Episode 16
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凛のマンションに帰ると、降谷は本職である公安の仕事がまだあるからと言って帰った。
玄関先で降谷を見送っていた凛は、手を振っている状態で固まっていた。
すでに降谷は帰っていてその場に居らず、凛は玄関ドアに向かってただ手を振っている状態だ。
数分後、凛は振っていた手をようやく止めた。
(・・・おかしい!!
さっきから私は、明らかにおかしい!!
激しい動悸が一向に治まらない!!
身体も・・・いや、顔か!?
とりあえず何だか熱い!!)
凛は頭を勢いよく抱えると左右に勢いよく振った。
(ぁぁぁぁぁぁあああああっっっっ!?
何!?一体何なのよ!!!
さっきの零さんは一体何なのよ!?!?
いくら以前私にされたからって、あんな優しく私の頬っぺに手を添えて美しいご尊顔を近付けて来るなんてえええええええ!?)
凛はフローリングの上を勢いよく転がった。
しかし勢いよく転がり続けた結果、壁に勢いよく頭を強打してピタリと止まった。
(やっぱり最近の私は明らかにおかしい!
零さんの顔を見てると、動悸が激しくなって・・・
零さんに触れられると、身体が熱くなって・・・
零さんの言葉に喜ぶ自分が居て・・・)
凛は先程降谷に触れられた頬に、そっと指を這わせた。
(もっと零さんに触れて欲しいって思ってしまう自分が居て・・・
零さんが他の人に触れられてるのを見るのは嫌で・・・)
凛はそこまで考えた瞬間、ハッとして勢いよく起き上がった。
そして慌てて調合部屋のドアを開けて中へ入った。
「まっまさかーーーーっ!!」
凛は魔法薬の入った小瓶が並ぶ棚を見回し、ある一つの小瓶を手に取った。
真珠貝のような光沢を持つ魔法薬の入った小瓶、それは"愛の妙薬"だった。
凛は小瓶の蓋を開けると、その魔法薬の香りを嗅いだ。
すると、ふわっと柑橘系と石けんを混ぜ合わせたかのような爽やかな香りが、凛の鼻腔をかすめた。
「これーーーーっ
零さんの香りだ!」
凛は小瓶の蓋を閉めて棚に戻すと、慌てて杖を取り出した。
『エクスペクト・パトローナム!(守護霊よ、来たれ)』
凛はいつものように守護霊を召喚する呪文を唱えた。
愛する父と母、そしてダンブルドアや仲が良かったリリーたち五人の事を想い、僅かながらしあわせだった頃を想い浮かべながら。
しかし、凛の見慣れた白銀の大鷲は、その場に現れなかった。
「!?
どうしてなのよ!!
いつもあの人たちの事を想ってたのよ!?
強く強くあの人たちの事だけを想ってたーーーーっっ!?」
凛はそこまで言って自分で気付いた。
自分の言葉が過去形である事に。
凛は静かに目を閉じた。
そして想い浮かべた。
降谷との想い出を、降谷が凛に見せる笑顔をーーーー
『・・・エクスペクト・パトローナム・・・』
凛が呪文を唱えると、杖先から白銀の糸のようなものが現れた。
そしてそれは、次第に姿形となった。
「・・・は、ろちゃん?」
白銀の仔犬の姿形となった守護霊は、部屋中を元気に駆け走っていた。
その姿形は、まさに降谷が飼っているハロにそっくりだった。
白銀の仔犬がフッと消えた場所を、ぼんやりと見ていた凛は認めざるを得なくなった。
(・・・あぁ、私は零さんの事が恋愛対象として好きなんだ。
でも私は、この世界の人間じゃないし魔女・・・
そもそも彼に好いてもらえるはずがない。
こんな想いなんて、持っちゃダメだ。
消さなくちゃいけない。)
「これが恋なんだね、リリー・・・
リリーの嘘つき。
全然暖かな気持ちにならない。
こんなの、ただつらくて苦しいだけじゃない。」
凛は膝を抱えて座り込むと、静かに涙を流した。
「想いなんて・・・消えてしまえ。」
