本作のヒロイン オペラップの本名
出会いー交際
ヒロインの名前
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あの日ホークスがおぺら食堂に来た日から、本当にちょくちょく店に寄る事が増えた。
食事をしに月に1〜2回、ライブの日はほぼ毎回。
チームアップミッションにもよく声がかかる様になった。
(……本当に常連さんになるとはねぇ。
そんなに気に入ったのかしら)
と一人上機嫌になるのだった。
確かに歌織は最近、サポートヒーローとしてプロヒーロー達の間で話題になっていた。
直接の事件解決数は多くない物の、良絽鼓舞でのバフ効果や丁寧な囲い込み、更にヤマアラシでの牽制等、ミドルプレイヤーとして心強いと人気を博していたのだ。
オペラップ自身も対人格闘術を磨いており、戦えるサポーターという事で、
「とりあえず近くにいて欲しいヒーロー」
として、プロヒーローの間で人気を博していた。
ーーー元々オペラップはヒーロー活動の一環としておぺら食堂を開いていた。
「おぺら食堂に行けば、2階の事務所に行けば、いつでもオペラップに会える」
困っている時に、不安な時に、気軽に話してみようと思ってもらえる場所になりたい。
その環境を作りたくて、店にしょっちゅう顔を出していたのだ。
「ううん……ありがたい事だけど、どうしたものか…」
頭をうんうん抱える歌織に大きな影が話しかける。
「……店の事は俺が見ておくから、あんたはヒーロー活動に専念しなよ。
今までもそうやってやってきたろう」
そう話すのは、おぺら食堂の店長だ。
「…… 昼夜くん。君の負担になっては申し訳ないよ…。
でも、君のおかげでいつも本当に助かってるの。ありがとう。
………それとこれとは別として、やっぱりもう少し人を雇おう!
私が店の手伝いあまり出来なくなりそうだからさぁ。
あと二人くらい募集してみよう!」
「……こっちこそ、あんたには世話になって感謝してる。
人員補充も助かるよ。よろしく頼む」
店の打ち合わせをする二人。
歌織は2階のオペラップ事務所にも顔を出した。
「お疲れ様〜!ゴリラくん!」
「っ!お疲れ様ですオペラップ!」
出迎えたのは、オペラップのサイドキックゴリラくん。個性は『ゴリラ』で、ゴリラっぽい事は大体できる。
オペラップの近接格闘訓練の手合わせ相手である。
「いつもこっち任せきりになっちゃってごめんねぇ〜!
パトロール中、異常なかった?」
「はい!ひったくりが一件ありまして、こちらで対処済みです!」
と敬礼するゴリラくん。
「おお〜!さすが!頼もしいねぇ♪
……でも、現場がまずい雰囲気だったらすぐに連絡してね!
お店は昼夜くんにお願いしてすぐに駆けつけるから!」
ゴリラくんは、嬉しそうに「ウス!」と一言返すのだった。
「さて、と……実は最近チームアップの依頼が多くてさぁ。
有難いんだけど、今週も結構あちこち行く事になりそう。」
とオペラップは申し訳なさそうにゴリラくんに伝える。
「喜ばしい事ですよ!
オペラップの実力が認められたんですもん!」
と、ニコニコ喜ぶサイドキックにつられて歌織も笑顔になる。
「今度は誰とチームアップなんすか?」
と質問するゴリラくんに
「えーとね、福岡でホークスのところかな」
とサラリと返す歌織。
「………え、ホークス?
前ライブ来てましたよね?」
「そうそう!
なんかサポート気に入ってくれたみたいでね、ちょくちょく声がかかるようになったのよ。
有難いわよねぇ♪」
と、心なしかウキウキした様子の歌織を怪訝そうに見つめる。
「………そ、そうすか………気をつけて行ってきてくださいね」
「うん!お土産買ってくるね!
明太子かな〜♪」
とご機嫌に出張の準備をする歌織を不安気に見つめた。
「……よし! それじゃあ留守中よろしくね、二人とも!」
「ウス! 無事のご帰還をお待ちしております!」
「……行ってらっしゃい。土産は明太子の煎餅がいい」
ゴリラくんのビシッとした敬礼と、昼夜くんの不器用ながら温かい見送りを受け、歌織は意気揚々と福岡へと向かった。
◇
「——やあ、遠路はるばるようこそオペラップ。
来てくれて助かりますよ」
福岡・ホークス事務所のオフィス。
出迎えたホークスは、いつもの飄々とした笑みを浮かべながら羽を軽く揺らした。
私服の時とは違う、プロヒーローとしての洗練されたオーラ。
だが、その瞳には歌織を迎える明確な歓喜が宿っている。
「ううん! こちらこそお呼び立ていただきありがとうございます、ホークス!
