Episode 22
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
安室に甲斐甲斐しくお世話をされ、無事に復活した凛は、数日ぶりのポアロへ出勤していた。
数日ぶりに出勤した日のシフトは梓とだったはずだが、何故か安室とのシフトに変更されていた。
安室の腹筋をしかと確認した日以来、凛は安室の顔を見れば彼の腹筋を思い出す為、まともに顔を見れなくなってしまっていた。
その結果、凛一人が気まずい思いを抱えたまま仕事をする事となり、気が付けば時計の針は14時過ぎを示していた。
(あれ、そういえば鶴山のおばあ様が今日来ていない・・・
どうかしたのかな・・・)
いつもであれば午前中には来店する常連客である鶴山が来店していない事に不安が過ぎった。
カラン・・・
鶴山の事を考えていると来店を知らせるベルが鳴り、凛が店の出入口の方へ視線を向けると一人と老婆が店内に入って来た。
その老婆は先程凛が気に掛けていた鶴山だった。
駆け寄ってきた凛に、鶴山は笑顔を向ける。
「鶴山のおばあ様、こんにちは!」
「凛ちゃん、こんにちは。」
「今日はいつもより遅めのご来店ですね。」
「そうなんだよ・・・」
彼女の身に何か遇ったのではないかと不安だったが、いつものようににこりと柔らかく微笑む鶴山の姿に凛は安堵した。
鶴山をカウンター席へ案内した後、オーダーを聞こうと鶴山の方へ腰を少し折った。
「えっと・・・
オーダーはいつものミックスサンドとホットコーヒーでよろしいですか?」
「んー・・・今日はミックスサンドだけにして、飲み物はお冷をお願いしようかしら。」
「・・・?
かしこまりました。」
ポアロのホットコーヒーが大好きな鶴山がホットコーヒーを頼まなかった事に疑問を抱きながらも、凛はカウンターへ戻ろうとした。
その時、鶴山の膝の上に置いてある鞄の中から病院から処方された薬が入った紙袋がチラリと見えた。
(・・・あ、お昼が遅くなったのは病院に行ってたからなんだ。
なら冷たい水より・・・)
凛はチラッと安室の方へ視線を移すと、その視線に気付いた安室は小さく頷いた。
どうやら彼も鶴山が午前中に病院へ行っていた事に気付いたようだ。
オーダーのミックスサンドを作っている安室の隣で湯を沸かしてコップに注ぐ。
トレーの上に出来上がったミックスサンドの皿と白湯の入ったコップを乗せると、鶴山の元へと向かった。
カウンターテーブルにミックスサンドと共に並べられた白湯を見た鶴山は、あぁ・・・と嬉しそうに微笑んだ。
「白湯にしてくれるなんて凛ちゃんは気が利くねぇ・・・
今日は病院の帰りでさ、お薬飲みたいって思ってたんだよ!
手間かけさせたね・・・ありがとう。」
鶴山からの感謝の言葉に微笑み返していると、安室と視線が合った。
その瞬間、安室に目尻を下げて微笑まれ、凛の顔に一気に熱が集中した。
その安室から逃げるように慌ててテーブル席の補充作業へと向かった。
そして凛はこの日の安室と一緒のシフトをなんとか無事に終えたのだった。
「・・・何これ。
すごく半日だけで疲れたんだが。」
凛がバックヤードにあるソファに座って項垂れていると、夕方から出勤して来た梓が心配げな表情で尋ねた。
「凛ちゃん、大丈夫?
そんなに今日は忙しかったの?」
「ううん、お店はいつも通りだったの。
体力的に疲れたんじゃなくて・・・
なんて言うか、精神的に?」
「何かあったの?」
凛が梓に相談しようか迷っていると、バックヤードへ安室が入って来た。
そして、帰り支度をすっかり終えた様子の凛に首を傾げる。
「おや?
凛さん、まだ帰らないんですか?」
「あ・・・
今日はこの後、蘭ちゃんと園子ちゃんと一緒にポアロでお茶する事になってて・・・」
「なるほど。
そうでしたか。」
安室がニコリと微笑むと、凛は再び一瞬にして顔に熱が溜まった。
いつもと変わらないはずの安室の笑顔が、何故だか凛の心を矢鱈と強く深く掻き乱す。
(!?
なんで零さんはあんな事しといて、何とも思わないのー!?
何あの爽やかな笑顔!
私ばっかり意識してるじゃない!
惚れた弱みってかーーーっ!)
その時、店内の方から凛を呼ぶ園子の声が聞こえた。
まさに天の助けの声に凛は安室と梓に軽く会釈すると、そそくさとバックヤードから出て行った。
「二人とも、学校お疲れ様。」
「凛さんもお疲れ様です!」
「今日は凛さんと早くお茶したくて、チャイム鳴った瞬間に帰って来ちゃったわ!」
そう言いながら笑う園子に、凛も嬉しくなって微笑んだ。
テーブル席に座ると、そこへ安室が水の入ったコップのトレーを手に持ってやって来た。
園子がメニュー表を開いて並ぶメニュー名を目で追いながら、蘭と凛に尋ねる。
「二人とも何にする?
お腹空いたし、何か食べようかなぁ・・・
私はオレンジジュースとショートケーキにしようかな。」
園子に向けられたメニュー表を蘭と覗きながら悩む。
ポアロのメニューは、正直どれも美味しい。
「うーん、私はウーロン茶とミルフィーユをお願いします。」
「どうしよっかな・・・
せっかく透さんが居るから、ホットコーヒーとフルーツタルトにしようかな。」
「かしこまりました。
少々お待ちくださいね。」
園子と蘭と凛のオーダーを聞いた安室は、カウンター内へと戻って行った。
そして、梓にオレンジジュースとウーロン茶の用意を頼んだ。
「それで?」
「ん?」
園子がニヤリと口元を持ち上げると、凛の方へ少し身を乗り出した。
「"ん?"じゃないわよ。
前から約束してたでしょ!
今日こそは、凛さんの恋愛話を詳しく聞かせてもらうわよ!」
園子からの凄まじい圧力に、凛は困ったように笑うしか出来なかった。
