Episode 12
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逃げた男に追い付く事など、安室にとっては簡単な事だった。
路地裏に入り、先が行き止まりの道まで男を追い込む。
先が行き止まりだとわかった男は、勢いよくこちら側に振り向いた。
「なっ何ですか、貴方は!?
さっきから何故俺に付きまとうんです!?
俺が貴方に何かしましたか!?」
「貴方の言う通り、僕には何もしていませんよ。
ただ、彼女にはしましたよね?」
「彼女って誰の事ですか!」
「ポアロの従業員の女性の事ですよ。」
「俺は何もやってない!」
「ホー・・・
しらばっくれるつもりですか?
いつまで知らないフリを出来るか見ものですね。」
男は目を左右に泳がせながら、じりじりと後ずさった。
その男に向かって、安室は微笑しながら右手を差し出した。
「貴方のスマホを見せてください。」
その目は微塵にも笑っておらず、ひどく冷ややかで恐ろしかった。
その安室の姿に男は怖気付いたが、頑なにスマホは出さなかった。
「おっ俺は何も撮っていないのに、何故スマホを見せなければいけないんだ!」
「ふふ・・・
貴方、今ご自分でした事を暴露したじゃないですか。」
「なっなんだと!?」
「僕は一言も"彼女を撮った"なんて言ってません。
ただ、"スマホを見せてくれ"と頼んだだけです。
なのに貴方は今、"何も撮っていない"と言いました。
それって、彼女の事を盗撮していたと認めた証拠ですよね?」
安室の言葉に、男は明らかな動揺を見せながら叫んだ。
「おっお前が!
俺のスマホを見せろって言うから!
そう疑われてんじゃねぇかって、誰でも思うだろ!」
「・・・まぁ、そんな事はどうでもいいんですが・・・
やましい事がなければ、スマホを見せてくれますよね?」
「うるせぇ!」
言い逃れが出来ないと悟った男は、安室に向かって右拳を突き出した。
安室は左手で男の右拳をいなすと、男の右手首を掴んで捻り上げた。
そして男のズボンの尻側のポケットに入っていたスマホを抜き取った。
「やっやめろ!!
触るな!」
安室は男の制止の声など聞かずにスマホを操作し、画像フォルダを開いて、画面を男の顔面スレスレに近付けた。
そこには、凛のスカートが風で舞った際に出来た隙間から撮ったであろうものが写し出されている。
「これでも何もやっていないと?」
男の右手を掴む手にさらに力を込め、低い声で尋ねる。
「い゛だだだだだだだだ!?
折れっ痛い!! 折れる!!!」
安室は痛みで泣き叫ぶ男を無視しながら、空いてる手で自分のスマホを操作して耳に当てた。
「風見か?
悪いが、今から言う場所へすぐに来て欲しい。
迷惑防止条例第4条3号違反の男を現行犯逮捕した。
・・・あぁ、頼んだ。」
安室が通話を終えた数分後、その場に風見が走ってやって来た。
男を風見に任せた安室はポアロへと戻り、何事もなかったように仕込みの再開をした。
