Episode 12
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
降谷がゆっくりと目を開けると、先程まで居たリビングとは違った場所に立っていた。
淡い日差しが差し込んだ木目調の造りの家、誰かが歌っている優しい歌声、開け放たれた窓からは桜の花びらが舞い飛んで室内へ入って来ている。
優しい歌声の持ち主は、腰程の長いストレートの黒髪を持つ美しい女だった。
その女は、微笑みながら愛しい眼差しをベビーベッドへ向けている。
女の隣には、黒髪の短髪に凛々しく整った顔立ちの男も立っていた。
その男もまた、優しく微笑みながら愛しい眼差しをベビーベッドへ向けている。
ベビーベッドにはとても可愛らしい顔立ちの赤ちゃんが、キャッキャッと笑いながら両手を女と男の方に向かって伸ばしていた。
「・・・ここは?」
「ここは私の記憶の中だよ。
だから向こうからは私たちの事は見えない。」
そう言って話す凛は、ベビーベッドの方を指差した。
「あそこのベビーベッドに居るのが私なの。」
"幸せな家庭"
この場面を見ただけでは、この言葉がピッタリの雰囲気だった。
すると、辺りに黒いモヤのようなものが広がり、場面が変わった。
目の前に居る小さな凛は、5歳くらいだろうか。
両手から細かな雪を作っては、空に向かって投げて遊んでいた。
その姿はあまりにも無邪気で微笑ましかった。
「私に魔力が出現したのは5歳の時だったの。
両親はもう1つの能力である氷の魔法もとても喜んでくれたわ。
"うちの凛は奇跡の子だー!"とか騒いじゃってさ・・・親バカでしょ。」
とても懐かしそうに、そして愛おしそうに両親に視線を向けている凛は、困ったように笑っていた。
この頃から凛は、ピアノに興味を持つようになっていた。
そして、それを機に母親からピアノを教わるようになった。
凛の母親は中々のスパルタだったようで、彼女は幼きながらも凄まじい早さで腕を磨き上げていった。
「私の母は、魔法界では結構有名なピアニストだったんだよ。
母の教えのお陰で、私もこう見えて結構ピアノが弾けるんだ。」
照れくさそうにへへっと笑った凛に、降谷も微笑んだ。
しかし、凛が話した母の事が過去形である事に違和感を覚えた。
(・・・彼女の母親は、今はピアニストを辞めたのだろうか?)
凛に出逢ってから彼女の口から両親について話された事はなかった。
それは何故なのか、降谷が考えていると、また場面が変わった。
目の前の光景は、先程までの幸せな家庭から一変していた。
玄関ドアを激しく叩く音、誰かの大きな声、ひどく震える小さな凛、その小さな彼女を護るようにして抱きしめる母親と父親の姿。
彼らの様子から、このような状況が今回が初めてではない事が安易にわかる。
「ドアを開けなさい!
ここに"規格外の魔女"が居る事はわかっています!
日本魔法省の指示に従わないつもりなら、我々は容赦しませんよ!?
早く開けなさい!」
("規格外の魔女"?
凛は他の魔女とは何かが違うのか?)
降谷はチラリと隣に立つ凛に視線を移しながら、ドアの向こうから聞こえる高圧的な言葉の数々に眉間にシワを寄せた。
「日本魔法省って言うのは、日本の魔法界の統治機構の事なの。
アイツらのせいで、私の両親は・・・」
凛は玄関ドアの方を鋭く睨み付けながら、拳を強く握った。
そして、降谷は彼女の発した言葉で、彼女の両親は日本魔法省の人間によって何らかの害を受けたのだと察した。
