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Graduation ~Minoru Matsumoto

2024/03/06 16:49
卒業式。

俺は、この山王工業での三年間を思い浮かべた。

辛いことの方が…多かったかもしれない。

俺はいつも二番手・三番手で、目立ちたい気持ちを持ち合わせていても目立てない…そんな三年間だった。

自信のあったバスケでも、上には上がいることを嫌というほど味わった。

3年で何とかレギュラーを勝ち取っても、夏のIHではまさかの初戦負け。

秋の国体でも、優勝は出来なかった。

冬の選抜での優勝、これは一生忘れられないだろう。

いつも辛い時、目を閉じ、大好きな彼女の顔を思い浮かべた。


「いつも一番にはなれないんだよな…」

なんて弱音を吐いたときは、

「稔くんは、私の一番だよ」

と、優しく微笑んでくれた。

そんな彼女のおかげで、バスケも辞めないで続けてこられた。

そして、大学でもバスケを続ける。

偶然にも、俺は彼女と同じ大学に進学する。

これからも隣で、そっと微笑んでいて欲しい。

俺は、卒業式で涙を浮かべる彼女を横目で見ながら、思わずもらい泣きしてしまった。

外に出れば、まだ雪が残るがすっきりと晴れた青い空。

俺の第二ボタンは、俺の手の中に。
それ以外のボタンは欲しい子達にあげた。

『稔くーん!』

彼女の呼ぶ声が聞こえる。

振り返って彼女に第二ボタンを差し出す。

「これからも、よろしくな!」

『こちらこそ!ずっと一緒にいてね!』

彼女は俺の大好きな笑顔で笑ってくれた。


***
Inspired by レミオロメン 「3月9日」

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