Episode 13
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降谷に凛の過去すべてを話した翌日。
凛は今更ながら自分自身の過去を彼に赤裸々に見せた事を、羞恥と後悔に襲われていた。
さらに優しい降谷であるが故に、自分の過去を見せられても気を遣って受け入れてくれたのではないかと思っていた。
しかし、どれ程その事を考えて悩んだところで降谷の本心など凛にはわからない事なので、気を取り直す為にも買い物に出掛けていた。
なんでも、数量限定尚且つコンビニ限定で販売される世にも大変美味と噂の幻の生チョコがあるらしい。
その名も、【あなたの唇の熱でとろけたい、身も心もあなたと混じり合いたい】である。
中々なインパクトのある商品名は、いつぞやのクレープ屋台を思い出させる。
しかし、驚くべきところは商品名ではなく、値段だ。
そのお値段、なんと8粒入りにして4000円。
奇抜な商品名だけでなく、ボッタクリを疑うレベルの値段であるにも関わらず、日本全国各地で即完売続出だそうだ。
人間不思議な生き物で、手に入らぬと言われれば、どうしても手にしたくなるのが多数であろう。
かくいう凛もネットでその記事を見ると、何としてもその幻の生チョコを食べてみたいと思った。
その為凛は、幻の生チョコを求めて気付けば霞ヶ関まで足を伸ばしていた。
凛が入ったコンビニで、生チョコが置かれているであろう場所へ早足で向かうと、奇跡的にも生チョコは売っていた。
しかも、ラスト一個だ。
(やったー!
ラスイチ!)
凛は目を輝かせ、すぐさまその生チョコの箱へ手を伸ばした。
すると、凛と同時にその生チョコの箱に手を伸ばした人物が居た。
「・・・あ!
貴方は、あの時の・・・」
凛がその手の持ち主へ視線を移すと、そこには見覚えのある人物が居た。
「えと、飛田さん・・・ですよね?」
「!?
貴女は・・・」
「お久しぶりです、神崎です。」
慌てて生チョコの箱から手を離した風見に、凛はニコリと微笑んで挨拶をした。
「飛田さんもこの幻の生チョコを買いに来たんですね。」
「え、あ・・・いや・・・」
「んー・・・
飛田さんは今日もとてもお疲れのようですし・・・
この生チョコは飛田さんにお譲りします。」
凛は生チョコの箱を風見に差し出すと、彼は慌てて首を左右に振った。
「いや、自分は買えればラッキー程度でしたので・・・
こちらは神崎さんがどうぞ。」
風見はそう言いながらも、凛の持つ生チョコの箱を目で追っている。
その事に気付いた凛は閃いた。
「あ!ならこれ半分こしません?」
「え!?」
「せっかく幻の生チョコを求めた者同士ですし、我ながらナイスアイデアです!
じゃ、ちょっと買って来るので待っててくださいね~。」
「待っーーーー」
風見の静止の声も聞かず、凛は颯爽とレジへと向かった。