本日はよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。
……にしても、最近引っ張りだこらしいじゃないですか。
他のヒーローから『オペラップを独占するな』って小言言われちゃいましたよ」
「ふふ、そんなぁ。
私なんてまだまだですよ。
でも、そう言っていただけるならサポーター冥利に尽きます!」
謙虚に笑う歌織の姿に、ホークスは胸の奥がくすぐったくなるような感覚を覚える。
彼女がただのサポーターではないことは、共に現場に立てば一目瞭然だった。
◇
「——東地区の商業ビル付近でヴィラン発生! 複数犯、暴れて物資を強奪中!」
無線からの要請を受け、二人は即座に現場へと急行した。
現場では、巨体と硬化系の個性を持つ複数のヴィランが街頭を破壊し、周囲を混乱に陥れていた。
「俺が上から煽って分散させます。オペラップは——」
「了解です! 連携、合わせますね!」
ホークスが指示を出しきるより早く、歌織は動き出していた。
『——良絽鼓舞(よろこぶ)!』
歌織の凛とした歌声が戦場に響き渡る。
美しい白い心糸がホークスの全身を包み込むと、彼の感覚が跳ね上がるように研ぎ澄まされた。
自身の剛翼のコントロール速度、反応精度が格段に増していく。
(……相変わらず、とんでもないバフ効果だ。身体が軽い軽い……!)
「…行きますよ!」
ホークスが空を舞い、目にも留まらぬ速さで剛羽を飛ばしてヴィランたちの視界と動きを奪う。
そこへ、地上を疾走する歌織が追撃をかけた。
『——心音頭・鬼蜘蛛!』
彼女の指先から放たれた青い心糸が、縦横無尽に空間を交差する。
逃げ惑うヴィランたちの足元、手首、胴体を寸分の狂いもなく拘束し、その自由を完璧に奪い去った。
「な、なんだこの糸……解けねぇ!?」
『ヤマアラシ』
反撃しようと腕を振りかざした大柄なヴィランに対し、無数の細かい針状の心糸が飛ぶ。
硬質化する様な個性でなければそれなりに牽制になる程度の威力だが、足止めをするには十分だ。
間髪入れずに懐へ飛び込むと、近接格闘術による鮮やかな一撃と絡め手で、相手の戦意を完全に挫いてみせた。
「……すっご。対人手合わせもあのレベル?伊達じゃないねぇ」
上空からその鮮やかな立ち回りを観察していたホークスは、思わず漏れ出た溜息と共に地上へ舞い降りた。
自慢の剛羽で残りのヴィランを縛り上げ、収容を完了させる。
「完璧なサポート、感謝しますオペラップ。
おかげで被害ゼロ、最速で片付きました」
「いえ、ホークスの誘導とスピードがあってこそです!
やっぱりホークスとのチームアップはすごくやりやすいなぁ」
額の汗を拭いながら、達成感に満ちた弾けるような笑顔を向ける歌織。
その無防備で眩しい笑顔に、ホークスの胸がどきりと跳ねた。
(……やばいな。マジで手放したくなくなる……)
「……ねえ、歌織さん」
「ん? なに? ホークス」
ふと、プロとしての仮面を少しだけ外し、ホークスは距離を詰めて彼女の顔を覗き込んだ。
「そんなに色んな現場で引っ張りだこになられると、俺が困るんすよね」
「えっ? ど、どうして……?」
「俺の『最速』にここまで完璧について来られるサポーター、あなたしかいないんで。
……もっと俺専属くらいの勢いで、手元に置いておきたくなっちゃいますよ」
甘く低めな声で囁かれ、歌織は一瞬パチクリと目を丸くしたあと、ポッと頬を朱に染めた。
「も、もう! ホークス!
からかいすぎです……!
私、地元のおぺら食堂もありますし、福岡にばっかり居られませんよ!」
「冗談に見えます?
……俺は結構、本気なんですけどね」
フッと意味深に目を細めて微笑むホークス。
赤い翼がどこか愛おしそうに歌織の背後でふわリと揺れ、彼女を包み込むような影を作っていた。
(……明太子の煎餅、絶対に買って帰ろう……!)
