Episode 24
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貸しスタジオから出た凛は、珍しく強く腕を引いて歩く安室の背中に話し掛けた。
「・・・透、痛いよ。」
彼女のその言葉でハッと我に返った安室は、慌てて掴んでいた手を離した。
再び優しく触れた凛の腕には、薄らと赤くなっていた。
その赤みを痛々しげに見つめながら、安室はポツリと謝った。
「・・・すみません。
傷付けるつもりはなかったんです・・・」
「これくらい別に何ともないよ。
どうかしたの?」
「アイツは・・・ーーーーっ」
凛の腕の赤みから視線を逸らさないまま、ただ眉間に皺を寄せて辛そうな表情をする安室に、凛は彼の手を握った。
そして、そのまま彼の手を引いて歩き出す。
何も言わないままされるがままの安室と共に路地裏に入り、周りに人が居ない事を確認してから、そのままその場で姿くらましを使った。
バシッ
姿現しをした場所は、凛の自宅のマンションの玄関だった。
玄関で靴も脱がず、未だ苦しげな表情のままの安室の頬に優しく両手を添える。
「・・・透、見て・・・私の目を。」
その言葉に、安室はゆっくりと凛の瞳に視線を移す。
その瞬間、凛は安室に開心術を掛けた。
零さんのスマホに着信・・・?
"悪い、降谷ーーーー
奴らにオレが公安だとバレたーーーー
逃げ場はもう、あの世しかないようだーーーー
じゃあな、ゼローーーー"
零さんどこへ行くの・・・?
ここは・・・どこ?
この建物の屋上に何があるの・・・?
ドン!!
拳銃の音・・・?
あれは誰・・・?
誰があそこで座り込んでいるの・・・?
誰が座り込んでる彼の前に立ってるの・・・?
"裏切りには・・・制裁をもって答えるーーーー"
え、そんな・・・
そんなハズないよね・・・?
今、目の前に居るニット帽を被った長髪の男の人・・・
"だったよなーーーー?"
返り血を浴びた秀一・・・
零さんが心臓を撃たれた男の人を見てる・・・
零さんは気付いてる・・・
彼の右手は血まみれなのに、親指の先と手の甲には血が付いていない・・・
つまり、それは彼は自分で命を断ったんだって事に・・・
"聞いてないのかーーーー?
そいつは日本の公安の犬だぞーーーー"
あぁ、そうか・・・
彼は同じ公安警察で潜入していた零さんを護る為に・・・
だから胸ポケットに入れていたスマホごと撃ち抜いたんだ・・・
でも零さんは秀一の正体がFBIであると知った時、彼を逃がせたにも関わらず・・・
その秀一が彼を死に追いやったから、これ程までに秀一に激しい憎悪を持ってたの・・・?
凛はそこまで見ると、開心術をやめた。
目の前には眉間に皺を寄せて、苦し気な表情をしている安室が居る。
「ーーーーっ
見たのなら・・・わかっただろ?」
「・・・」
「・・・俺はアイツを・・・許さない。
これから先もずっと・・・」
安室はそれだけ言うと、玄関ドアを開けて出て行った。
(零さん・・・ダメだよ。
憎しみに心を奪われないで・・・
零さんが苦しくなるだけだよ・・・)
凛はその言葉を言えず、出て行く安室を見届ける事しか出来なかった。
そして、凛はその場で姿くらましをした。
