confession

晩御飯の後片付けを済まし、明日の朝食の準備も常より万全にしてからリキッドはチミッ子達が寝静まったのを確認してそっとパプワハウスを後にした。

ハーレムに来いと言われて頷いた以上は行かなければ明日以降の自分の命の保証もないしと言い訳しつつも、何が起きるか予想が付くだけに顔が火照る。

「しかしアイツラいるだろうにどーすんだろ…。」

ちょっと重い足取りでもそんなに遠い距離でもない。
あっという間にふざけた外観の獅子舞ハウスが目の前に現れた。

「?なんかやけに静かだな…。」

お隣の心戦組ハウスからは何だか賑やかな声がするが、獅子舞ハウスはしんとしている。

「こんばんは…隊長?」

「おう入れよ。」

一瞬留守かと期待したのも虚しく扉を叩くとハーレムの声がした。

「失礼シマス…」

「逃げずによく来たなあリっちゃん、こっち来いよ~。ん?何だソレ。」

恐る恐る扉を開けるとご機嫌のハーレムが一人晩酌中だ。と言っても、ろくにつまみも見当たらずひたすら酒瓶に取り囲まれているが。

「来なけりゃどんな目に合うかって脅したの誰だよ…。あーあ、またこんなに飲んで。晩御飯ちゃんと食べたんスか?」

「んー、晩飯ならそこに転がってるぜ。」

「酒瓶しかねーよ!もう…こんなこったろうと思って晩飯の残り持ってきたから食って下さい。酒だけじゃ胃に悪いッスよ!」

ハーレムが何だと訊いた包みをリキッドは開いてハーレムの前に押し出した。

「何だコレ。」

「ウチの今晩のおかずですよ。里芋とイカの煮っ転がしに、キンピラゴボウと、あと鰤大根。」

「ヤンキーなんざレンジでチンして料理とかほざくのが当たり前だろうに、こりゃまたどっかの年季が入ったお袋さんにも負けねー献立だな。」

「そりゃまあそんな時期もありましたけど、人間為せば成るッス!!」

力強く拳を固めて力説するリキッドを面白そうに眺めながらハーレムはおかずをチラッと一瞥した。

「コレを食えって?」

「食った方がいいでしょ、アルコールばっかじゃいくら体力馬…いや体力自慢の隊長でも今に体にガタ来ちまいますよ。」

「んじゃ食わせろよ。」

「は?」

「俺はフォークやスプーンは素晴らしく上手く使いこなすが、ハシは苦手でよ~。ほれ、あーん。」

「!!」

絶対嘘だ。
第一、手掴みでも気にしねぇくせにとリキッドは震えたが、またも身の安全の為に渋々期待に応えることにした。

「じゃあ…ハイ。」

リキッドにしても格別箸捌きが上手いわけでもない。
ヌルヌル里芋に苦戦したあげく、結局はお行儀そっちのけでブッスリ刺し貫いた芋を差し出す。

「うわー芋が痛そうだぜ。下手糞。」

「嫌なら自分で食えよ!!」

それでもハーレムはプルプルと震える箸先で差し出された芋をパクリとその口に納めた。

「ん、美味い。」

ムグムグとイカの味がしっかり沁みた芋を咀嚼しながら言うと、途端にリキッドの顔がパッと綻ぶ。

「ヘヘッ、そうでしょ?チミッ子達もお気に入りの一品なんスよコレ。」

「ふーん。しかし何で和食メインなんだ?」

自称アメリカ人が作る献立はこれでもかと言う位和食が多かった。

「献立豊富だし、使う油が少なくて済むから欧米料理よりヘルシーなんっすよ。飽きないように時々イタリアンとかスペイン料理なんかも作りますけど、パスタの麺打ちは1日掛かりッスから…。」

「成る程ね、こんな島じゃパスタも売ってねぇよな。」

「作り置き出来りゃもう少し頻繁に食べさせてやれっけど、狩りもしなきゃなんないんでなかなか時間が。」

それで数十分で炊けるご飯が大活躍するわけだ。
差し出されたイカをまたパク付きながらハーレムはリキッドを眺め直す。

料理の話になると水を得た魚のように話し出して「あーん」も無意識に自然にしていることに気が付いていないようだ。

「そういやロッド達はどうしたんすか?」

鰤をほぐしているところで思い出したように訊いてきたリキッドにハーレムはニヤリと顔を近付けてからかうように囁いた。

「追い出したに決まってんだろ?それともアイツラがいる家でヤりたかったか?
俺らの濃厚な関係を見せ付けてやりたいってんならお隣さんで宴会してるだろうから呼び戻すけどよ。」