ホークスの視線から逃げるように慌ててお土産の事を思い出し、思考を落ち着かせる歌織。
ホークスは心の底からこの心地よい時間を噛み締めていたのだった。
食事をしに月に1〜2回、ライブの日はほぼ毎回。
チームアップミッションにもよく声がかかる様になった。
(……本当に常連さんになるとはねぇ。
そんなに気に入ったのかしら)
と一人上機嫌になるのだった。
確かに歌織は最近、サポートヒーローとしてプロヒーロー達の間で話題になっていた。
直接の事件解決数は多くない物の、良絽鼓舞でのバフ効果や丁寧な囲い込み、更にヤマアラシでの牽制等、ミドルプレイヤーとして心強いと人気を博していたのだ。
オペラップ自身も対人格闘術を磨いており、戦えるサポーターという事で、
「とりあえず近くにいて欲しいヒーロー」
として、プロヒーローの間で人気を博していた。
ーーー元々オペラップはヒーロー活動の一環としておぺら食堂を開いていた。
「おぺら食堂に行けば、2階の事務所に行けば、いつでもオペラップに会える」
困っている時に、不安な時に、気軽に話してみようと思ってもらえる場所になりたい。
その環境を作りたくて、店にしょっちゅう顔を出していたのだ。
「ううん……ありがたい事だけど、どうしたものか…」
頭をうんうん抱える歌織に大きな影が話しかける。
「……店の事は俺が見ておくから、あんたはヒーロー活動に専念しなよ。
今までもそうやってやってきたろう」
そう話すのは、おぺら食堂の店長だ。
「…… 昼夜くん。君の負担になっては申し訳ないよ…。
でも、君のおかげでいつも本当に助かってるの。ありがとう。
………それとこれとは別として、やっぱりもう少し人を雇おう!
私が店の手伝いあまり出来なくなりそうだからさぁ。
あと二人くらい募集してみよう!」
「……こっちこそ、あんたには世話になって感謝してる。
人員補充も助かるよ。よろしく頼む」
店の打ち合わせをする二人。
歌織は2階のオペラップ事務所にも顔を出した。
「お疲れ様〜!ゴリラくん!」
「っ!お疲れ様ですオペラップ!」
出迎えたのは、オペラップのサイドキックゴリラくん。個性は『ゴリラ』で、ゴリラっぽい事は大体できる。
オペラップの近接格闘訓練の手合わせ相手である。
「いつもこっち任せきりになっちゃってごめんねぇ〜!
パトロール中、異常なかった?」
「はい!ひったくりが一件ありまして、こちらで対処済みです!」
と敬礼するゴリラくん。
「おお〜!さすが!頼もしいねぇ♪
……でも、現場がまずい雰囲気だったらすぐに連絡してね!
お店は昼夜くんにお願いしてすぐに駆けつけるから!」
ゴリラくんは、嬉しそうに「ウス!」と一言返すのだった。
「さて、と……実は最近チームアップの依頼が多くてさぁ。
有難いんだけど、今週も結構あちこち行く事になりそう。」
とオペラップは申し訳なさそうにゴリラくんに伝える。
「喜ばしい事ですよ!
オペラップの実力が認められたんですもん!」
と、ニコニコ喜ぶサイドキックにつられて歌織も笑顔になる。
「今度は誰とチームアップなんすか?」
と質問するゴリラくんに
「えーとね、福岡でホークスのところかな」
とサラリと返す歌織。
「………え、ホークス?
前ライブ来てましたよね?」
「そうそう!
なんかサポート気に入ってくれたみたいでね、ちょくちょく声がかかるようになったのよ。
有難いわよねぇ♪」
と、心なしかウキウキした様子の歌織を怪訝そうに見つめる。
「………そ、そうすか………気をつけて行ってきてくださいね」
「うん!お土産買ってくるね!
明太子かな〜♪」
とご機嫌に出張の準備をする歌織を不安気に見つめた。
「……よし! それじゃあ留守中よろしくね、二人とも!」
「ウス! 無事のご帰還をお待ちしております!」
「……行ってらっしゃい。土産は明太子の煎餅がいい」
ゴリラくんのビシッとした敬礼と、昼夜くんの不器用ながら温かい見送りを受け、歌織は意気揚々と福岡へと向かった。
◇
「——やあ、遠路はるばるようこそオペラップ。
来てくれて助かりますよ」
福岡・ホークス事務所のオフィス。
出迎えたホークスは、いつもの飄々とした笑みを浮かべながら羽を軽く揺らした。
私服の時とは違う、プロヒーローとしての洗練されたオーラ。
だが、その瞳には歌織を迎える明確な歓喜が宿っている。
「ううん! こちらこそお呼び立ていただきありがとうございます、ホークス!
