Episode 12
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場面が変わると、薄暗い隔離された場所に変わっていた。
無機質なコンクリートで囲まれ、あまりにも薄暗く、埃っぽい汚いその場所は、今が夜なのか朝なのかもわからない。
かろうじてわかるのは、この日もひどく雷が鳴り響いている事だけだ。
電気も火もなく、光が入る唯一の場所は建物の上の方にある小さな鉄格子の窓のみ。
その窓から雨水が入り込み、床に極僅かな水溜まりを作っている。
その建物内にある一段と太い鉄格子に囲まれた牢の中に、凛は静かに横たわっていた。
頭から足の先まで血が固まったものや土埃による汚れで覆われたボロボロの姿の彼女は、魔力を使わせない為だろうか、ほとんど食料や水を与えられていないようだった。
頬は痩せこけ、髪は痛みすぎて絡まり、肌や唇は荒れ、目は虚ろ、見えている範囲の手足はまさに骨と皮の状態だった。
今にも息を引き取りそうな状態の凛の姿を目の当たりにした降谷は、すぐさま彼女の元へ走り出そうとした。
しかし降谷の隣に居た凛が、彼の腕を掴んで止めた。
「零さん、大丈夫。
私は死んでいないから。」
「だがーーーーっ」
「大丈夫だよ。
この記憶はもうすぐ11歳になる時の記憶。
魔法大臣はあの日からここに放置しておけば、私が死ぬと思ったんだろうね。
あそこの私はちゃんと助けてもらえるよ。」
凛がそう言い終えた時、地下牢中に響き渡る程の爆発音が鳴り響いた。
降谷が視線をそちらへ移すと、そこには粉塵が舞う向こう側に立つ一人の老人が居た。
(彼は、凛のアルバムで見たーーーー)
太い鉄格子を一瞬にして爆破させた老人は、牢の中へ入って来ると、凛の傍でしゃがんだ。
『迎えが遅くなってすまない。
日本魔法省のヤツらの頭が固すぎて、ちと強行手段を取らせてもらった。』
「・・・だ、・・・?」
久しぶりに声を発した凛の声は、ひどくかすれていて声と呼ぶには難しかった。
それでもその音の意味がわかった老人は、変わらず会話を続ける。
『儂の名前は、アルバス・ダンブルドアじゃ。
君を我が校のホグワーツ魔法魔術学校へ、是非とも迎え入れたい。』
凛は英語が理解出来ないのだろう。
突然現れた目の前のダンブルドアを、力なく睨み付けた。
『おぉ、そうか!
ならばーーーー』
「これならどうじゃ?
儂の言葉がわかるかの?」
ダンブルドアは日本語で尋ねると、凛は弱々しく頷いた。
続けて口を開こうとした凛を、ダンブルドアは手を前に出して止めた。
「よいよい。
まずはこの辛気臭い場所から脱出して、治療をせねばならぬ。
話はそれからじゃ。」
ダンブルドアは、凛の足に付けられていた枷から伸びる鎖を魔法で断ち切った。
そして凛を横抱きにした。
「ちと気持ち悪くなるかもしれぬ。
すまないが、我慢してもらおうかの。」
ダンブルドアはそう言うと、姿くらましでその場から消えた。
