本作のヒロイン オペラップの本名
出会いー交際
ヒロインの名前
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今日は月に一度の野外ライブの日。
歌織は控室でワクワクしながらセットリストの曲目を確認し、パフォーマンスのイメージトレーニングに勤しんでいた。
「ふふふ……今月は何故だか恋愛ソングをたくさん歌いたい気分!!
可愛いのたくさん入れてきたんだ〜♪
みんな喜んでくれるとい・い・な♪」
自分でも理由の分からない高揚感に包まれ、歌織は上機嫌に鼻歌を口ずさむ。
すると、その独り言の直後——
「いやー間に合ってよかった」
ちょっと近所まで行くような軽いノリで、ひょっこりと姿を現した男が一人。
視界に飛び込んできたその赤い翼と見慣れた笑顔に、歌織は思わずビクッと肩を跳ねさせた。
「わっ!! ほ、ホークス!?
また来たんですか!?」
「そりゃあまぁ。
俺、オペラップさんのファンなんで♪」
少し悪戯っぽく目を細めて笑う彼の顔を見た瞬間、トキンと胸が大きく跳ねるのを感じる。
(……ま、急に背後に立たれたらびっくりするわね。
驚いただけ、驚いただけ……)
必死に自分に言い聞かせ、歌織は一呼吸置いて平静を装った。
「じゃあ、今日も張り切って歌いますからね!
楽しんでいってね!」
「ええ、期待してますよ」
明るく微笑み、歌織は弾むような足取りでステージへと跳び出していった。
◇
「みんなーーー!
今日も来てくれてありがとう!」
最初に叩き込んだのは、先日防音室で熱唱した『ボルテッカー』。
軽快でパワフルなイントロが響き渡った瞬間、会場のボルテージは一気に跳ね上がった。
曲に合わせて歌織の『個性』が反応し、空中に色鮮やかな心糸が展開されていく。
だが、そのカラフルな糸の中に——ふわふわと数本の淡い桜色の糸が混ざり、生まれては消えていった。
一曲歌い上げ、マイクを握る歌織が朗らかにMCへ入る。
「今月は可愛い曲月間なので、ラブソングいーっぱい歌ってくよ!
キュンキュンする用意は出来てるー!?」
「かわいー! オペラップー!」
「ピンクの心糸綺麗だねー!!」
客席から湧き上がる大きな歓声と黄色い声。
「ありがとー!」と無邪気に手を振る歌織だったが、会場のBGMと熱気にかき消され、
「ピンクの心糸」
という観客の言葉はまるで耳に届いていなかった。
「さて、お次の曲は〜!?」
そのまま約1時間半、MCを交えながら心糸を織り交ぜた圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。
その間もずっと、彼女の歌声に合わせてふわりと浮かんでは跡形もなく消えていく桜色の心糸。
それはまるで、本人の自覚もないまま静かに芽生えていく恋心が、そのまま可視化したかのような、あまりにも甘く儚い糸だった。
終演後、会場をあとにする観客たちの間では様々な感想や憶測が飛び交っていた。
「……なんか、今日のオペラップ……すんごい可愛かったよね?」
「うーん……なんかこう、浮かれてた……よな……?」
「ピンクの心糸、すごく綺麗だったなぁ!」
——そして。
そんな観客たちの中で、一番浮かれている男が一人。
ステージ裏。
タオルで首元の汗を拭い、息を整える歌織のもとへ、その男は静かに足音を忍ばせてやってきた。
「歌織さん……お疲れ様です」
いつになく落ち着き払った声で呼びかけられ、歌織は振り向く。
「あ…っ!ホークス……はぁ、楽しかったあ……!
なんだか今日は普段そこまで歌わないセトリだったからか、楽しんじゃいました♪
ホークスは?楽しめました?」
「ええ、すごく。
……お礼にささやかですが、空中散歩にお連れしますよ」
「えっちょ……」
言うが早いか。
ホークスは歌織の身体をひょいと軽々と抱き上げると、一気に羽を羽ばたかせた。
「ひゃああああっ!!?