本日はよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。
……にしても、最近引っ張りだこらしいじゃないですか。
他のヒーローから『オペラップを独占するな』って小言言われちゃいましたよ」
「ふふ、そんなぁ。
私なんてまだまだですよ。
でも、そう言っていただけるならサポーター冥利に尽きます!」
謙虚に笑う歌織の姿に、ホークスは胸の奥がくすぐったくなるような感覚を覚える。
彼女がただのサポーターではないことは、共に現場に立てば一目瞭然だった。
◇
「——東地区の商業ビル付近でヴィラン発生! 複数犯、暴れて物資を強奪中!」
無線からの要請を受け、二人は即座に現場へと急行した。
現場では、巨体と硬化系の個性を持つ複数のヴィランが街頭を破壊し、周囲を混乱に陥れていた。
「俺が上から煽って分散させます。オペラップは——」
「了解です! 連携、合わせますね!」
ホークスが指示を出しきるより早く、歌織は動き出していた。
『——良絽鼓舞(よろこぶ)!』
歌織の凛とした歌声が戦場に響き渡る。
美しい白い心糸がホークスの全身を包み込むと、彼の感覚が跳ね上がるように研ぎ澄まされた。
自身の剛翼のコントロール速度、反応精度が格段に増していく。
(……相変わらず、とんでもないバフ効果だ。身体が軽い軽い……!)
「…行きますよ!」
ホークスが空を舞い、目にも留まらぬ速さで剛羽を飛ばしてヴィランたちの視界と動きを奪う。
そこへ、地上を疾走する歌織が追撃をかけた。
『——心音頭・鬼蜘蛛!』
彼女の指先から放たれた青い心糸が、縦横無尽に空間を交差する。
逃げ惑うヴィランたちの足元、手首、胴体を寸分の狂いもなく拘束し、その自由を完璧に奪い去った。
「な、なんだこの糸……解けねぇ!?」
『ヤマアラシ』
反撃しようと腕を振りかざした大柄なヴィランに対し、無数の細かい針状の心糸が飛ぶ。
硬質化する様な個性でなければそれなりに牽制になる程度の威力だが、足止めをするには十分だ。
間髪入れずに懐へ飛び込むと、近接格闘術による鮮やかな一撃と絡め手で、相手の戦意を完全に挫いてみせた。
「……すっご。対人手合わせもあのレベル?伊達じゃないねぇ」
上空からその鮮やかな立ち回りを観察していたホークスは、思わず漏れ出た溜息と共に地上へ舞い降りた。
自慢の剛羽で残りのヴィランを縛り上げ、収容を完了させる。
「完璧なサポート、感謝しますオペラップ。
おかげで被害ゼロ、最速で片付きました」
「いえ、ホークスの誘導とスピードがあってこそです!
やっぱりホークスとのチームアップはすごくやりやすいなぁ」
額の汗を拭いながら、達成感に満ちた弾けるような笑顔を向ける歌織。
その無防備で眩しい笑顔に、ホークスの胸がどきりと跳ねた。
(……やばいな。マジで手放したくなくなる……)
「……ねえ、歌織さん」
「ん? なに? ホークス」
ふと、プロとしての仮面を少しだけ外し、ホークスは距離を詰めて彼女の顔を覗き込んだ。
「そんなに色んな現場で引っ張りだこになられると、俺が困るんすよね」
「えっ? ど、どうして……?」
「俺の『最速』にここまで完璧について来られるサポーター、あなたしかいないんで。
……もっと俺専属くらいの勢いで、手元に置いておきたくなっちゃいますよ」
甘く低めな声で囁かれ、歌織は一瞬パチクリと目を丸くしたあと、ポッと頬を朱に染めた。
「も、もう! ホークス!
からかいすぎです……!
私、地元のおぺら食堂もありますし、福岡にばっかり居られませんよ!」
「冗談に見えます?
……俺は結構、本気なんですけどね」
フッと意味深に目を細めて微笑むホークス。
赤い翼がどこか愛おしそうに歌織の背後でふわリと揺れ、彼女を包み込むような影を作っていた。
(……明太子の煎餅、絶対に買って帰ろう……!)
ホークスの視線から逃げるように慌ててお土産の事を思い出し、思考を落ち着かせる歌織。
ホークスは心の底からこの心地よい時間を噛み締めていたのだった。
