Episode 2
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
はい、私 神崎 凛は、いきなりですが、ここで生きていく為の戸籍、居住地諸々を手に入れました。
え?何故かって?
なんか以前の大型トラック事故の時にお世話になった警察の方たちが、涙ぐみながらーーーー
「大丈夫ですよ、神崎さん!
道のりは長いかもしれませんが、私たちと一緒にゆっくりと思い出して行きましょうね!」
「安心してください、神崎さん!
僕たちが最後まで神崎さんを助けますので!」
ーーーーとか言いながら、あれよあれよの内にすべて準備してくださりました。
てかね、その刑事さん2人もそうだけど、コナンくんよ・・・
私の実年齢を知って、「え、凛さんって10代後半だと思ってた・・・」は酷いよ。
私はアラサーだ。
まぁ、こっちの世界ではどうやらまだ3月10日らしいから、27歳と言ったが・・・
それでも変わらずアラサーだ。
そんな褒められても嬉しくないし、今の私には飴ちゃん1つすら出せないのだよ。
ーーーーあ、ローブのポケットの中に、何時ぞや校長室からパクったカムカムキャンディなら出て来たわ。
これ、明らかに腐ってます。
カムカムキャンディが生きてませんもん。
というワケで、すごいですね。
私ならこんな謎だらけで正体不明の女が目の前に居れば、即捕まえて牢にブチ込むレベルですよ。
いやぁ、さすが私の知ってる日本とは違うね!
A HA HA HA HA☆
「ーーーーーって、和んでる場合かぁぁぁぁぁ!!」
凛は盛大にちゃぶ台をひっくり返した。
「いや、正直さ!
ここに私の戸籍とかない事なんて、もはやわかってたから有難いっちゃ有難いよ!?
でもさ!
同じ国家国民の為にその命を捧げる者としてどうなの!?
それでいいのか日本の警察よ!!!」
凛はカーペットの上を転げ回りながら続けた。
「てか、私の知ってる世界には存在しなかったあのハイクオリティ且つハイスペックな機械で検査しても異常なかったのに、記憶喪失ってどういう事!?
ここの国の医者は大丈夫なのかぁぁぁぁ!?」
凛は誰に言うワケでもない叫びをぶちまけた後、ふと冷静に戻った。
そしてひっくり返されたテーブルをいそいそと戻しながら項垂れた。
「・・・お腹空いた。」
ぐぅぅぅぅと大きな腹の虫が鳴り、凛はカーペットの上にうつ伏せに倒れた。
1度死んだ私が、何がどうなってまた生きてるのかわからない。
結局、この世界がどこなのかもわからない。
わからないけど、生きてる事だけは確かだ。
生きてりゃ腹も減る。
すっからかんの胃袋は、叫ぶ前に何か物を寄越せと大層ご立腹だ。
一昨日までは日本警察の優しさに胡座をかいて、病院で暖かな食事にありつけていた。
長年ホグワーツの高カロリー且つ味の濃い食事で慣れていた我が身体は、久しぶりの日本食の薄味に、感動で打ち震えたものだ。
だが、退院した今はどうだ?
私はかの偉大なダンブルドア先生のように、手をパンッと鳴らしたり、杖をひと振りしただけで豪華な料理は出せない。
あれは、ホグワーツの校長としもべ妖精たちが居てこそのなせる技だ。
「あー・・・昨日からお水だけじゃ、さすがにお腹は膨れない。
何これ、生き返って即 THE END?
死ぬ度に見知らぬ世界に行けるってなら、次はマリコシスターズの世界がいいですね。
キノコとか無限に食べてやる・・・
襲ってくるキノコも食べてやる・・・
なんなら亀も食べてやる・・・」
凛は極度の空腹で、もはや自分で何を言っているのかすらわからなくなっていた。
その時、来客を知らせるチャイムが部屋に鳴り響いた。