◆観音坂独歩
[窓際に立つ亡霊]
‐‐ 飲み会帰りの同僚から聞いた話なんですが…
‐‐
オフィスビルの前を通ったとき、電気がまだついていました
まだ誰か残っているんだなと思って見上げていると、ふっ、と電気が消えたんです
そのすぐ後、ぼうっと丸くて白っぽい光が浮かんできました
するとだんだん白い光は大きくなってきて、動きが止まったと思ったら今度は、窓に人のような形が浮かびあがってきたんです
そこからはもうビルの方を見ることができませんでした
‐‐
それ俺だ…
ちょうどその日、帰ろうかと思って執務室の電気を消したんだけど、雨が降ってないか気になって外を覗きに行った
電気をまたつけるのも面倒だったから携帯でライトをつけて窓の外を見に行ったんだ


[暗闇から聞こえる声]
‐‐ 警備員さんの話です
執務室の電気は消えていたが、
明かりが見えてて…たぶんパソコンの明かりだな
誰かいるんだと思っていたら、ブツブツとお経を唱えるような声が聞こえてきて…
怖くて中を確認できなかったよ
‐‐
ハゲ課長への恨みつらみを吐き出していた俺だと思う
というか、警備員さんはそんな怪しい状況なのに中を確認しなくて良かったんだろうか
‐‐ ほら、何かあったら警報なりますよね？
‐‐ それがないから良いんじゃないですか？


◆観音坂独歩
‐‐ [真夜中に漂う不思議な香り]
‐‐ 事務の女性から聞いた話です
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化粧ポーチを忘れちゃって。
その日が金曜だったのもあって
誰かが残ってたら取ってこようかな
と思って飲み会の帰りに会社に戻ったんです
入口から見たら執務室内は暗かったんですけど
自分の周りだけ電気つける人もいるので
試しにと思ってドアノブを回したら鍵は開いてて
ラッキーと思って、中に入ろうと思った時に
ジーとか、ガーとかっていう、変な音が聞こえてきて…
驚いていると今度はなんというか、
安らぐような香りがしてきて
遅い時間だったのもあってなんだか怖くなっちゃって
結局ポーチは取らずで引き返しちゃいました
‐‐
誰もいないときに珈琲が飲みたくなって
最近導入されたバリスタを使ってみたことがあったな
人がいるときには使いにくくて
みんなが帰ったような静かな時だったのもあったんだが
あれ、結構音がでるからビビったよ…