「バッ…!!んな訳ねーだろ!!」


耳を押さえ真っ赤な顔で叫ぶリキッドの肩に顔を埋めてハーレムは笑う。

「クックッ…、まあな、俺もリっちゃんのイイ顔を他人に見せてやる気はねぇよ。」

「昔は誰がいても構わなかった癖に…。隊長に手込めにされかかってる俺を見捨てて去る同僚の後ろ姿が脳裏に焼き付いてるンすけど。」

拗ねた顔で睨むのすら可愛いと思うほどにリキッドに捕らわれている自分に苦笑しながら、ハーレムはリキッドの後頭部に回した手を引き寄せた。

「今は…駄目だ。見せてもやらねぇし聞かせてもやんねーよ。」

そう言って唇を塞いだ。

「ん、隊長…ま、まだおかずが…、」

角度を変えて唇を貪られ、鰤大根の入った容器が傾く。
中身がぶちまけられそうになる寸前でそれをリキッドから取り上げてテーブルに置く。

「飲んでたからな、もう満腹だ。残りは朝飯にでもするさ。次は…デザート食わせろよ。」

そう言ってリキッドを抱き上げた。

「えっ…?すんません、デザートは用意してないッス。」

「アホ、この場合はリっちゃんに決まってんだろ。」

ハーレムは相変わらず鈍い奴と笑いながらスタスタとベッドへリキッドを運ぶ。

「へっ…俺?」

「生クリームは無理だったが蜂蜜は用意したからよ。」

「???」

あまりに自然に食品名を上げられたためか、ベッドに下ろされて尚理解出来ないままキョトンとしているリキッドに苦笑し、耳に口を寄せるとゾワリと震えの来るような色っぽい声で分かりやすく説明してやる。

「リっちゃんの蜂蜜掛け…だ、なかなかのデザートだろ。」

「ッ!?」

ギョッとしたように目を見開き一気に退きかけた身体を捕らえてベッドに倒し、そのまま馬乗りになって何か言おうと開かれた唇を再度塞ぐ。

「ん、ンンッ…!!」

突っ張る腕ごと抱き締めながら舌を滑り込ませ、縮こまったリキッドを引き出すように絡ませる。

「ん…ッ、んあッ、はあッ…!」

ちゅ、と濡れた音を立てて唇が外れた時にはすっかりリキッドの呼吸は荒くなっていた。

「リキッド…」

名を呼ばれてリキッドの眼がハーレムを見つめ返す。
キスの間中与えられた刺激に赤らんだ頬と潤んだ目が扇情的でハーレムをそそった。

帯を解き、シャツの下へ手を忍ばせて肌を直接探ると、自分とは違う体温に一瞬にしてツブツブと肌が粟立つ。それでも構わず愛撫するとやがて馴染んでまた滑らかな手触りに戻っていく。
それが自分を受け入れようとするリキッドの無言の意思表示にも思えてハーレムは自然笑みがこぼれた。

