Episode 24
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「・・・いきなり訪問して、いきなり襲いかかってごめん。」
しばらく泣いた凛は、落ち着きを取り戻した。
そして赤井に無礼を働いた事を詫びた。
「かまわんよ。」
「それにお腹に全体重掛けて乗ったから・・・
重かったでしょ、本当に申し訳ない・・・ 」
「軽すぎるくらいだ。」
「え、私ガリガリって事?」
結構鍛えてると思っていたんだけどなぁと凛がゴチていると、その場にそぐわない腹の虫が鳴いた。
その虫の出処は、凛である。
「腹が減っているのか。」
赤井にハッキリと言われ、凛は恥ずかしくて顔を真っ赤に染めた。
「夜ご飯・・・まだだったのよ。」
「ならば俺と一緒に食べようか。
ちょうどロールキャベツが出来上がった頃だろう。」
赤井は凛の手を引いて立ち上がらせると、リビングへと導いた。
「・・・前から思ってたんだけど、何故秀一はそんなにも煮込み料理が好きなの?」
「さぁ・・・何故だろうな?」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる赤井に、凛はなんとなく察した。
(・・・作りすぎたって言う口実にする為か。)
食卓テーブルに並べられたロールキャベツは、よく煮込まれていてとても美味しかった。
そして、凛は降谷に続き赤井の素晴らしい料理の腕に女として落ち込んだ。
「ご馳走様でした。
洗い物は私がするよ。」
「ありがとう、助かる。」
「これくらい・・・
ねぇ、ごめんなさい。」
凛からの突然の詫びに、赤井は目を瞬かせた。
「何に対しての謝罪だ?」
「・・・今更だけど、勝手に秀一の記憶覗いたし。」
「あぁ、別にかまわん。」
「でも・・・秀一にもつらい思いさせたから。」
("にも"・・・
そうか、そもそも彼女が俺の元に来て、俺の記憶を見たのは・・・)
赤井はチクリとした胸の痛みを消すように、首を左右に振った。
(・・・安室くんの為だったな。)
「ならば、こうしよう。
俺の記憶を見た詫びに、凛に一つ手伝ってもらおうか。」
「いいよ。
何でも手伝う。」
「そう言ってもらえると助かる。
明日、ボウヤに頼まれてこの家の大掃除をしようとしている。
その大掃除を手伝って欲しい。
それで今回の事はチャラだ。」
「・・・そんな事でいいの?」
目を瞬かせて聞き返す凛に、赤井は口角を上げて頷く。
「ん、了解。」
「夜ももう遅い、今日はここに泊まって行くといい。」
「ちゃんと帰れるよ?」
「そんな泣きはらした目の凛を、そのまま帰すワケにもいくまい。」
「いや、姿くらまし使えば一瞬ーーーー」
「俺が心配なだけだ。」
真剣な表情でこちらを見つめくる赤井に、凛はどこか懐かしく感じた。
「秀一・・・」
「どうした?」
「私、秀一と一緒に居ると・・・
とても胸が暖かくなるの。」
凛の言葉に赤井はドキリとした。
高鳴る鼓動と早まりそうになる理性を必死に押さえ込み、赤井はゆっくりと立ち上がって凛の隣へと移動する。
「実は俺もなんだ。」
「秀一も?
すごい・・・」
赤井は左手で凛の頬をスルリと撫で、後頭部へと手を回す。
「秀一も私と同じ気持ちだったなんて・・・」
「あぁ。」
「やっぱり私・・・貴方の事・・・」
「俺もだ。
俺も凛の事が・・・」
赤井は熱を含んだ瞳で、徐々に凛の顔へ自身の顔を近付けていく。
「ライと勘違いしちゃう。」
「好・・・ん?」
ピタリと止まった赤井は、凛から僅かに距離を取る。
「・・・確かに俺が組織に居た頃のコードネームは、ライだったが・・・」
「え!?名前まで一緒なの!?
やっぱり秀一も私に感じていたように、私たちって一心同体なのね!」
赤井は凛が何を言っているのかまったくワケがわからず、思考がフリーズする。
「あ、私が話してるライってね、私が魔法界で飼っていたフクロウなの!
秀一の髪と一緒の黒い羽に綺麗なグリーンの瞳、そしてツリ目の可愛い男の仔でね!
私、ライは私のとーっても大事な相棒だったの!」
「・・・フク、ロウ・・・」
嬉々としてフクロウの話をする凛に、赤井は数秒前の自分の行動と思い違いに赤面した。
「秀一?
顔真っ赤・・・え、どうしたの?
秀一のそんな顔、見た事ない。」
「何でもない。
気にするな・・・」
両手で顔を覆った赤井は、深く長い溜息を漏らした。
「そういえば、ボウヤから聞いたんだが・・・」
「何を?」
「真純が言っていたらしいな。
凛と俺がお似合いカップーーーー」
「お邪魔させていただきまーす!!」
凛は赤井の言葉を最後まで聞く事なく、リビングを出て客室へと逃げ込んだ。
その様子を見ていた赤井は、口の端を持ち上げた。
(安室くんの事ばかりではなく、俺の事をフクロウとしてでもなく、少しは異性として考えて欲しいものだ。)
未だ引かぬ顔の赤みに、赤井は胸元のシャツを摘んで仰いだ。
