Episode 18
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凛が疲れる程店が忙しくなる事を心から願った降谷の願いも虚しく、その後も来店する客が見事一人も居なかった為、ポアロの閉店作業も難なく終わった。
白のRX-7に乗り込んだ降谷は、助手席にちょこんと座り、シートベルトをいそいそと装着している凛に再度静止の声を掛けた。
「・・・あのな、凛さん。
君の気持ちはすごく有難いと思っている。
だけど、これは俺たちの仕事なんだ。」
「わかってるよ。
でも私だって零さんの力になりたいもん。」
「凛さんは十分、俺の力になってくれている。」
「どこが?????」
「・・・」
ふいっと視線を外した降谷に、凛は追い打ちを掛けるように詰め寄る。
「ほら、どこがなのよ。」
「・・・」
「早く言ってみなさいよ。」
「・・・癒し部門。」
頬を少し染めて小さく紡がれた彼の言葉は、凛にはまったく意味が理解出来なかった。
「はい?」
「いや、何でもない。」
「ほらー!
何も力になれてないじゃない!
だから、今回はパパッと私の開心術使って麻薬取引のお偉いさんの居場所掴んで、チャチャッと締め上げーーーー」
「締め上げ?」
「・・・捕まえて、疲労困憊MAXの皆様を早く休ませてあげようよ!」
そう、降谷の率いる公安部は最近、国内外で大規模な麻薬取引を行う集団の中核に近い人物の一人を捕獲した。
その人物から集団のトップについて聞き出そうと、ありとあらゆる手を使って尋問を繰り返しているが、その中核に近い人物は一向に話そうとせず、降谷たちはお手上げ状態だったのだ。
つまり凛の開心術は、まさにこの状況をすぐさま打破出来る能力であった。
しかし、凛に危険な事をして欲しくない、さらに一般人である彼女を巻き込みたくないと強く思う降谷は、凛の申し出に対して中々承諾する事は出来なかった。
そんな降谷の考えを見抜いたのか、凛は降谷の両肩に優しく手を置くと顔を覗き込んだ。
「・・・零さん、あのね?」
「?
どうかしたか?」
「私は魔女だよ?」
「あぁ、そうだな。」
何を今更分かりきっている事をと不思議そうにする降谷に、凛は静かに言葉を続けた。
「本当はこんな事したくないんだけどね?
零さんがいくら私を連れて行くまいとしてても、魔族でない零さんを思うように操って連れて行ってもらう事なんて・・・私には歩くより遥かに容易い事なんだよ?
なんなら今ここで服従の呪文唱えて操って、零さんが普段しないようなあーんな事やこーんな事をしてもらおうかなぁ・・・」
「ちょっと待て。
・・・その呪文は君たち魔族には許されざる呪文の一つのはずだろ?」
「だってここは魔法界じゃないもの。
この世界でいくら唱えたって、別に私はアズカバン行きにならないわ。」
目が完全に笑っていない凛に、降谷は喉をヒュッと鳴らした。
「・・・ねぇ、どうする?
一度・・・味わってみる?」
「・・・君は本当に目的の為ならば、手段を選ばないんだな。」
「あら、それはスリザリン生として最高の褒め言葉だわ。
でも仲間意識が誰より強いのも、我が寮の自慢でもあるのよ。」
ふふっと可愛らしく笑って身体を離した凛に、降谷は参りましたと小さく溜め息を漏らしてエンジンをかけると、ゆっくりと車を発進させた。
