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*092:可愛い悪戯*藤真健司*
高3設定。付き合ってます。
新しく色付きのリップを買った。
程よい発色で、いつもよりほんの少しでも可愛いって思ってもらえるかな?って思い浮かべるのは、彼氏である藤真健司の顔。
バスケ部の主将兼監督で、見目麗しい男である。
幼いころから「可愛い」と言われまくってきたであろうこの男は、あまり自分から人のことを可愛いとか言うタイプではない。
めったに言わない可愛いの言葉が欲しいとは思うけれど…顔を合わせれば、甘い雰囲気になるより友達みたいなノリでポンポン会話をするし、ちょっと可愛くなかったかな?って態度に出ちゃうこともある。
別にお互いにそんなことは慣れっこだし、後引くような喧嘩をすることもない。
お互いに好きだからこそ、絶妙なラインでやり取りしているし、割りとさっぱりした関係で後引くような喧嘩をしたことも無いから相思相愛だと思っている。
超絶モテる彼氏を持っていても、信頼しあっている関係だからこそ、今のところは嫉妬をしたこともない。
花形に言わせると「思う仲は涼しい」のだそうだ。
そんな風に周りに思われているのは、悪くないけれど、甘い雰囲気になって言葉で褒められたい。
「可愛い」って言われたいというのは、そんなにわがままなことじゃないよね?
昼休み、友だちとお弁当を食べた後に、トイレでこのリップを塗り直して、向かう先はバスケ部の部室。
藤真の昼休みは、大体この部室で監督の仕事である練習メニューを考えたりしていることが多いからだ。
もちろん、3年のレギュラーメンバーがいることも多いけれど、見知った仲だから、別にいても構わない。
トントンとノックしても返事がないけれど、ガチャリとドアが開いたので、誰かは中にいるようだ。
『ふーじま!』
声をかけても返事はない。
抜き足差し足忍び足…で、こっそり中を伺ってみれば、ベンチで仰向けになってお昼寝をしている男子がいた。
藤真がいつも練習メニューを記入しているノートがいい具合にかぶさっているので、昼寝をしているのは藤真で間違いないだろう。
顔からそっとノートを取り除いてやる。
綺麗な寝顔と額には傷の跡が見える。
悪戯心がむくむくと湧き上がり、私はリップを取り出して、藤真の唇に塗ってみた。
つやつやした唇が、藤真を引き立てているみたいで、
『可愛すぎ…』
思わず口からため息とともに言葉が漏れる。
ちょっと悔しくなって、藤真の鼻をつまんでみれば、パチッと目を開けた。
「……名前…?」
『おはよ。疲れてる?』
「…なんか、いつもより可愛いな……」
完全に不意打ちな言葉に、ドキドキしてしまう。
寝起きの掠れた声も反則だ。
『……っ…ちょ、恥ずかしいんだけど』
藤真は、ククっと笑って身体を起こした。
「たまにはいいだろ?」
『そう、だねぇ……』
「顔、近づけて」
『ん…?』
藤真の意図が分からないまま、顔を近づけると、頬にチュッとキスされた。
「何かヌルヌルする…」
『あー!ほっぺに色ついてない?』
「あー、何か付いてるぞ?」
『藤真の口にリップ塗ったのに、とれちゃったじゃん!』
「は?変なもん塗るなよな…」
『だって、藤真の顔が綺麗すぎるから…』
藤真は自分の唇を指で拭ってから、私の頬もごしごしと擦った。
「っし、取れた。ついでに唇のもとっとくか?」
『遠慮しとく。この色、似合ってるでしょ?』
「キスしたいくらいには…な」
ニヤリと笑った藤真は、私のリップを拭い取るようなキスをした。
可愛い悪戯計画は見事に失敗し、私のドキドキだけがいつまでも残ったのだった。
***
2023.5.29.
れいれいさん、キャラリクエストありがとうございます!
