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Midnight ~Toru Hanagata

2024/03/06 16:50
深夜0時。

初めて来た彼氏の透くんの部屋で順番にお風呂に入った。

お風呂上がりの透くんの濡れた黒い髪。

たまらなく色っぽいくて触れたいけれど、背の高い透くんの髪の毛には、手を伸ばさないと触れられない。

「もらい物のワインだけど、飲むか?好きだろ?」

そう勧めてくれるけれど、私は早く透くんが欲しい。

そんなこと、私の口から言うのも恥ずかしくて、私の気持ちに気付いてほしくて、上目遣いにじとっと見つめて、返事をした。

『うん…ありがと』

そんなことまるで気付いていないみたいに、透くんはワインを準備してくれる。

そんな透くんに少しがっかりした気持ちで後ろ姿を眺めた。

それでも、スマートにワインを開けてくれる姿は最高にかっこいい。

ワイングラスはないからと、普通のグラスになみなみと注がれたワインを透くんから受け取って、二人で、ベッドサイドに腰かけて乾杯した。

一口飲んでグラスを置くと、私は我慢できなくなって、距離を縮めて透くんの髪の毛に触れた。

濡れた髪を触ると、透くんのいつものシャンプーの薫りが漂う。

今日は、私も…同じ薫りがしているはず。

「どうした?そんな目で見られたら…」

透くんも持っていたグラスを置き、私の髪の毛を梳いて、耳にかけると、耳元でささやいた。

「我慢できなくなるだろ…」

『私は、透くんがいい…透くんが欲しいの…』

そう伝えると、恥ずかしくなって、首元に額を付けて顔を隠した。

透くんの匂いがよりダイレクトに感じられて、私の欲望のボルテージが上がる。

「顔、あげろよ…」

透くんの言葉に従って、顔を上げると、眼鏡を外した透くんの顔が近づいてくる。

目を閉じて、彼の唇が触れる瞬間を待ちわびた。

そして、蕩けるような熱い夜に溺れていった。

***
Inspired by 椎名林檎 「真夜中は純潔」

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