Episode 12
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テロ組織の主犯格の内の一人が、国外へ逃亡しようとしたのを無事に阻止した降谷は、白のRX-7の車内で一息ついていた。
時刻は、深夜0時を回った所だった。
「はぁ、疲れた。
・・・無性に凛さんの声が聞きたい。
ここまでくると、俺は重症だな。」
降谷は自嘲しながら、スマホの電源を入れた。
そこでようやく、現在の時刻を知った。
「・・・あ、もう0時を回っていたのか。」
さすがに迷惑だと思った降谷は、溜め息を漏らしながらスマホをポケットに入れた。
しかし自分の意思とは裏腹に、RX-7は凛のマンションへと走らせていた。
マンションに着くと、車内から凛の部屋がある場所の窓を見た。
凛の部屋は、まだ明かりが点いていた。
「・・・俺は一体何をやってるんだか。
これじゃストーカーと一緒じゃないか・・・
こんな事をしていれば、嫌われるのも時間の問題だな。」
降谷はハンドルに置いていた手の甲の上に、額をつけて項垂れた。
そして、ふと不安が過ぎった。
(・・・もし、未だに電気が点いているのが、ただ起きてるワケでなく彼女の身に何か遇ったのだとしたら?)
突然襲う強い不安。
そして、大切な同期たちが次々に自身からすり抜けて遠くへいってしまった感覚。
降谷は慌ててRX-7から降りると、エントランスへと向かった。
ちょうど降谷と同じタイミングで帰宅した他の住人の後を追いながらエントランスをくぐると、凛の部屋の前まで急いで向かった。
降谷がドアノブに手を掛けると、鍵が掛かっていて開かなかった。
迷った降谷は、ポケットからピッキングの道具を取り出し、鍵を開けて玄関へと入った。
玄関へ入ると、リビングの方から凛の歌声が聞こえてきた。
聞こえた凛の歌声に無事を確信した降谷は、安堵の息を漏らした。
そのまま静かに帰ろうとしたが、凛の歌声は、聞いた人を虜にして二度と離さないような美しい歌声だった。
降谷は帰ろうとして掴んでいたドアノブから手を離すと、その歌声に誘われるようにリビングまでの通路を歩いた。
『I think of you every morning.
(朝が来る度に貴方を想う)
When we first met, we didn't know anything about each other.
(出逢ったあの頃は、まだ何もお互いを知らなくて)
But before I knew it, you were always in my heart.
(いつの間にかいつでも貴方が心に居る)
You continue to shine strongly in the darkness.
(貴方は暗闇でも強く光り続ける)
You are the light of my hope.
(私の希望の光)
I want to protect you from all the darkness so that the light will not disappear.
(その光が消え失せぬよう 私がすべての闇から貴方を護りたい)
Your presence is the only thing that makes me strong.
(貴方が居てくれる それだけで私は強くなれる)
I just love you・・・
(ただ貴方を愛してる・・・)』
英語で歌われていたが、降谷には十分歌詞の意味を理解出来た。
その歌の意味を理解した降谷は、リビングへと続くドアの取っ手に手を掛けたまま、身体が動かなくなってしまった。
(誰を想って・・・そんな唄を歌うんだ。)
そして、降谷の頭を過ぎった人物の名前が一人ーーーー
(・・・あぁ、"彼"か・・・)
降谷は胸がズキリと痛み、眉を下げた。
そして手を掛けていたリビングドアの取っ手を引いた。
