Episode 1
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バシッ!!
「んー?今の音なんじゃぁ?」
凛はその声に慌てて高く生い茂った草むらの中へ、勢いよくしゃがみ込んだ。
(あっぶな!!
出る所間違えてたら、マグルに見られてた!)
そしてしばらくして、「儂もついに耳までおかしくなってしまったかのぅ・・・」という散歩をしていたであろう老人の声を聞き届けると、ゆっくりと立ち上がった。
(おかしい。
姿くらましも姿現しも問題なく使える。
なのに何故、実家には出来なかったの?
なら、守護霊を使って・・・)
凛は高架下まで歩くと、周りに人が居ない事を確認して、袖口から杖を取り出した。
『エクスペクト・パトローナム(守護霊よ、来たれ)』
凛が呪文を唱えると、杖先から白銀の糸のようなモノが出た。
そしてそれは次第に姿形へとなり、1匹の大鷲の姿になった。
白銀の大鷲は凛の頭上を一回りすると、足元へ降り立った。
『"ホグワーツの状況はどうなっていますか?
至急連絡をください。"
この伝言を闇祓い局へ・・・』
凛が白銀の大鷲に伝言を頼むと、白銀の大鷲は大きな翼を広げて飛び立った。
しかし、白銀の大鷲は空をくるくると飛び回り、再び凛の足元へと戻って来てしまった。
「え・・・?」
守護霊が・・・伝言が届けられない?
何かがおかしい・・・
あるはずの場所へ姿現しが出来ない・・・
あるはずの場所へ守護霊が飛ばせない・・・
知らない地名、知らない場所・・・
心臓の鼓動が早まる。
耳障りな程、鼓動が鼓膜に響く。
白銀の大鷲がフッと消えた場所から目が離せないまま、凛の背中に嫌な汗が流れた。
「・・・ここは、どこなの?」
どこからか飛んできた桜の花びらが目の前を舞った。