャロン、貴女なのね。)
凛は梓の正体を見破った。
彼女は梓ではなく、ベルモットの変装であると。
それはコナンも気付いているようだった。
それ故に彼は先程、梓にカマをかけたのだ。
(シャロンが透と一緒に居るって事は・・・
やっぱり今回は組織絡み・・・
だとすれば、昴を早くこの場から遠ざけないと・・・)
凛はすぐさま沖矢を呼ぼうと振り返った。
しかし、振り返った先には先程まで居たはずの沖矢の姿はなかった。
なんと、彼は少し離れた先で安室と談笑しているではないか。
「やはり波土のベスト1は"血の箒星"ですよね?」
「いえいえ、僕は"雪の堕天使"の方が・・・」
その二人の様子に凛は盛大にズッコケた。
