Episode 25
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「・・・ったく、何が哀しゅうて学校帰りの華のJKが、留守中の推理オタクの家を掃除せにゃならんのよ?」
「まぁまぁ・・・」
翌日、昨夜の約束通り、この日凛は沖矢と共に工藤邸の掃除をしていた。
残す場所は書斎だけとなった頃、学校帰りのコナン、蘭、園子が手伝いに工藤邸へやって来たのだ。
そして冒頭の園子の小言をBGMに、本棚に収まっている本の順番がバラバラにならないよう、少しずつ取り出して拭いていた。
「しかも凛さんまで巻き添えにしちゃってるしさ・・・」
「あ、私は・・・暇人だったから。」
笑って答えた凛に、コナンがこっそり耳打ちする。
「何か気になる事でもあったのか?」
「と言うと?」
「いや・・・
ホントにたまたま手伝ってくれてんのかと思って・・・」
「本当にたまたまなんだ。」
「・・・そっか。
凛さんもすまねぇな、手伝ってもらっちまって・・・」
「いいよ。
マグル式の掃除も、割と好きだし。」
その時、書斎のドアが開いて沖矢が入ってきた。
「申し訳ありません、手伝って頂いて・・・
一人で掃除するには広すぎて・・・」
「いえ!
お掃除好きなんで♡」
イケメンな沖矢の登場に先程までの態度からコロリと変えた園子に、蘭は苦笑いだ。
沖矢は書斎内を見回しながら、蘭たちに問い掛けた。
「そういえば、世良 真純さんでしたっけ?
彼女は来なかったんですね。」
(妹さんが心配なのかな・・・)
凛は会話を盗み聞きしながら、目の前の本棚に並べられた本を黙々と出しては拭き続ける。
「あぁ、世良ちゃんも誘ったんだけど・・・」
「何かまたホテルを引っ越すから、バタバタしてるらしくて・・・」
「その世良さんの周りに、変わった人とか見掛けませんでしたか?」
「変わった人?」
「そう、例えば・・・
絶えず周囲を警戒し、危険な相手なら瞬時に制圧する能力に長けた"浅香"という名の・・・
まぁ、そうは名乗っていないでしょうけど・・・」
「"アサカ"?」
沖矢が蘭と園子に何か探りを入れているのを聞いていた凛も、脳内でその名を反芻する。
("アサカ"・・・ねぇ。)
「そうそう・・・
"アサカ"って言えば、ロックミュージシャンの波土 禄道が今度出す新曲のタイトルが"アサカ"だよ!
何か17年も前に作った曲にやっと歌詞付けて、今度のライブでお披露目するってさ!」
「でもそのタイトルって変わってるんだよね?」
「変わってるとは?」
「アルファベット表記でネットに発表されてたんだけど・・・
"アサカ"の"カ"の字が、"KA"じゃなくて"CA"でさー。」
園子のその言葉を聞いたコナンと沖矢は、途端に目の色を変えた。
「ねぇ、何で!?
何で"KA"が"CA"なの!?」
「さ、さぁ・・・」
「絶対何か理由があるはずだよ!
思い当たらない!?」
コナンのその必死な様子に、凛はピンと来た。
(・・・もしかして、組織絡みとか?)
「そんなに知りたいなら、本人に聞けば?
今度ウチら、その波土 禄道のライブの前日のリハーサルを見学に行くから、連れてってあげるよ・・・」
「少しぐらいなら、お話出来るかもね!」
「ほ、ホント!?」
「よろしければそのリハーサル、僕も見学してよろしいでしょうか?」
「え、昴さんも?」
「波土 禄道の大ファンなので・・・」
「はい!
喜んで♡」
園子たちの会話を盗み聞きしながら、一人黙々と本棚の掃除をしていた凛は、その場にコナンと沖矢が乗り込むのであれば、何とか自分も乗り込めないか思案していた。
(うーん・・・
誰かに成りすまして潜り込みたいけど・・・
波土 禄道さんのスタッフで顔見知りなんて居ないしなぁ。
てか波土さんすら知らないし。)
乾いたタオルで一冊ずつ丁寧に拭いた本を本棚に戻していると、園子に話し掛けられた。
「凛さんもどう?」
「え?」
「波土 禄道のリハーサルよ!
一緒に行く?」
園子からの願ったりな誘いに、凛はすぐさま食い付いた。
「行く!行きたい!」
「おぉっ、すごい食い付きいいね!
もしかして、凛さんも波土 禄道ファンだった?」
「へ?
あー・・・そう!
もうすっごく大ファン!!」
凛は適当に笑って誤魔化しながら、心の中でガッツポーズを華麗に決めた。