「あ、や…、」

「んーん?ココよりコッチの方がイイか?」

「ひゃッ!」

唇を啄みながらクリクリと両胸のボタンを攻めていた手がスルリと股間へ滑り、服の上からそのままキュッと握り込まれてリキッドがのけぞる。

「もっとイイ声聞かせろよ…。」

「うあ、アンッ!やめ、そんなにしたらッ…!!」

「いいぜ…イっちまえ、俺の手で。」

煽るように躊躇いなく加えられる手淫にリキッドが慌てたように体を捩るがハーレムは逃がさない。

「だ、駄目…服…汚れちまっ…う…からッ!」

着替えを用意していないリキッドは必死にハーレムの腕に縋り付く。

「ああ…そっか、脱がした方がいいんだな?」

リキッドの訴えを理解したハーレムは言うなりリキッドの着衣をスルリと取り去ってしまう。

「は、早技…。」

「んなコトに感心してんな。コッチも早技だぜ?」


ベッド脇にポイッと捨てた手で直接扱き直されてリキッドは盛大に身体を跳ねさせた。

「うっひゃあッ!!」

「なんつー色気のない喘ぎだよ。」

苦笑しながら湿り気を帯び始めた先端部をグリグリ抉ると、リキッドの足がビクビクッと引きつった。

「…ア…ッ、」

「相変わらず弱いんだな、ココ。」

お互いの鼻がぶつかりそうなくらい顔を近付けて囁くと、快感に潤んだ目が睨み付けて来る。

「イイ顔だ…、エロくなってきたぜ。」

ニヤニヤとからかいながらも一層激しく追い上げる。

「う、くっ…、バカ…あっ!!」

ほどなくリキッドはそのまま絶頂へと一人追い詰められ、ハーレムの腕に爪を立てながら白濁で腹部を濡らした。



「はあっ…はっ…、ん、」

まだ息も荒いリキッドの唇を再び塞ぎながらハーレムは今リキッドが吐き出したモノを指先に掬い取る。

「力抜いとけよ。」

「あッ!」

後ろをつつかれてリキッドは目を見開いた。
何度となく同じことをしているのに始めはやはり緊張を伴う。

「コラ、抜けって言っただろ。言ったそばから力込めんなよ。」

「無茶、言、わないで…っ、下さい…よぉ、」

緊張は反射的なものだから、リキッドは必死に力を抜こうと意識的に息を吐く。

「はあ…、…あッ!」

一瞬の隙にハーレムの指はリキッドの奥へと潜り込んだ。
こうなってしまえばあとはハーレムの思うがままだ。

「あん!や、いきなりソコは…ッ、あんッ!!」

「よおし、イイ声出て来たな。」

ニンマリとハーレムが笑い、リキッドを思うさま鳴かせ始める。

「や、アッアッアッ!」

指先がソコを揉むようにグリグリと抉る度にリキッドの甘い喘ぎが上がる。

「可愛いぜ、リキッド。」

指一本で自分の思う様になる体だ。

「や、やだ、アッアッ、」

「やだじゃねぇだろ、ダラダラ我慢汁零して腰振りながら言っても説得力無いぜ…ホレホレ。」

「んアアアアッ!!」

悲鳴と共にビクビクと震える体だったが後一歩というところでハーレムは指を退いた。

「回数抑えろっつってたからなあ、取り敢えずもうちょい我慢しとけ。」

「ううッ…、」

奥深くのスポットを探っていた指を退き、今度は本数を増やして堅牢な淵を解すようにゆるゆると掻き回す。

「拡張する間に蜂蜜掛け試してみるか。粘度が高すぎて潤滑油代わりにはならねぇだろうが、舐めるにはもってこいだろ。」

「ふぇっ?」

金色の蜜がタラリと細い糸になってリキッドの乳首やらかぶりつきたくなる鎖骨やらに絡み付いていく。

「なかなかエロい格好だがあんまり掛けるとベタベタになっちまうな。」

「…蜂、蜜…?」

眉を寄せるリキッドは「勿体無い」と言いたそうだったが、グチュグチュっと掻き回されながら胸をかじられてまた声もなくのけぞるばかりだ。

「んー…甘えな。」

「あ、あ…!」

柔らかな乳頭を軽く歯で挟みながら舌先でチロチロと刺激すると、舌先に甘い蜂蜜の味とツンと尖ってしこる様子が伝わってくる。
そのまま唇ですっぽり覆い、舌先で押しつぶしながらキツく吸って離すと、ぷっくりと赤く色付いていた。

