Episode 12
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スネイプは、凛の三学年上の生徒だった。
凛は慣れない英語圏内での生活や授業に中々着いて行けず、四苦八苦していた。
そんな凛の事を、スネイプは同寮の後輩として気に掛けているようだった。
『ーーーーだから、何度も言ってるだろ?
リンは砕いた蛇の牙を4計量入れた後、250度で12秒も加熱している。
ここは250度で10秒加熱しないと、失敗するんだ。
リンは2秒も多く加熱しすぎている。』
『・・・ごめん。
最後、聞き取れない。
ゆっくりもう少し、もう一度お願いします。』
顔中におできをつくった凛は、しょんぼりと落ち込みながらスネイプに尋ねた。
その凛のおできを隣から治療しながら、スネイプは再びゆっくりと同じ事を言った。
『リンは、2秒、多く、加熱しすぎている。』
『・・・許してほしい、2秒くらい。
それくらいで失敗する、有り得ない。
ケチくさい。』
スネイプは小さく溜め息を漏らすと、不貞腐れている凛の肩に優しく手を置いて、身体を自身の方へ向かせた。
『リン、いいか?
たかが2秒、されど2秒だ。
魔法薬というものは、名声を瓶の中に詰め、栄光を醸造し、死にすら蓋をする、そういう技を持っているんだ。
その魔法薬を調合するには、たった微量の違いでさえとても重要となってくる事なんだ。』
凛が聞き取れるようゆっくりと話すスネイプの言葉に、彼女は目を輝かせた。
『なんか、カッコイイ。
セブルス先輩が言うと、魔法薬の方が将来役立つ、杖振り回すより絶対。』
『ふっ、当然だ。
なぜなら、魔法薬は深淵にして偉大なるものなんだからな。』
一つの大鍋を前にして仲良さげに話す二つの黒い背中に、降谷は少し嫉妬した。
降谷の知らない凛の過去があって当然であるのにも関わらず、彼女の過去を知っているだけでなく共に過ごしているスネイプにーーーー
すると、場面が変わった。
凛が2年生になった頃の記憶だろうか。
眼鏡を掛けた男と顔立ちの整った男に、スネイプが虐められていた。
スネイプを虐めている2人の男の後ろには、その様子を見て笑っている顔中に傷だらけのある男と小太りの男が居た。
さらにその現場に野次を飛ばして楽しむ何人かの生徒も居る。
(どこの国であっても、こんなくだらない事で楽しむ奴らが居るもんだな・・・)
降谷は虐めの場面に嫌気が差し、眉間に皺を寄せた。
そしてその場に、凛と燃えるような赤髪を持つ女が走って現れた。
『やめてよ!
またジェームズたちなの!?』
『おっと・・・
リリーにリンじゃないか。』
四人の男は、怒っている凛に対して悪びれる様子もなく笑った。
『こんな人として低脳な事ばかりして・・・!
ジェームズにシリウス、セブルスにかけている魔法を早く解きなさい!
そして今すぐセブルスに謝りなさい!』
ジェームズと呼ばれたメガネを掛けた男とシリウスと呼ばれた顔立ちの整った男は、渋々といった感じで魔法を解いた。
しかし、謝る事はしなかった。
『謝ってって言ってるでしょ!?
貴方たちの後ろで見て笑ってるリーマスとピーターも!』
ジェームズとシリウスの後ろに立っていた、リーマスと呼ばれた顔中に傷がある男とピーターと呼ばれた小太りの男も謝ろうとはしない。
シリウスは凛の肩に手を優しく置くと、ニコリと微笑んだ。
『なぁ、リン。
んな怒んなって。』
『シリウスたちが私を怒らせてるんでしょ!』
『ま、怒ってても可愛いけどなー。
それに、これは仲良く遊んでただけだぜ?』
シリウスの言葉に凛の怒りが頂点に達したのか、肩に置かれた手を振り払いながら再び彼女は声を張り上げた。
『これのどこが遊びだと言うの!?
もういい加減にして!
貴方たちの陰湿で攻撃的なイジメにはうんざりなのよ!!』
次の瞬間、凛は眩しい程の光に包まれた。
光が落ち着くと、そこには白に近い銀髪にヴァイオレットカラーの瞳、そして背中から大きな翼を携えた凛が、目を見開いて呆然と立っていた。
突然姿の変わった凛に、辺りはざわつき始めた。
『ーーーーMiss.カンザキの姿が・・・』
『なんだ、あの姿は・・・
あれは人間なのか?』
『何言ってるんだ!
背中から大きな翼が生えてるんだぞ!?
人間じゃない!』
目の前に居たジェームズ、シリウス、リーマスやリリーは、凛の姿にポカンと口を開けた状態でその場から動けず、ピーターは後退りながらその場から逃げた。
