Episode 1
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「大丈夫ですか?」
心配げな表情で尋ねてくる安室に、 凛は慌てて答えた。
「すみません、大丈夫です。」
「やはり自宅まで送っていきますよ?」
「本当に大丈夫です。」
「ですがーーーー」
「Curiosity kills the cat・・・」
「え・・・」
凛は安室の視線にゆっくりと視線を合わせ、そして見つめた。
安室のグレイッシュブルーの瞳と凛のヘーゼルの瞳が、この世界で初めて混じり合った。
(・・・あ、この人の瞳・・・すごく綺麗。 ごめんなさい、レジリメンス(開心)・・・)
凛が安室に開心術をかけた瞬間、凛の脳内に安室の記憶が流れ込んだ。
喫茶店で働く姿ーーーー
全身に黒を基調とした服を身に付け、任務を遂行する姿ーーーー
グレーのスーツを身に付け、危険な任務を遂行する姿ーーーー
(安室 透・・・喫茶店・・・探偵?
・・・バーボン?
偽名・・・コードネーム・・・あ、警察手帳だ・・・
何? 降谷、零・・・?
ーーーー!?
この人、警察庁警備局警備企画課ーーーーチヨダの!?)
「なんーーーーっ
やめろ!!」
安室は突然何者かに無理矢理心をこじ開けられているような不快感に耐え切れず、眉間にひどく皺を寄せた。
そしてその不快感に対して抗うように、無意識に右手を振り上げてしまった。
「わっ!」
その右手が安室の目の前に居た凛にかすめてしまい、凛は驚いて尻もちを着いた。
ハッとした安室が、慌ててしゃがんで凛に手を差し出す。
「すみません! 大丈夫ですか!?」
(今のはーーーー?)
「あ、大丈夫ですよ。」
凛は差し出された手には触れず、自力で立ち上がった。
そしてニコリと微笑んだ。
「助けて頂いただけでなく、駅まで送ってくださって・・・
何かとご親切にありがとうございました。」
凛は安室が闇の魔術に関する人間ではなかった事に安心し、にこやかな笑顔で礼を述べた。
すると、突如安室は右手で口元を抑え、勢いよく顔を横へ背けてしまった。
「あのー、大丈夫ですか?」
「ーーーーっ。
すみません、大丈夫ですよ。
ですが、実は貴女の事を助けたのは僕ではなくこの仔、ハロなんです。」
安室は足元に居たハロを抱き抱えて凛に見せた。
「アンッ!」
ドギュンッッ!!
どこからか聴こえたきた謎の効果音に、安室はキョロキョロと辺りを見回した。
凛は元気よく鳴いたハロを安室の腕から優しく抱き寄せると、礼を述べた。
「ありがとう、ハロちゃん。
ハロちゃんは私の小さな救世主だね。」
ハロは嬉しそうに凛に擦り寄った。
凛は吸い寄せられるようにして、ハロの真っ白でフワフワの胸元へと顔を寄せた。
「~~~~~っっっ
あーーーーーっ!
たまらん!たまらんですね、ハロさぁん!!
このもふもふ具合とか最高でございます!!
すー・・・はーっ すー・・・はーっっ
なっはぁぁっ!! 実にいい香りっすなぁぁぁぁ!」
ハロの胸元で顔面を埋めて鼻息を荒らげている凛に、ハロも安室も口元を引き攣らせた。
「・・・神崎さん?」
安室がハロを助ける為に声を掛けると、凛の鼻息はピタリと止まった。
そしてキリッとした顔付きで、安室にハロを手渡した。
「・・・では、本当にありがとうございました。」
「え、えぇ・・・
あの、僕は探偵をしていますので、良ければまた連絡してください。」
安室は"私立探偵 安室 透"と書かれた名刺を凛に差し出した。
凛は両手で名刺を受け取ると、ペコリと会釈して駅の方へと歩いて行った。
その後ろ姿を睨むようにして見ていた安室は、スマホを取り出して慣れた番号をタップした。
数コール後、電話先の相手の声が聞こえた。
「すまないが、至急調べて欲しい人物が居る。」
「どのような人物でしょうか?」
「千葉県在住、20代前半の女だ。
名前は神崎 凛。
恐らく国籍はイギリス。
腰まである黒髪にヘーゼルカラーの瞳、身長は150cm~155cm程度の痩せ型だ。」
「わかりました。
調べ次第報告書にてまとめます。」
「頼んだぞ、風見。」
安室は凛が歩いて行った方をしばらく鋭い目付きで見続けていた。
("Curiosity kills the cat"・・・好奇心は猫を殺す。
イギリスのことわざだ。
日本で言うなら"好奇心は身を滅ぼす"。
俺にこれ以上探るな、と言う事か・・・)
安室はスマホをポケットに入れると、駅とは違う方へと歩き出した。