「ヤ~ラシイ色。」

ニンマリしながらもう一方も同じように貪ってやる。その間もリキッドを弄る指先は本数を増やしながら絶え間なく後ろをかき回していた。

「や、もう…ッ!!」

何度も先走る雫を塗り込められてリキッドがたまらずハーレムに取り縋る。

「ん…なんだ、もう待てないか?」

「たい…ちょおッ、い、意地悪しな、いでッ、」

もう後孔には3本もの指が捻じ込まれていた。広げながらも肝心の所は微かに掠めるばかりの指先にじれて、リキッドはハーレムにその先を強請る。

「どうして欲しいか言えよ…お前の望む通りにしてやるぜ。」

しかしハーレムはいつもは強請られたら直ぐに与えてやったものを、今はのんびりとリキッドの唇を啄みながら与えようとはしなかった。

「ッ…!」

ハーレムの意図を察したリキッドが羞恥に唇を噛む。

「どうした…いらねーのかよ?」

リキッドが快感を堪えれば意地悪く奥を刺激して、体に点った快感の火種を掻き立てながらハーレムはリキッドの耳元に囁く。

「ヒッ!…ッ、」

鎖骨に伝う蜂蜜を舐めつつビクッとのけぞって露わになる喉にも舌を這わせる。

耳穴に舌を差し入れてピチャリと濡れた音を立てながら後ろを深めにかき混ぜるとリキッドが堪えきれないように震え出した。

「い…れて、入れて…くれ、よ、」

とうとうリキッドがたまりかねて望みを言葉にした。

「何を?」

分かり切ってるくせにそれでもその先を言わせようととぼけるハーレムを潤んだ目で睨んでリキッドはやけくそのように言い募った。

「アンタの、これ!!」

「うぉッ、おまっ…!?」

リキッドは震える指先でハーレムの怒脹を服の上から握り締めて引き寄せ、自分の後孔へと導いた。

「早く…も、俺…ッ、」

泣き出しそうな声でせがまれてハーレムの欲望も膨れ上がる。

「分かったよ、口じゃ言えない恥ずかしがり屋さんだな…。」

苦笑してハーレムは着衣を寛げ、リキッドの望むものを引き出した。
リキッドの痴態に煽られて硬く反り返り熱く脈打ち始めていたそれをあてがう。

「充分には濡れてねぇからキツいぜ…力抜いとけよ。」

せわしなく浅い息を吐く頭を胸に抱き寄せ、指を引き抜いて代わりに切っ先をグイと押し込む。

「あうっ!!」

衝撃にリキッドがハーレムの首にしがみつく。
押し開かれた脚の間を割ってハーレムがゆっくりと体を進める度にリキッドの足の爪先がハーレムの腰を掠めた。

「う…ん、やっぱキツいなッ…!!おい、ちゃんと息、吐いてっか…?」

「あ、ああ…、」

「リキッド。」

名を呼ぶと赤くなった目が何かを訴えるように見つめ返してくる。

「そんな顔して俺を煽ってんのか?」

思わず暴走しそうになる欲望をやり過ごして、リキッドの汗ばんだこめかみを撫で、涙を拭い、宥めるように口付ける。
額、瞼、鼻の頭、頬と、そして薄く開いた唇を何度も。

「んッ…ァ、たい、ちょお…、」

「可愛い声出せるじゃねぇか…。けどあんまり煽ると手加減出来なくなるぜ?」

怪しい呂律で自分を呼ぶ様が堪らなく愛おしい。

「や、あ、煽ってなん、かッ…!」

「天然かよ…難儀な奴だな。そろそろ奥まで行くぜ、辛けりゃ言え…いいな?」

「あ、あああ…!」

大腿を抱え上げ、抵抗の少ない角度を狙ってハーレムがその身をおもむろにリキッドの奥深くへと埋め込んでいく。

「ひ、あああぁっ…ぁ、」

体を中から圧迫される苦しさにリキッドがのた打ちハーレムの背に爪を立てるが言葉にはならない。ハーレムは涙を拭ってやる一方でその腰を抱き寄せ、更なる深みへと押し入る。

