◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*075:空耳?*仙道彰
付き合ってます。社会人設定。
「あ、田岡監督…!」
彼氏の仙道くんが呼びかけた方へと目を向ける。
確か田岡監督というのは高校の頃のバスケ部の顧問の先生の名前だったはずだ。
本当にきつかった…と漏らす高校時代のバスケ部の思い出話の時には、必ずこの監督の名前を聞かされる。
それ程大きな声ではなかったけれど、仙道くんは大きくてよく目立つ。
田岡監督はすぐに気付いて、嬉しそうに仙道くんの方へ歩み寄ってきた。
「おー、仙道か?」
「はい、お久しぶりです」
「ちゃんとやっとるか?」
「ええ、ぼちぼちです」
一歩引いた場所にいた私の方に田岡監督と仙道くんは視線をよこしたので、私は失礼の無いよう、ニコリと微笑んで会釈をした。
「あちらの女性は…」
「妻です」
ん?今のは空耳?
妻と言ったような……
「おー、そうか!そういうおめでたいことは、ちゃんと知らせなさい」
さらに嬉しそうな顔になった田岡監督は、仙道くんの腕をポンポンと叩いた。
「すいません」
頭をポリポリと掻いて、ヘラりと仙道くんは笑って話を続けている。
「いやー、会えてよかった。陵南にも顔を出しにきてくれ。もちろん、二人で」
「あー、そうですね」
仙道くんが私の方を見て頷いたので、仙道くんの隣に並ぶ。
「全く、相変わらずバスケ以外では頼りのない奴だから、君、仙道を頼んだよ」
『は、はい』
「まいったな…」
「じゃ、また」
そう言い残して、田岡監督は去っていった。
『ねぇ、さっき妻って言った?』
「言った」
『どうして…?』
「どうして…って、なんか名前が可愛くて、俺の奥さんだったらいいのにって思っちゃったんだよね」
『せ、仙道くん!?』
急に恥ずかしくなって、仙道くんからそっと道ばたのユリの花を見るフリをてに目を逸らすことしか出来ない。
「ま、ゆっくり考えてよ。俺、いつまでも待つから」
待つ必要なんてない。
答えはイエスに決まっているんだから。
可憐なユリの花も私を応援してくれるみたいに身体を揺らした。
***
2023.7.18.
「道の辺の草深百合の花咲みに笑しがからに妻と言ふべしや」万葉集 詠み人知らず
訳: 道ばたの草むらのユリの花のように私がほほ笑んだだけで妻呼ばわりしちゃっていいの?
(訳は、【エモい古語辞典】堀越英美 著よりお借りしました。)
から、思い立ったお話です。
付き合ってます。社会人設定。
「あ、田岡監督…!」
彼氏の仙道くんが呼びかけた方へと目を向ける。
確か田岡監督というのは高校の頃のバスケ部の顧問の先生の名前だったはずだ。
本当にきつかった…と漏らす高校時代のバスケ部の思い出話の時には、必ずこの監督の名前を聞かされる。
それ程大きな声ではなかったけれど、仙道くんは大きくてよく目立つ。
田岡監督はすぐに気付いて、嬉しそうに仙道くんの方へ歩み寄ってきた。
「おー、仙道か?」
「はい、お久しぶりです」
「ちゃんとやっとるか?」
「ええ、ぼちぼちです」
一歩引いた場所にいた私の方に田岡監督と仙道くんは視線をよこしたので、私は失礼の無いよう、ニコリと微笑んで会釈をした。
「あちらの女性は…」
「妻です」
ん?今のは空耳?
妻と言ったような……
「おー、そうか!そういうおめでたいことは、ちゃんと知らせなさい」
さらに嬉しそうな顔になった田岡監督は、仙道くんの腕をポンポンと叩いた。
「すいません」
頭をポリポリと掻いて、ヘラりと仙道くんは笑って話を続けている。
「いやー、会えてよかった。陵南にも顔を出しにきてくれ。もちろん、二人で」
「あー、そうですね」
仙道くんが私の方を見て頷いたので、仙道くんの隣に並ぶ。
「全く、相変わらずバスケ以外では頼りのない奴だから、君、仙道を頼んだよ」
『は、はい』
「まいったな…」
「じゃ、また」
そう言い残して、田岡監督は去っていった。
『ねぇ、さっき妻って言った?』
「言った」
『どうして…?』
「どうして…って、なんか名前が可愛くて、俺の奥さんだったらいいのにって思っちゃったんだよね」
『せ、仙道くん!?』
急に恥ずかしくなって、仙道くんからそっと道ばたのユリの花を見るフリをてに目を逸らすことしか出来ない。
「ま、ゆっくり考えてよ。俺、いつまでも待つから」
待つ必要なんてない。
答えはイエスに決まっているんだから。
可憐なユリの花も私を応援してくれるみたいに身体を揺らした。
***
2023.7.18.
「道の辺の草深百合の花咲みに笑しがからに妻と言ふべしや」万葉集 詠み人知らず
訳: 道ばたの草むらのユリの花のように私がほほ笑んだだけで妻呼ばわりしちゃっていいの?
(訳は、【エモい古語辞典】堀越英美 著よりお借りしました。)
から、思い立ったお話です。