きゅ、急に何してんですかーーーっ!!」
ぐんぐんと地上から遠ざかる景色と急上昇の浮遊感に悲鳴を上げ、歌織は思わずホークスの首元にひしっとしがみ付いた。
「……じっとして。もう着きますからね」
耳元で響く、低く心地よい声。
ほんの数秒の浮遊感のあと、二人が降り立ったのはオペラップビルの最上階・屋上だった。
「……はーっ! し、しぬかと思った……っ!
ホークス! いきなりすぎよ!」
地面に足をつけ、歌織は猛烈に怒りながらホークスを睨みつけた。
だが、胸を上下させて息を荒らげる彼女を見つめるホークスの瞳は、どこまでも深く、愛おしげに揺れていた。
(……いきなりすぎるのは、あんたでしょ)
歌織の歌声に乗って弾けた、あの隠しようもない桜色の心糸。
彼女の本心が何を意味しているのか——『本心』に作用する彼女の個性の特性を、ホークスが気づかないはずがなかった。
「ふ……。
いやあ。素晴らしいライブで感動しちゃって。
来月が待ち遠しいですよ」
ホークスは怒る歌織の正面に一歩踏み出すと、逃がさないように不敵な笑みを浮かべて覗き込んできた。
間近に迫る整った顔立ちと、熱を孕んだ琥珀色の瞳。
(!? ……な、なんでこの人、急にこんなに挑戦的なの……!?)
目の前のホークスから漂う圧倒的な男の気配に、歌織の心臓がうるさいほどドクドクと警鐘を鳴らす。
真っ赤になって焦る歌織の様子にすっかり満足した様子で、ホークスはフッと満足げに口元を緩めた。
「では、今日はこの辺で」
名残惜しさを一切見せない軽い挨拶を残し、彼はそのまま空へと滑らかに飛び去っていった。
「………な、なんだか……嵐の様な人だった……」
彼が見えなくなった瞬間、全身の力がふっと抜け、歌織はガクリと屋上の塀にもたれ掛かった。
未だにバクバクと暴れる胸を押さえながら、歌織は去っていった空をいつまでも見上げていることしかできなかった。
歌織は控室でワクワクしながらセットリストの曲目を確認し、パフォーマンスのイメージトレーニングに勤しんでいた。
「ふふふ……今月は何故だか恋愛ソングをたくさん歌いたい気分!!
可愛いのたくさん入れてきたんだ〜♪
みんな喜んでくれるとい・い・な♪」
自分でも理由の分からない高揚感に包まれ、歌織は上機嫌に鼻歌を口ずさむ。
すると、その独り言の直後——
「いやー間に合ってよかった」
ちょっと近所まで行くような軽いノリで、ひょっこりと姿を現した男が一人。
視界に飛び込んできたその赤い翼と見慣れた笑顔に、歌織は思わずビクッと肩を跳ねさせた。
「わっ!! ほ、ホークス!?
また来たんですか!?」
「そりゃあまぁ。
俺、オペラップさんのファンなんで♪」
少し悪戯っぽく目を細めて笑う彼の顔を見た瞬間、トキンと胸が大きく跳ねるのを感じる。
(……ま、急に背後に立たれたらびっくりするわね。
驚いただけ、驚いただけ……)
必死に自分に言い聞かせ、歌織は一呼吸置いて平静を装った。
「じゃあ、今日も張り切って歌いますからね!
楽しんでいってね!」
「ええ、期待してますよ」
明るく微笑み、歌織は弾むような足取りでステージへと跳び出していった。
◇
「みんなーーー!
今日も来てくれてありがとう!」
最初に叩き込んだのは、先日防音室で熱唱した『ボルテッカー』。
軽快でパワフルなイントロが響き渡った瞬間、会場のボルテージは一気に跳ね上がった。
曲に合わせて歌織の『個性』が反応し、空中に色鮮やかな心糸が展開されていく。
だが、そのカラフルな糸の中に——ふわふわと数本の淡い桜色の糸が混ざり、生まれては消えていった。
一曲歌い上げ、マイクを握る歌織が朗らかにMCへ入る。
「今月は可愛い曲月間なので、ラブソングいーっぱい歌ってくよ!
