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Helpless ~Soichiro Jin

2024/03/06 16:54
同じクラスの神くん。

自転車で通学している途中でよくすれ違う。

私も朝練に向かう途中で、急いでいるから、お互い何となく存在は認識していても、声をかけたこともかけられたこともない。

クラスでも接点はないから、ただのクラスメイトだ。

そんな私たちの関係が友達に変わったのは、偶然、赤信号で止まった時に喋りかけられたから。

「朝、よくすれ違うよね?」

『そうだね。いつも追い抜かされるから、ちょっと悔しいって思ってたんだ』

「ははっ!実は俺、追い抜かしてやるって頑張って、追い抜かしてるんだよね」

こんな会話を交わしながら、その日は一緒に登校した。

それ以降、私たちは会えた日は、一緒に登校するようになった。

特に約束をして待ち合わせている訳ではないので、朝会えないときは、落ち込む。

私は、神くんと会話すればするほどに、彼のこともっと知りたいと思うようになった。

あのまっすぐな瞳の奥にある感情を読み取ろうと必死になる私。

それは、友達として、彼に興味があるから。



そんなある日、昼休みに彼が告白される現場を見てしまった。

告白した女の子に優しく微笑みかける神くん。


そんな彼を見て、

私だけの神宗一郎でいて欲しい…私だけに笑いかけて…

こんな気持ちを神くんに抱いていたことに気付いた私は、胸の動悸が止まらなくなった。

急いでその場を立ち去る。

明日の朝、どんな顔してあなたに会えばいいの。

雨でも降ってくれればいいのに。

もう友達の顔をして、あなたに会えない。

あなたのこと、好きな気持ちもう押さえきれない。


***
Inspired by Hertsdales 「Helpless Game」

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