Episode 21
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「こっこれがーーーっ
秀一をメロメロの虜にして止まないバーボンか!!」
「待て、その言い方は誤解を生じる。」
「え?違うの?
最近バーボンにハマってるって、秀一が言ってなかったっけ?」
「・・・いや、さっき俺が言った事は気にしないでくれ。」
「????」
凛はバーボンのウイスキーボトルと赤井を交互に見ながら、どういう事だろと首を傾げた。
赤井はショットグラスに氷を入れると、バーボンを適量注いでマドラーで混ぜた。
そして、ミネラルウォーターの入ったペットボトルの蓋を開けると、それをグラスへと注いでさらにマドラーでよく混ぜる。
「凛はバーボンは初めてだろう?
いきなりニートやロックで飲むより、まずは水割りで飲むといい。」
「うっす、ありがとうございます!」
凛は赤井から差し出されたグラスを手に取ると、少し口に含んでみた。
次の瞬間、口内に広がるバニラやココナッツを思わせるような甘さの風味に、続けて力強い芳醇な味わい。
それでいてクセが少なく、とても口なめらかで飲みやすかった。
「美味しい!」
「フッ、それは良かった。」
赤井は自身のグラスにウイスキーを注ぐと、そのまま口に運んだ。
その姿を見ていた凛が、何か言いたげな顔をしているのに気付いた赤井は首を傾げた。
「どうした?」
「秀一がダサくなる時ってある?」
「もちろんだ。
人間誰しもそんな時はある。」
「えー嘘だぁ・・・
私が見てる限り、秀一がダサい時なんてないんだけど。」
「凛は褒め上手だな。」
ダサい時がない。
それはつまり、少なからず自分の事をカッコイイ、素敵、洗練された人間であると凛は思っている。
そう確信した赤井は、満足気に口の端を持ち上げながらグラスをゆっくり傾けた。
「それ!」
「それ・・・とは?」
「そうやってお酒飲む姿もサマになってるし。」
「そうか?
俺はどちらかと言うとグラスを両手で持ち、少しずつ飲む凛の姿の方が可愛らしくていいと思うがな。」
真面目な表情で面と向かって"可愛い"と言われ、さらに少し熱を含んだ赤井のグリーンの瞳に見つめられた凛は、何やら急に恥ずかしくなった。
その目から逃れたい一心で、両手に持っていたグラスを片手のみで持つと、中身を一気に飲み干した。
そしてこの恥ずかしさを赤井に悟られないように、空いたグラスにウイスキーとミネラルウォーターを注ぎ、それをまた一気に喉へ流し込む。
急激に体温が上がるのがわかった。
水で割っているとはいえ、度数の高いウイスキーだ。
一気に流し込んだ酒は、まるで喉から胃を焼いてしまっているようだ。
「何をしている!
いきなりそんな飲み方をするな!」
突然、凛がウイスキーをガバガバと飲み始めたのを心配した赤井は、彼女が持っていたグラスを奪った。
だがしかし、時すでに遅し。
赤井に視線を向けた凛の目は、見事に据わっていた。
すると、凛は自身の手元からグラスが消え去ったのを確認した後、チラリと赤井が飲んでいたグラスに視線を移した。
そして徐にそのグラスへと手を伸ばす。
「お、おい!
それはロックだぞ!」
赤井が慌てて制止の声を上げながら凛の腕を掴んだ時には、すでにグラスの中身はすべて飲み干されて空になっていた。
ガクンと頭を垂れて微動だにしなくなった凛に、赤井は恐る恐る両肩を優しく掴んで顔を覗き込んだ。
「・・・凛?
