◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*073:Rainy Day*付き合ってません。片思いのヒロインちゃん。
もうすぐ授業が終わって学校から解放されるというのに、ザーっと土砂降りの雨が降り始めた。
教室もざわざわとして、傘持ってきたっけ?なんて声が聞こえてくる。
お気に入りのローファーが泥だらけになるし、可愛くしてきた髪型だって崩れてしまう雨なんて大嫌いだから私は、鞄の中に折り畳み傘を入れているけれど、良かったなんて気持ちになれない。
窓の外を見ていると、嫌でも目に入ってしまうのがクラスメイトの森重寛だ。
とにかくデカいクラスメイトは、態度ももれなくデカい。
そんな男が話しかける唯一の女子が私だと思う。
一方的にほぼ断るすきもない頼まれごとをされるだけだけれど、トクベツ扱いされていると錯覚してしまう自分が恨めしい。
今日だって、森重に話しかけられたくて、前髪切ってきたのに、全く気付いてもらえなかった。
こんな大雨なのに、森重はのんきに居眠りをキメている。
自分がこんなヤツに恋してるなんて、本当は認めたくは無いんだけど…
帰りのホームルームが終わっても、雨は止む気配がなく、仕方なく帰宅することにする。
折り畳み傘を袋から出して、開いたところで、
「おい」
そう呼び止められた。
「しょうがないから入ってやる」
そう言って、わずかに口角を上げた森重を見て、息が詰まりそうになる。
その顔、反則過ぎる…
『え?狭いよ?』
何とか絞り出した声に、
「しょうがないだろ」
早く入れろと言わんばかりの態度に、私は慌てて傘を持つ手を高く上げた。
ぬっと傘に入ってきた森重に腕が触れて、私は半分パニックだ。
「体育館」
『そっか、部活だもんね』
ほんの短い距離だけしか相合傘出来ないことにがっくりしながら、歩き始める。
背の高い森重が濡れないようにすると、自分が半分も傘に入っていないことなんて、どうでもよくなってくる。
グラウンド脇の体育館にはすぐ着いてしまう。
『じゃ、私はこれで…』
「おー、また」
分かってはいるけれど、森重は私の親切に対してお礼とか言わない男だ。
そんな男に恋に落ちて溶けちゃいそうなこの気持ちを持て余しながら、校門へと向かおうとすると、
「おい、濡れすぎ」
森重は、タオルを投げてよこした。
『あ、ありがとう』
まさか私のことを森重が気遣ってくれるなんて思わず、ドキドキしたまま借りたタオルで濡れた身体を拭く。
森重は、すぐに体育館の中へと姿を消してしまう。
いつか、この気持ち届きますか?
私は、森重の匂いのするタオルを握りしめながら、しばらく体育館を見つめていた。
***
2023.05.18.
Image Song:「メルト」superecell feat. 初音ミク
ロンさんからのキャラリクエスト、ありがとうございます!
もうすぐ授業が終わって学校から解放されるというのに、ザーっと土砂降りの雨が降り始めた。
教室もざわざわとして、傘持ってきたっけ?なんて声が聞こえてくる。
お気に入りのローファーが泥だらけになるし、可愛くしてきた髪型だって崩れてしまう雨なんて大嫌いだから私は、鞄の中に折り畳み傘を入れているけれど、良かったなんて気持ちになれない。
窓の外を見ていると、嫌でも目に入ってしまうのがクラスメイトの森重寛だ。
とにかくデカいクラスメイトは、態度ももれなくデカい。
そんな男が話しかける唯一の女子が私だと思う。
一方的にほぼ断るすきもない頼まれごとをされるだけだけれど、トクベツ扱いされていると錯覚してしまう自分が恨めしい。
今日だって、森重に話しかけられたくて、前髪切ってきたのに、全く気付いてもらえなかった。
こんな大雨なのに、森重はのんきに居眠りをキメている。
自分がこんなヤツに恋してるなんて、本当は認めたくは無いんだけど…
帰りのホームルームが終わっても、雨は止む気配がなく、仕方なく帰宅することにする。
折り畳み傘を袋から出して、開いたところで、
「おい」
そう呼び止められた。
「しょうがないから入ってやる」
そう言って、わずかに口角を上げた森重を見て、息が詰まりそうになる。
その顔、反則過ぎる…
『え?狭いよ?』
何とか絞り出した声に、
「しょうがないだろ」
早く入れろと言わんばかりの態度に、私は慌てて傘を持つ手を高く上げた。
ぬっと傘に入ってきた森重に腕が触れて、私は半分パニックだ。
「体育館」
『そっか、部活だもんね』
ほんの短い距離だけしか相合傘出来ないことにがっくりしながら、歩き始める。
背の高い森重が濡れないようにすると、自分が半分も傘に入っていないことなんて、どうでもよくなってくる。
グラウンド脇の体育館にはすぐ着いてしまう。
『じゃ、私はこれで…』
「おー、また」
分かってはいるけれど、森重は私の親切に対してお礼とか言わない男だ。
そんな男に恋に落ちて溶けちゃいそうなこの気持ちを持て余しながら、校門へと向かおうとすると、
「おい、濡れすぎ」
森重は、タオルを投げてよこした。
『あ、ありがとう』
まさか私のことを森重が気遣ってくれるなんて思わず、ドキドキしたまま借りたタオルで濡れた身体を拭く。
森重は、すぐに体育館の中へと姿を消してしまう。
いつか、この気持ち届きますか?
私は、森重の匂いのするタオルを握りしめながら、しばらく体育館を見つめていた。
***
2023.05.18.
Image Song:「メルト」superecell feat. 初音ミク
ロンさんからのキャラリクエスト、ありがとうございます!