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*086:水に降る雪*牧紳一*
付き合ってます。高校卒業式後のお話。
慌ただしい卒業式が終わった次の日、私と紳一は海に来た。
恋人同士である私たちは、バスケ部のマネージャーとキャプテンでもあり、冬の選抜まで共に戦った仲間でもある。
私は内部進学でそのまま海南大へ、紳一はバスケの推薦で都内の大学へと進学が決まっている。
すでに紳一は大学の練習に混ざっているけれど、大学の寮に入るのは4月からだそうで、二人で気軽に会えるのはあと少し。
『やっと、二人っきりになれた気がする』
「そうだな…昨日の卒業式は大変だったからな」
『そうそう、ノブの号泣は大変だったし、紳一のお母さんへの挨拶は緊張するし…』
「改めて、マネージャー、お疲れ様」
『紳一こそ、キャプテンお疲れ様……ん?冷たい?』
上を見上げると、曇り空から季節外れの雪がちらちらと降ってきた。
「雪か…」
『だね、こんな時期に降るなんて…』
海面に吸い込まれるように降る雪になんだか切なくなってしまう。
雪だって積もりたいはずなのに、海に下りついてしまった雪は積もることなく溶けていく…
普段なら気にも留めないようなことにいちいち悲しくなってしまうのは、大好きな紳一との別れが近づいているからに他ならない。
でも、そんなことを紳一に悟られるのは嫌で、その寂しさを隠すように甘えてみる。
『寒すぎるから、あっためて!』
紳一の足の間に入り込めば、紳一は後ろからぎゅーっと抱きしめてくれた。
「どうだ?あったかいか?」
『んー、まだ寒い』
こんな風にわがまま言って困らせちゃう彼女でも好きでいてくれる?
心の中の声は、紳一には届かないけれど、いつも紳一は私を甘やかしてくれる。
紳一は、来ていたジャケットを脱いで、膝にかけてくれる。
「これならどうだ?」
『ありがと…』
改めて、ぎゅっと後ろから抱きしめられる。
そして、私の肩に紳一はあごを乗せた。
こんな風に甘えてくるなんて、珍しいよな…
「正直、おまえと離れてバスケするのに不安がある」
『紳一なら大丈夫だと思うけど…』
「俺が名前のこと、どれだけ頼りにしていたと思ってるんだ…」
『そう?頼りにしてたのは私の方だよ…』
「離れ離れでも、大丈夫だろうか?」
『大丈夫じゃないって言ったら?』
「それは困るな…」
お互いがそれぞれの環境で頑張らなくちゃいけないし、実際、何とかなるって分かっているけれど、今日くらいお互い甘ったれたこと言っても許される気がする。
雪が降る日でよかった。
寒さのせいにして、くっついて甘えられるから…
私は首をひねって、紳一にキスをした。
『今日だけ、甘ったれでいさせて』
「俺も、甘えたこと、言わせてくれ…」
海南では帝王と女帝なんて呼ばれた私たちのこんな姿は海南バスケ部の後輩たちには見せられないな…なんて思いながら、再びキスをしてぬくもりを確かめあった。
***
2023.5.20.
きゆさま、キャラリクエストありがとうございます!
付き合ってます。高校卒業式後のお話。
慌ただしい卒業式が終わった次の日、私と紳一は海に来た。
恋人同士である私たちは、バスケ部のマネージャーとキャプテンでもあり、冬の選抜まで共に戦った仲間でもある。
私は内部進学でそのまま海南大へ、紳一はバスケの推薦で都内の大学へと進学が決まっている。
すでに紳一は大学の練習に混ざっているけれど、大学の寮に入るのは4月からだそうで、二人で気軽に会えるのはあと少し。
『やっと、二人っきりになれた気がする』
「そうだな…昨日の卒業式は大変だったからな」
『そうそう、ノブの号泣は大変だったし、紳一のお母さんへの挨拶は緊張するし…』
「改めて、マネージャー、お疲れ様」
『紳一こそ、キャプテンお疲れ様……ん?冷たい?』
上を見上げると、曇り空から季節外れの雪がちらちらと降ってきた。
「雪か…」
『だね、こんな時期に降るなんて…』
海面に吸い込まれるように降る雪になんだか切なくなってしまう。
雪だって積もりたいはずなのに、海に下りついてしまった雪は積もることなく溶けていく…
普段なら気にも留めないようなことにいちいち悲しくなってしまうのは、大好きな紳一との別れが近づいているからに他ならない。
でも、そんなことを紳一に悟られるのは嫌で、その寂しさを隠すように甘えてみる。
『寒すぎるから、あっためて!』
紳一の足の間に入り込めば、紳一は後ろからぎゅーっと抱きしめてくれた。
「どうだ?あったかいか?」
『んー、まだ寒い』
こんな風にわがまま言って困らせちゃう彼女でも好きでいてくれる?
心の中の声は、紳一には届かないけれど、いつも紳一は私を甘やかしてくれる。
紳一は、来ていたジャケットを脱いで、膝にかけてくれる。
「これならどうだ?」
『ありがと…』
改めて、ぎゅっと後ろから抱きしめられる。
そして、私の肩に紳一はあごを乗せた。
こんな風に甘えてくるなんて、珍しいよな…
「正直、おまえと離れてバスケするのに不安がある」
『紳一なら大丈夫だと思うけど…』
「俺が名前のこと、どれだけ頼りにしていたと思ってるんだ…」
『そう?頼りにしてたのは私の方だよ…』
「離れ離れでも、大丈夫だろうか?」
『大丈夫じゃないって言ったら?』
「それは困るな…」
お互いがそれぞれの環境で頑張らなくちゃいけないし、実際、何とかなるって分かっているけれど、今日くらいお互い甘ったれたこと言っても許される気がする。
雪が降る日でよかった。
寒さのせいにして、くっついて甘えられるから…
私は首をひねって、紳一にキスをした。
『今日だけ、甘ったれでいさせて』
「俺も、甘えたこと、言わせてくれ…」
海南では帝王と女帝なんて呼ばれた私たちのこんな姿は海南バスケ部の後輩たちには見せられないな…なんて思いながら、再びキスをしてぬくもりを確かめあった。
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2023.5.20.
きゆさま、キャラリクエストありがとうございます!