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Snow ~Nobunaga Kiyota

2024/03/06 16:51
『あっ……雪!』

嬉しそうな彼女の横顔に、俺もテンションが上がる。

「マジ!積もりそうじゃね?」

『明日の朝が、楽しみだね~』

「おう!」

俺は、彼女の冷たくなった左手を握って、右ポケットに少し強引に入れた。

『ふふっ…暖かい…』

嬉しそうに微笑む彼女に、俺も一緒になって笑う。

『のぶくんの祈りが通じた?』

「に決まってる!」

数日前に、雪が全然降らないことを嘆いていた俺のこと、覚えていたらしい。

『雪ではしゃいで転ばないでね』

「へーい…」

そん時に落ち葉を蹴っ飛ばしてスッ転んだんだから、忘れてるはず無いか……

ポケットの中の手を握り直して、一緒に暮らす家へと帰った。


――翌朝。

『わぁ~積もってる!外、行ってみようよ!』

「よっしゃ!」

そう言って、二人でじゃれあう様にして外に出た。

新雪に二人の足跡だけが付いていく。

嬉しそうに2、3歩駆けだそうとした彼女が足を滑らせる。

『わぁ!』

転びそうになった彼女を俺は慌てて抱き留めた。

『ごめっ…のぶくん、ありがと』

「任せとけって!俺は、気を付けてたからな」

『そうでした』

クスクスとひとしきり笑った後、今度は手を握りあって、転ばないよう慎重に歩く。

身長差のある俺と彼女の歩幅は違うが、雪の日、いつもよりさらにゆっくり散歩するのも悪くない。

キュッキュッと新雪を踏む足音が、乾いた空気に響く。

はにかんだ笑顔の俺と彼女。

こんな毎日が、ずっと続きますように。

***
Inspired by BUMP OF CHICKEN 「スノースマイル」
2024.3.13.加筆修正

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