Episode 12
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降谷がリビングドアを開けると、リビングはひんやりと涼しかった。
いや、少し寒いくらいだった。
そして、ベランダ窓の近くのフローリングに膝を抱えて座る凛が居た。
だがしかし、そこに座る凛の姿は白に近い銀髪に透き通るような白い肌、そして背中からは大きな翼を携えていた。
凛の周りはスターダストで囲まれており、それが光を浴びてキラキラと輝いている。
目を閉じて歌っている凛は、降谷の存在に気付いていないのだろう。
まるで雪の精霊のようなその幻想的な彼女の姿に、降谷は目が離せなくなった。
キィ・・・
リビングドアの軋む音が聞こえた。
目を閉じていた凛がゆっくりと目を開け、振り返った。
降谷のグレイッシュブルーの瞳と、凛のヴァイオレットの瞳が混じり合った瞬間ーーーー
「ーーーーぷろぁぁぁぁぁああああああっ!?!?」
「凛さん!」
凛は突然現れた降谷の姿に驚き、慌ててベランダの窓を勢いよく開けた。
そして手すりを乗り越えて、飛び立とうとした。
凛が何をしようとしているのか瞬時に察した降谷は、彼女の翼を痛めないように注意しながら後ろから抱きしめた。
「わ!?
ちょっ!危なっ!
はっ離して!」
「嫌だ。」
「なんでよ!
離して!見ないで!」
凛が暴れると辺りに羽根が舞い、降谷はそれが心配になった。
「凛さん、頼むから暴れないでくれ。
このままだと翼を痛めてしまいそうだ。」
「ーーーーっ
離してって言ってるのに!
見ないでって言ってるのに!」
「この姿も君の魔法に関するんだろ?
今更驚きはしないから。」
「零さんには見られたくなかったの!」
「凛さん?」
「こんな姿なんかーーーーっ
化け物の姿なんかっっ!」
ついには泣きながら叫ぶ凛に、降谷は抱きしめる腕に力を込めた。
「凛さんは、化け物じゃない。
この姿だって、俺から言わせれば綺麗だ。」
「嘘だ!
信じられないもん!
どうせ、零さんもこの姿を見た瞬間に化け物だって思ってるんでしょ!」
「なら凛さんが信じてくれるまで、何度だって言うさ。
俺は君の事を化け物だなんて思ってないし、この姿だって綺麗だ。」
何度か同じやり取りを繰り返した後、少し心が落ち着いた凛が、目の前にある降谷の腕を軽くポンポンと叩きながらポツリと呟いた。
「・・・もう逃げようとしないから、離して。」
降谷が抱きしめていた腕をゆっくり離すと、凛は元の姿に戻った。
背中の破れた衣服を魔法で直すと、降谷の方へ身体を向けた。
「・・・零さん、前に私が言った事覚えてる?
セブルスの事や私の生い立ちは必ず話すから、もう少しだけ待っててって言った事。」
「あぁ。」
「知って欲しいんだ。
ホグワーツで・・・魔法国で過ごしてきた私の過去を・・・
私のすべてを・・・」
凛は降谷の両手を、自身の両手で握った。
その彼女の瞳は、哀しみ苦しみ不安、そして恐怖の色が混じっていた。
降谷は握られた凛の両手をギュッと握り返した。
「教えて欲しい。
君のすべてを・・・」
降谷がそう言うと、一瞬にして眩しい程の真っ白な光に包まれ、凛と降谷は静かに目を閉じた。
