Episode 12
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凛は天文台へと続く階段を駆け上っていた。
天文台の頂上へ着くと、そこにはダンブルドアに杖を向けて震えるドラコの姿。
そして、そのドラコの後ろにベラトリックスと髪や髭が灰色で縺れた大男のフェンリール・グレイバックが居た。
『おや・・・
お嬢ちゃんじゃないか、お元気?』
『おい、ベラトリックス!
この女は餓鬼じゃねぇが美味そうじゃないか・・・俺に寄越せ!』
『お待ち、グレイバック!
小娘なんかより、今はダンブルドアが先だよ!
さぁ、ドラコ・・・早く殺っておしまいっ!』
凛がドラコとダンブルドアの間に出ようとした瞬間、その場にバリトンボイスが響いた。
『・・・待て。』
『スネイプ!
何の用だ!?』
『・・・セブルス、頼む・・・』
ダンブルドアの言葉で、スネイプはダンブルドアへ杖を向けた。
『・・・アバダ・ケダブラ・・・ッ』
スネイプの放った死の呪文はダンブルドアに当たり、ダンブルドアは天文台の上から落下した。
その姿を見届けたスネイプは、凛の腕を掴むと天文台の階段を降りた。
『セッセブルス・・・』
『今からリンに向かって、軽く攻撃呪文を放つ。
必ず無言呪文で防御しろ。
そして、私にやられたフリをするのだ。』
スネイプは他の死喰い人に聞かれないよう小さな声で凛に言った。
そして天文台から降りると、乱暴気味に凛の腕を離して攻撃呪文を放った。
凛は言われた通りに無言呪文で防御し、その場に倒れてスネイプにやられたフリをした。
『アハハハッ!
さすがスネイプだね!
同僚にも容赦ないじゃないか!』
ベラトリックスは倒れた凛を見下ろして高らかに笑い、グレイバックが凛に噛み付こうとした。
それを見ていたスネイプは、すぐさま声を上げた。
『グレイバック!
そんな女なんぞ放っておけ!
今は一刻も早く闇の帝王の元へ戻るのだ!』
『スネイプの言う通りだ、グレイバック!
そんな小娘なんて諦めてさっさと帰るよ!』
ベラトリックスに諭されたグレイバックは、凛を諦めて渋々と森へ消えて行った。
漆黒に包んだスネイプの背中が、徐々に小さくなって消えて行くのを黙って見届ける事しか出来なかった凛は、唇から血が滲み出る程噛み締めた。
7年目ーーーー
ホグワーツへ戻ったスネイプは、校長になった。
死喰い人であるカロー兄妹を引き連れて。
ホグワーツに居た凛以外の人物から見れば、それはスネイプが完全にヴォルデモート側の人間である事を意味していた。
カロー兄妹のひどい体罰を許せなかった凛は、何度もカロー兄妹とやり合い、その度に多くの傷を作った。
廊下を歩いていた凛がスネイプとすれ違う瞬間、スネイプから傷によく効く魔法薬を渡された。
【アイツらの事は私が何とかする。
だから、お前はもう何もするな馬鹿。】というメモと共に。
ハリーが見付かったと言う情報が入り、夜遅くにも関わらず大広間に全生徒職員が呼び出された。
そしてその場にハリーが現れ、マクゴナガルがハリーや生徒たちを護る為にスネイプの前に立ちはだかり杖を向けた。
スネイプは一瞬躊躇いを見せたが、すぐにマクゴナガルに杖を向けた。
他の職員や生徒に危害を加えない為か、マクゴナガルからの攻撃を防ぐ事しかしていないスネイプは、チラリと凛の方へ視線を移した。
そして凛と目が合うと、スネイプは小さく頷いた。
スネイプはマクゴナガルの攻撃をいなすフリをしながら、自身の背後で応戦しようとしていたカロー兄妹にさりげなく当てて気絶させ、カロー兄妹の杖を回収した後、ガラスを突き破ってホグワーツから去った。
『臆病者ーーーー!』
ガラスを突き破って去ったスネイプに向けて放ったマクゴナガルの声が大広間に響いた。
『ーーーーっ
違う! 彼は臆病者なんかじゃない!』
思わず凛は叫んだが、ホグワーツに安泰が訪れたと歓喜の声が響く大広間では、彼女の声は誰の耳にも届かなかった。
場面が変わると、ホグワーツは戦場と化していた。
リーマスの傍で死喰い人と戦っていた凛は、リーマスに狙いをつけている死喰い人の1人、アントニン・ドロホフに気付いた。
『リーマス! 後ろ!』
凛はすぐに危険を知らせたが、ドロホフが放った死の呪文がリーマスに当たってしまった。
その場で倒れたリーマスに、凛は悲痛な叫び声をあげながらドロホフに強力な攻撃呪文を放つ。
『リーマス!
死なないで! リーマス!』
地面に膝を付き、すでに動かぬ人となったリーマスを必死に揺らす。
その時、遠くのボートハウスの方へ早足で向かうスネイプの姿を見付けた凛はふらりと立ち上がり、覚束無い足取りでスネイプの後を追い掛けた。
凛がボートハウスの扉をゆっくりと開けると、そこにはハリーとロン、ハーマイオニーの3人が居た。
凛は人差し指を口元に立て、静かにするよう伝えながら3人が隠れていた場所に混ざった。
格子状のガラスの向こうには黒い影が写っている。
それはスネイプの影だろう。
スネイプともう1人別の声が聞こえてきた。
凛がガラスの割れた小さな隙間から覗くと、スネイプの向かい側に別の人物が立っていた。
それは髪や鼻がなく、赤い瞳を持つ蛇のような顔をした人物だった。
(・・・コイツが凛の世界の一番の悪・・・
ヴォルデモートなのか?)
降谷は気味が悪い程の赤い瞳のヴォルデモートに、嫌な汗が流れた。
