＊072：仲直り＊付き合ってます。


ーーSide.夢主

『ごめん』って一言いうだけなのに、コッシーの顔を見ると言えない。

つくづく可愛くない女…

なんて、自虐的になるくらいなら謝ってしまえばいいのかもしれないけれど、変なプライドが邪魔をしてできない。

きっかけはささいなことだったのに、

『コッシーなんて、大っ嫌い』

「名前ってほんっと可愛くねぇよ！」

自分の吐き捨てた言葉だって、コッシーの可愛くないのセリフだってありありと覚えている。

頭の中では、『ごめん』と『でも、あっちが悪い』とがずっとぐるぐる回っている。

明日会ったら、ちゃんと謝れるかな。

ううん、あの憎たらしいぐらい可愛いとこもカッコいいとこもある顔見たら、『やっぱりコッシー嫌い！』って言っちゃうんだろうな。

手紙でも書いてみようかな。

文字だったら、素直に言える気がする。

『すき』の二文字が。


ーーSide.越野

「ごめん」って一言いうだけなのに、なんでこんなに名前相手だと難しいんだろうな。

変なプライドが邪魔をして、名前の顔を見るたびに悪態をついちまう。

本当に可愛くねぇなんて思っている訳ないのに、ついつい口から出るのは、捨て台詞ばかり。

明日は素直に言えるだろうか…無理かもしれねぇ。

ふと思い立って、ノートを一枚ビリビリと破いてシャーペンを握る。

手紙だったら、言える気がする。

「すき」と「ごめん」が。

***
2023.2.23.
短いけど、喧嘩カップルのほんの一幕。