「思う仲は涼しい」という諺が似合うカップルを書きたくて。
高3設定。付き合ってます。
新しく色付きのリップを買った。
程よい発色で、いつもよりほんの少しでも可愛いって思ってもらえるかな?って思い浮かべるのは、彼氏である藤真健司の顔。
バスケ部の主将兼監督で、見目麗しい男である。
幼いころから「可愛い」と言われまくってきたであろうこの男は、あまり自分から人のことを可愛いとか言うタイプではない。
めったに言わない可愛いの言葉が欲しいとは思うけれど…顔を合わせれば、甘い雰囲気になるより友達みたいなノリでポンポン会話をするし、ちょっと可愛くなかったかな?って態度に出ちゃうこともある。
別にお互いにそんなことは慣れっこだし、後引くような喧嘩をすることもない。
お互いに好きだからこそ、絶妙なラインでやり取りしているし、割りとさっぱりした関係で後引くような喧嘩をしたことも無いから相思相愛だと思っている。
超絶モテる彼氏を持っていても、信頼しあっている関係だからこそ、今のところは嫉妬をしたこともない。
花形に言わせると「思う仲は涼しい」のだそうだ。
そんな風に周りに思われているのは、悪くないけれど、甘い雰囲気になって言葉で褒められたい。
「可愛い」って言われたいというのは、そんなにわがままなことじゃないよね?
昼休み、友だちとお弁当を食べた後に、トイレでこのリップを塗り直して、向かう先はバスケ部の部室。
藤真の昼休みは、大体この部室で監督の仕事である練習メニューを考えたりしていることが多いからだ。
もちろん、3年のレギュラーメンバーがいることも多いけれど、見知った仲だから、別にいても構わない。
トントンとノックしても返事がないけれど、ガチャリとドアが開いたので、誰かは中にいるようだ。
『ふーじま!』
声をかけても返事はない。
抜き足差し足忍び足…で、こっそり中を伺ってみれば、ベンチで仰向けになってお昼寝をしている男子がいた。
藤真がいつも練習メニューを記入しているノートがいい具合にかぶさっているので、昼寝をしているのは藤真で間違いないだろう。
顔からそっとノートを取り除いてやる。
綺麗な寝顔と額には傷の跡が見える。
悪戯心がむくむくと湧き上がり、私はリップを取り出して、藤真の唇に塗ってみた。
つやつやした唇が、藤真を引き立てているみたいで、
『可愛すぎ…』
思わず口からため息とともに言葉が漏れる。
ちょっと悔しくなって、藤真の鼻をつまんでみれば、パチッと目を開けた。
「……名前…?」
『おはよ。疲れてる?』
「…なんか、いつもより可愛いな……」
完全に不意打ちな言葉に、ドキドキしてしまう。
寝起きの掠れた声も反則だ。
『……っ…ちょ、恥ずかしいんだけど』
藤真は、ククっと笑って身体を起こした。
「たまにはいいだろ?」
『そう、だねぇ……』
「顔、近づけて」
『ん…?』
藤真の意図が分からないまま、顔を近づけると、頬にチュッとキスされた。
「何かヌルヌルする…」
『あー!ほっぺに色ついてない?』
「あー、何か付いてるぞ?」
『藤真の口にリップ塗ったのに、とれちゃったじゃん!』
「は?変なもん塗るなよな…」
『だって、藤真の顔が綺麗すぎるから…』
藤真は自分の唇を指で拭ってから、私の頬もごしごしと擦った。
「っし、取れた。ついでに唇のもとっとくか?」
『遠慮しとく。この色、似合ってるでしょ?』
「キスしたいくらいには…な」
ニヤリと笑った藤真は、私のリップを拭い取るようなキスをした。
可愛い悪戯計画は見事に失敗し、私のドキドキだけがいつまでも残ったのだった。
***
2023.5.29.
れいれいさん、キャラリクエストありがとうございます!
「思う仲は涼しい」という諺が似合うカップルを書きたくて。