大丈夫か?」
「ーーーーぃ・・・」
赤井は自分の名前を呼ばれたのかと思い、凛に問いかけた。
「どうした?」
凛は震える指先で弱々しく赤井の胸元のシャツにしがみつくと、赤井の顔を見上げた。
瞬間、赤井は完全にフリーズした。
「ばぁぼん・・・すきぃ・・・
もっと、ちょーだい?」
いきなりアルコール度数の高いウイスキーを飲みすぎたせいだろう。
目を潤わせ、頬は赤く上気していた。
さらには息が少し荒くなっており、色っぽく小さな吐息がいくつも吐かれていた。
「ねぇ・・・ばぁぼん・・・
ばぁぼんがすきなの・・・
ばぁぼんがもっと欲しいの・・・
早く・・・いっぱいちょーだい・・・」
この時、フリーズしている赤井の脳内では、赤井にすこぶるドヤ顔で笑いかけながら凛を抱きしめるバーボン、もとい安室 透が居た。
あろう事か、その安室は凛の顎をすくい上げると、妖艶に微笑みながら自身の顔をゆっくりと近付けているではないか。
(何故、安室くんなんだ・・・)
赤井は脳内の安室を打ち消すべく首を左右に軽く振ると、小さく溜息を漏らした。
「凛、少し飲みすぎたようだな。
もう止めておこう。」
「まだのめるの・・・
もっと欲しいの・・・
ばぁぼんがいいの・・・」
赤井の胸元のシャツにしがみつきながら上目遣いで欲しがる凛に、赤井の理性は吹っ飛びそうになった。
しかし雀の涙程の理性をなんとか繋ぎ止めた赤井は、優しく凛を胸元から離した。
自分でしておきながら、離れていく彼女の熱に寂しさを感じる。
「ダメだ。
もう夜も遅いから今夜はここに泊まっていくといい。」
赤井がそう諭すと、凛は目を瞬かせた。
そして無邪気な子どものような笑みを浮かべると、右手を勢いよく真上に伸ばして挙手した。
「はーい!
お世話になりまーす!」
その言葉を最後に凛の電源が切れたのか、赤井に向かって倒れ込んだ。
「!?」
凛を抱きとめた赤井は何事かと彼女を心配したが、次第に聞こえてきた安らかな寝息にフッと顔を綻ばせた。
そして凛を横抱きすると、客室用の部屋へと向かった。
凛をベッドの上にゆっくりと寝かせて優しく布団を被せた赤井は、その足で自室へと向かった。
自室にある椅子に腰掛け、煙草を一本口に咥える。
マッチを擦る音とその火によって咥えた煙草の先端のチリチリと焼ける音が、静かな部屋によく響いた。
フゥッと吸い込んだ紫煙を吐き出すと、白い煙は揺れ動いて周りの空気と馴染んで消える。
(・・・今度はライを飲ませてみるか。)
ユラユラと踊り上がる紫煙を見つめながら、赤井は口の端を持ち上げた。
翌日ーーーー
「んぉぉぉぉぉぉぉ・・・っ」
猛烈な頭痛に見舞われた凛は、頭を抑えながらゆっくりと上体を起こした。
そしてふと周りを見回すと、見知らぬ首を傾げた。
「・・・ここ、どこ?」
凛はベッドから降りて部屋を出ると、とりあえずその部屋の近くにあったドアを開けた。
「おはよう、凛。
昨夜はよく眠れたか?」
ドアを開けた先には、シャワーを浴び終えたばかりの赤井が立っていた。
スラックスのみを着用した状態の彼の髪は少し濡れて水滴が落ち、裸の上半身は熱を含みほんのりと赤く染まっている。
首元にかけたタオルで髪を拭いていた赤井は、洗面所のドアを開けた状態で固まっている凛に不思議そうに首を傾げた。
思考が追いついていない凛は、赤井の顔から視線だけを下に移した。
その視線の先は、赤井の上半身だ。
瞬間、凛は顔を一気に赤くした。
「ぅわぁぁぁぁぁぁあああああああ!?!?」
そして突然、叫び声を上げながら姿くらましでその場から消えた。
凛が消えた場所を見ていた赤井は、顔を破綻させて笑った。