キュンキュンする用意は出来てるー!?」
「かわいー! オペラップー!」
「ピンクの心糸綺麗だねー!!」
客席から湧き上がる大きな歓声と黄色い声。
「ありがとー!」と無邪気に手を振る歌織だったが、会場のBGMと熱気にかき消され、
「ピンクの心糸」
という観客の言葉はまるで耳に届いていなかった。
「さて、お次の曲は〜!?」
そのまま約1時間半、MCを交えながら心糸を織り交ぜた圧巻のパフォーマンスを繰り広げた。
その間もずっと、彼女の歌声に合わせてふわりと浮かんでは跡形もなく消えていく桜色の心糸。
それはまるで、本人の自覚もないまま静かに芽生えていく恋心が、そのまま可視化したかのような、あまりにも甘く儚い糸だった。
終演後、会場をあとにする観客たちの間では様々な感想や憶測が飛び交っていた。
「……なんか、今日のオペラップ……すんごい可愛かったよね?」
「うーん……なんかこう、浮かれてた……よな……?」
「ピンクの心糸、すごく綺麗だったなぁ!」
——そして。
そんな観客たちの中で、一番浮かれている男が一人。
ステージ裏。
タオルで首元の汗を拭い、息を整える歌織のもとへ、その男は静かに足音を忍ばせてやってきた。
「歌織さん……お疲れ様です」
いつになく落ち着き払った声で呼びかけられ、歌織は振り向く。
「あ…っ!ホークス……はぁ、楽しかったあ……!
なんだか今日は普段そこまで歌わないセトリだったからか、楽しんじゃいました♪
ホークスは?楽しめました?」
「ええ、すごく。
……お礼にささやかですが、空中散歩にお連れしますよ」
「えっちょ……」
言うが早いか。
ホークスは歌織の身体をひょいと軽々と抱き上げると、一気に羽を羽ばたかせた。
「ひゃああああっ!!?
きゅ、急に何してんですかーーーっ!!」
ぐんぐんと地上から遠ざかる景色と急上昇の浮遊感に悲鳴を上げ、歌織は思わずホークスの首元にひしっとしがみ付いた。
「……じっとして。もう着きますからね」
耳元で響く、低く心地よい声。
ほんの数秒の浮遊感のあと、二人が降り立ったのはオペラップビルの最上階・屋上だった。
「……はーっ! し、しぬかと思った……っ!
ホークス! いきなりすぎよ!」
地面に足をつけ、歌織は猛烈に怒りながらホークスを睨みつけた。
だが、胸を上下させて息を荒らげる彼女を見つめるホークスの瞳は、どこまでも深く、愛おしげに揺れていた。
(……いきなりすぎるのは、あんたでしょ)
歌織の歌声に乗って弾けた、あの隠しようもない桜色の心糸。
彼女の本心が何を意味しているのか——『本心』に作用する彼女の個性の特性を、ホークスが気づかないはずがなかった。
「ふ……。
いやあ。素晴らしいライブで感動しちゃって。
来月が待ち遠しいですよ」
ホークスは怒る歌織の正面に一歩踏み出すと、逃がさないように不敵な笑みを浮かべて覗き込んできた。
間近に迫る整った顔立ちと、熱を孕んだ琥珀色の瞳。
(!? ……な、なんでこの人、急にこんなに挑戦的なの……!?)
目の前のホークスから漂う圧倒的な男の気配に、歌織の心臓がうるさいほどドクドクと警鐘を鳴らす。
真っ赤になって焦る歌織の様子にすっかり満足した様子で、ホークスはフッと満足げに口元を緩めた。
「では、今日はこの辺で」
名残惜しさを一切見せない軽い挨拶を残し、彼はそのまま空へと滑らかに飛び去っていった。
「………な、なんだか……嵐の様な人だった……」
彼が見えなくなった瞬間、全身の力がふっと抜け、歌織はガクリと屋上の塀にもたれ掛かった。
未だにバクバクと暴れる胸を押さえながら、歌織は去っていった空をいつまでも見上げていることしかできなかった。