「うあァッん!」

最後にハーレムが幾度か腰を使い、強引に全てをリキッドの中へと収めてしまった。

これ以上は無いくらいぴったりと寄り添って、二人の距離がゼロになる。
それでも、更に溶け合おうとするかのように二人の腰が揺れ動く。

「ああッ!あッ…!!たいちょっ…後ろ、灼けちまうよぉッ…!!」

「リキッド…!」

極太の杭に激しく体内を擦り立てられてリキッドが悲鳴を上げる。
何時もより水音が控えめな分、肉の摩擦がキツく、熱い。

スプリングの軋む速度が速くなるにつれ言葉も途切れ、しばらくの間激しい息遣いと肉の打ち合う乾いた音だけが部屋中に響く。

「あッ…!!ハアッ、ああッ…!!」

淫らなリズムが最高潮に達した時、リキッドが掠れた喘ぎと共に吐精した。
ビクビクと内股や腹筋までもが不随意に痙攣して、くわえ込んだハーレムを締め上げる。

「くぅ、ンッ…!!」

その強烈な締め付けに促されてハーレムもリキッドの中で弾けた。

「ふぁ、ん…ッ、」

言葉もないままリキッドは余韻に唇を震わせながら胸を大きく上下させていた。時折乾いた唇を舐める舌先の赤さがハーレムを魅了する。

「お前ヤバすぎ…ヤる度ヨくなってるぜ…。」

陶然と囁いて舌を追うように口付け、激しく舌の根まで貪る。

「んッ…、」

そのまま舌を絡め合いながらハーレムはゆっくりと腰を再び回した。

「んんッ!?」

目を見開いたリキッドに文句を言わせる隙を与えずにそのまま奥を軽く突くと、先程放ったモノが絡んで今度はグチュ、と濡れた音がした。

「んんッんーッ!!」

リキッドが背を叩くがハーレムはその手首を捕らえて押さえ込み、容赦なく腰を使う。
ハーレムの腰が打ちつけられる度に広げられた脚が空を何度も蹴るが、やがて力を失い、丸まった爪先がシーツを掻くばかりになる。

「あッあッやぁッ…!!」

唇が外れる頃にはリキッドは再び意味を成さない声ばかりを発するようになっていた。

「ああ、イイぜ…もっと感じろよ…!」

腰を抱え上げてより深くを突けば一層強く絡み付いてくるリキッドにハーレムは夢中になる。
何度体を合わせてもリキッドの体は初めて貫いた時の痺れるような締まりを失わず、それでいてどんな最高級の女よりも柔らかくハーレムに馴染んで手放し難かった。




「リキッド、」

「やあっ…!も…う、無理ィ…!!」

結局その晩、例のごとく限界までリキッドを追い上げ続けるハーレムに何度目か分からなくなる程イかされて、終いには泣きベソをかきだすリキッドだった。


※※※※※※※※※※※※※



「リっちゃん機嫌直せよ。」

「…。」

ようやくハーレムが満足を得る頃には腰の感覚も怪しくなるほど犯し尽くされ搾り取られたリキッドがすっかり拗ねていた。

「ヤりすぎたのは悪かったけどよ、お前ん中に入ると抑えが効かなくなっちまうんだよ。」

「…。」

約束を守らされるのはいつもリキッドばかりで破るのはハーレムの専売特許だが、さすがに無理をさせた意識はあるのだろう。機嫌を取ろうとするハーレムだったが、大分へそを曲げた相手に手を焼いていた。

「なあこっち向けって。」

「…。」

「…俺が下手に出てる内に振り返らねーと後で酷いぜ?」

「…ッ、このッ!!ヒトデナシ…!!」

理不尽な脅しに、掠れた罵声と共に振り返った泣きっ面のリキッドをハーレムは満面の笑みで抱き締めた。

「ハイハイ、俺は酷い男だな。」

「回数抑えてって頼んだばっかりじゃないすか…!」

「頭は覚えてたンだが下半身が暴走しちまってよー。」

「バカバカ…!隊長のドスケベ!」

「ハイハイ、そのとーり。」

力の入らない腕で胸を叩かれながらハーレムは苦笑してなすがままにさせていたが、直ぐに力尽きて自分の胸元に顔を伏せて来たリキッドの背や頭を宥めるように何度も撫でた。

「こんなじゃ明日立てないッス…。」

やがてポソリと呟いた言葉は責めながらもどことなく甘えているようでもあった。

「送ってってやるよ。」

「腰が痛いッス…。」

「抱っこして運んでやろうか?」

「…んな羞恥プレイは嫌ッス…。」

「お姫様ごっこしてたとでも言えば良いだろ。」

「不自然過ぎッしょ…。」

「この島には不自然な自然ばっかりじゃねぇか。誰も気にしやしねーよ。」

「…。」

「お前は鳥頭のクセに余計な心配ばっかりし過ぎだろ。もうちっと気楽になれよ。」

「…。」

「…リキッド?」

途切れた会話に胸元を見れば頭を預けたままリキッドは寝息を立てていた。
毎度ながら極限セックスにつき合わされて、終わった時に意識があっただけでも奇跡的だった。


「…ごめんなぁ、リっちゃん。」

力が抜けて重みの増した体を抱き締めて、リキッドの意識がある時には言わない単語を口にする。

結局自分はこの温かな存在を手放せなかった。
諦め悪く執念深い自分はこの先二度と同じ事は出来ないだろう。
自覚した上で再び手を伸ばした今は、もう。


――なにものにも代え難く愛している――

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