Episode 16
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ショッピングを無事に終えた有希子と凛は、羽田空港へ向かうリムジンバスを待っていた。
「有希子さん、こんなにもたくさん買ってくださってありがとうございました。」
「いいのよ。
何度も言ってるけれど、これは新ちゃんがお世話になってるお礼よ。
それにこれくらいじゃ足りないくらいだもの。
あーん・・・帰りの飛行機の時間さえなければ、あと数店舗回りたかったのにぃ・・・」
「あはは、十分すぎるくらいですよ。
でも、有希子さんとのショッピングはとても楽しかったので、また一緒に行きたいです。」
心から嬉しそうに笑う凛を、有希子はたまらず抱きしめた。
「も~凛ちゃんってホント可愛い~っ!
ねぇねぇ、工藤家の養女にならない?
可愛すぎて手離したくない~っっ!」
「えぇ!?」
有希子はその時、ふと凛の様子の違和感に気付いた。
「・・・あら?
凛ちゃん、何か・・・雰囲気が変わった?」
「え?」
「前にベルツリー急行で逢った時と違う気が・・・
色気が出た、というか・・・
こう、フェロモンって言うのかしら?」
「ふぇ、フェロモン・・・ですか?」
有希子の突然な発言に、凛はとりあえず自身の腕の香りを嗅いでみた。
「あ!
さては・・・凛ちゃん、誰かに恋をしてるわね!?」
「!!??」
昨夜、降谷の事を好きだと自覚した凛は、有希子にズバリ言い当てられて顔を真っ赤に染めた。
その様子に、有希子は目を輝かせた。
「あら!
どうやら正解のようね?
誰 誰~?
まさか沖矢さんかしら~?」
「すっ昴とはいいお友達ですよ!」
「じゃあ誰かしら~?」
有希子はずずいと顔を凛に近付けた。
すると、凛の表情に陰がかかって俯いてしまった。
「凛ちゃん?」
「有希子さん・・・
恋しちゃダメな相手に恋をしてしまった時・・・どうしたらいいと思いますか?」
「恋しちゃダメな相手って?
相手の人は既婚者とか?」
「いいえ、既婚者ではないんですけど・・・
例えば、仕事柄とか・・・」
「仕事柄 恋してはダメな相手なの?」
「・・・多分。
そもそも、その人は私の事好きじゃないですし・・・
別にこの想いをその人に伝える気はないんです。
その人の負担にはなりたくないですし・・・」
有希子は指を顎に添えながら、うーん・・・と考えた。
「相手の仕事の事はさておき・・・
凛ちゃんがその人にとって負担になる事なんて、ないんじゃないかしら?」
「だって彼はーーーー・・・」
(何よりこの国を愛し、この国の為にその身を削って護ってるから・・・)
凛は俯いたまま、気が付けば唇を強く噛み締めていた。
(それに私はいつか消えて、この世界から居なくなってしまう存在で・・・
この世界の人間ではなくて・・・)
ふと、自分の肩にぬくもりを感じ、凛は顔をあげた。
目の前には、優しく微笑んだ有希子が凛の肩に手を乗せていた。
「凛ちゃん・・・
どんな恋であれ、恋をしてはいけないって事はないのよ。
人を好きになる事は仕方がない事だし、止めようとして止められるものじゃないんだもの。
だから諦める必要もないのよ。
でも、相手や周り・・・そして、自分に害を加えるような事はしちゃダメだけどね。」
「有希子さん・・・」
有希子はニコッと笑うと、人差し指を立てた。
「なんなら、当たって砕けろって言葉もあるわよね。」
笑って冗談を話す有希子に、凛も自然と声を出して笑ってしまった。
ちょうどその時、羽田空港へ向かうリムジンバスがやって来た。
凛は袖口から杖を取り出し、サッと振った。
その瞬間、有希子は暖かなものに包まれた感じがした。
「凛ちゃん、今のは?」
「護りの魔法です。
有希子さんが無事にアメリカまで帰れるように・・・」
有希子は目尻を下げてふわりと微笑むと、凛をそっと抱きしめて礼を述べた。
「じゃあね、凛ちゃん。
また今度もショッピングしましょ。」
「えぇ、是非。
優作さんにもよろしくお伝えください。」
羽田空港行きのリムジンバスが発車し、そのバスの後ろ姿を見送った凛は、人影のない場所へと移動した。
「・・・当たって砕けろ、か・・・」
フッと切なげに微笑んだ凛は、姿くらましをして、その場から消えた。
