◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*070:仔猫*高校二年生。母親との会話のみ。
連載中のChocolateの小話的な感じで書きました。(本編読んでなくても大丈夫ですが切ない終わり方です)
「ちっ……」
雨がパラパラと降り始めて、俺は舌打ちをした。
まだ夕方というには少し早い時間、こんな日に限って、鉄男も徳男も別の用事があるとかで一緒にいられない。
今日は俺の誕生日だっつうのに……
といっても、不良仲間に自分の誕生日を言いふらすようなカッコ悪いマネはしたくねぇから今日が俺の誕生日ということを誰も知らない。
だいぶ伸びてしまった髪の毛が雨に濡れて顔にくっつくのも鬱陶しい。
段々と雨が強くなってきたので、ほっつき歩くのをやめて、仕方なく自分ん家に帰るかと考え始めたところで、
「みゃあ…」
か弱い鳴き声が聞こえたので振り返ると、電柱のところに仔猫が一匹弱弱しく倒れている。
まだ生まれて日にちが立っていないであろうその猫は今にも死んでしまいそうだ。
周りに人気はなく、俺が通り過ぎれば、もう助かる見込みがないだろう。
「仕方ねぇな…」
そう呟いて、仔猫をひょいと拾い上げ、なるべく雨に濡れないように急いで家へと連れて帰った。
運よくおふくろが、自宅にいて、驚いた顔で俺を見た。
「なぁ、こいつを頼む」
「いきなり帰ってきて藪から棒に…って、猫!あんたどうしたの!?」
「拾った」
「拾ったって…まだ仔猫じゃない!知り合いに動物病院やってる人いるから、電話して聞いてくるわ!」
「おう……」
小言の一つでも言われるかと思ったが、おふくろは慌てた様子で電話をし、俺の腕から仔猫を取り上げて連れて行ってしまった。
猫のことが心配ではあるけれど、俺にはもう出来ることもないし、かといってどっか出かける予定もない。
久しぶりに家のベッドに横になれば、妙な安心感を覚えて、いつの間にか熟睡してしまった。
はっと目覚めた時にはもう真夜中で、もうすぐ0時を回ろうとしているところ。
こっそり下へと降りていけば、
「名前~どうしたの?」
と俺が学校で片思いをしている相手の名前を呼んでいるのを聞いて、飛び上がるほど驚いて、リビングのドアを急いで開けた。
「寿!?慌ててどうしたの?」
当然、そこに本物の苗字がいる訳もなく、おふくろが仔猫の世話をしているだけだ。
「もしかして、猫のこと心配してたのかい?」
「悪ぃかよ……」
「いや、あんたのおかげでこの猫の命が助かったんだから……そうそう、誕生日おめでとう!この子の誕生日も今日にするわね」
「勝手にしろ…」
「名前もね、名前にしようと思うのよ。可愛いでしょ?」
まさか好きな女と猫が同じ名前になるなんて想像だにしておらず、心臓がドキドキしている。
しかも、猫の名前が名前はダメだと理由を説明する訳にもいかない。
「……」
俺が何も言えないでいると、
「警察の世話になるようなことは、しないに越したことはないけど…それよりもケガにだけは気をつけなさいよ!ね~名前?命の恩人が怪我したらおまえも悲しいわよね…」
「みゃあ」
拾った時よりもいくらか元気になった鳴き声を聞いて俺はほっと胸をなでおろす。
それでも、もうバスケに戻る気なんてさらさらねぇし、この気楽な生活をやめるつもりもない。
猫の名前と目が合うけれど、そっと逸らして、俺はまた、夜の街へと飛び出した。
母親のおめでとうの言葉と猫の鳴き声がしばらく頭から離れなかった。
***
2022.5.22. Happy birthday 三っちゃん!!
ネタは如月さんから!いつもありがとうございます(^-^)/
連載中のChocolateの小話的な感じで書きました。(本編読んでなくても大丈夫ですが切ない終わり方です)
「ちっ……」
雨がパラパラと降り始めて、俺は舌打ちをした。
まだ夕方というには少し早い時間、こんな日に限って、鉄男も徳男も別の用事があるとかで一緒にいられない。
今日は俺の誕生日だっつうのに……
といっても、不良仲間に自分の誕生日を言いふらすようなカッコ悪いマネはしたくねぇから今日が俺の誕生日ということを誰も知らない。
だいぶ伸びてしまった髪の毛が雨に濡れて顔にくっつくのも鬱陶しい。
段々と雨が強くなってきたので、ほっつき歩くのをやめて、仕方なく自分ん家に帰るかと考え始めたところで、
「みゃあ…」
か弱い鳴き声が聞こえたので振り返ると、電柱のところに仔猫が一匹弱弱しく倒れている。
まだ生まれて日にちが立っていないであろうその猫は今にも死んでしまいそうだ。
周りに人気はなく、俺が通り過ぎれば、もう助かる見込みがないだろう。
「仕方ねぇな…」
そう呟いて、仔猫をひょいと拾い上げ、なるべく雨に濡れないように急いで家へと連れて帰った。
運よくおふくろが、自宅にいて、驚いた顔で俺を見た。
「なぁ、こいつを頼む」
「いきなり帰ってきて藪から棒に…って、猫!あんたどうしたの!?」
「拾った」
「拾ったって…まだ仔猫じゃない!知り合いに動物病院やってる人いるから、電話して聞いてくるわ!」
「おう……」
小言の一つでも言われるかと思ったが、おふくろは慌てた様子で電話をし、俺の腕から仔猫を取り上げて連れて行ってしまった。
猫のことが心配ではあるけれど、俺にはもう出来ることもないし、かといってどっか出かける予定もない。
久しぶりに家のベッドに横になれば、妙な安心感を覚えて、いつの間にか熟睡してしまった。
はっと目覚めた時にはもう真夜中で、もうすぐ0時を回ろうとしているところ。
こっそり下へと降りていけば、
「名前~どうしたの?」
と俺が学校で片思いをしている相手の名前を呼んでいるのを聞いて、飛び上がるほど驚いて、リビングのドアを急いで開けた。
「寿!?慌ててどうしたの?」
当然、そこに本物の苗字がいる訳もなく、おふくろが仔猫の世話をしているだけだ。
「もしかして、猫のこと心配してたのかい?」
「悪ぃかよ……」
「いや、あんたのおかげでこの猫の命が助かったんだから……そうそう、誕生日おめでとう!この子の誕生日も今日にするわね」
「勝手にしろ…」
「名前もね、名前にしようと思うのよ。可愛いでしょ?」
まさか好きな女と猫が同じ名前になるなんて想像だにしておらず、心臓がドキドキしている。
しかも、猫の名前が名前はダメだと理由を説明する訳にもいかない。
「……」
俺が何も言えないでいると、
「警察の世話になるようなことは、しないに越したことはないけど…それよりもケガにだけは気をつけなさいよ!ね~名前?命の恩人が怪我したらおまえも悲しいわよね…」
「みゃあ」
拾った時よりもいくらか元気になった鳴き声を聞いて俺はほっと胸をなでおろす。
それでも、もうバスケに戻る気なんてさらさらねぇし、この気楽な生活をやめるつもりもない。
猫の名前と目が合うけれど、そっと逸らして、俺はまた、夜の街へと飛び出した。
母親のおめでとうの言葉と猫の鳴き声がしばらく頭から離れなかった。
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2022.5.22. Happy birthday 三っちゃん!!
ネタは如月さんから!いつもありがとうございます(^-^)/