◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*062:風邪をひいた日*付き合ってます。社パロ。
ピンポーン、ピンポーンとせわしなくチャイムを押して、ドンドンとせっかちに扉をたたいてくるのは、彼氏の相田彦一しかいないだろう。
ったく、私は風邪ひいてるっていうのに…
私が鍵をかちゃりと開けると同時に、彦一によって扉が勢いよく開けられた。
「大丈夫でっか!?」
『んー、彦一うるさい』
「心配してるんやで」
『そうだけど、もう少し静かにお願い』
「彼女が風邪ひいたちゅうて、慌てて飛んできたんにつれなすぎるんちゃう」
『それはありがと。でも、そんなにせかせかされると休まんない』
「ほな、おかゆでも作ってこよか!キッチンにおるなら、ええやろ?」
『はぁ…そういうとこなんだけど…まぁいいや、”静かに”お願い』
「任しとき!」
私の頼みを聞いているとは思えないくらい、せわしなく靴を脱いで、買い物袋を必要以上にカサカサと音を鳴らしてキッチンに向かう彦一にあきれながらも私はベッドに戻った。
もうひと眠り…しようにも、彦一はがたがたと大きな音を立てて、買ってきたものを冷蔵庫に仕舞ったり、
「あれ、どこにメモしたんやったかな…」
と大きすぎる独り言を言いながら、ノートをペラペラめくる音まで大きいから、気になって仕方がない。
はぁ…とため息をつきながら、寝るのはあきらめ、ぼんやりする頭でがちゃがちゃと何かを作っているキッチンの方へ意識を向ける。
ほどなくして、かすかにいい匂いが漂ってくる。
鼻をティッシュでかめば、もう少しはっきりとお出汁の匂いが感じられる。
食欲はほとんどないと思ってたけれど、少しは食べられそうだ。
「…っつぅ!やってもうた……って、あぁ!わいは大丈夫やで~」
なんて聞こえるから気が気じゃない。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに腰掛けるような体制になったところで、
「おかゆ、できたでー!」
と、どんぶりにおかゆを盛りつけた彦一が私のベッドまでやってきた。
『うるさいから寝られなかった…』
「名前がおかゆ食べたら帰るから、はよ、食べてや」
私の文句を軽く流した彦一は、どんぶりごと私におかゆを差し出した。
『こういう時はさ、あーんじゃないの?』
「な、なんやて……」
急に顔を赤くする彦一にこっちまで恥ずかしくなってしまう。
『急に照れないでよ…』
「こっちかて、気持ちの用意っちゅうもんがやな…」
と言いながらも、慎重にスプーンでおかゆをすくっている。
ゆっくりと私の口元に運んでくれたので、そっと口を開けておかゆを食べる。
ちょっと薄味だけど、出汁が効いていておいしい。
彦一は照れながらも、再びおかゆをすくって私の口元へと運んでくれる。
しばらく、沈黙のまま食事が進む。
静かでちょっとした物音にもびくっとしてしまいそうな緊張感に私が耐えられなくなった。
『ね、なんで急に静かなの?』
「緊張するやろ…」
『調子が狂う』
「風邪ひいてるんやから仕方ないやろ」
『そういうことじゃないのに…』
「残りはどないする?」
半分くらいになったおかゆだが、全部食べると気持ち悪くなりそうだ。
いつもなら、もっとギャーギャーと言い合うところだけれど、やっぱりまだそんな気分にもなれない。
『夜にいただこうかな。もう、ご馳走様』
「ほな、ラップして冷蔵庫入れとくわ」
てきぱきと片づけて、帰り支度をする彦一の姿に急に心細くなる。
『ね、本当に帰るの?』
「うるさくて寝れない言うたのはそっちやで?」
『そ、そうだけど…』
「寝付くまでいたろか?」
『うん、お願い…』
「うるさいかもしれんで」
『それでも、一人は嫌…』
優しい笑顔になった彦一に、キュンとときめいてしまう。
もしや、これは風邪のかけた幻覚…?
そんなことを考えながらも、頭はさらにぼやっとしてくる。
横になれば、彦一はそっと頭をなでてくれた。
「おやすみさん」
『おやすみ…』
私は、心地の良い眠りについた。
***
2023.2.4.
風邪ひいたときに看病に来たのが彦一だったら、うるさそうだけど、ちゃんと世話してくれそうという妄想。
ピンポーン、ピンポーンとせわしなくチャイムを押して、ドンドンとせっかちに扉をたたいてくるのは、彼氏の相田彦一しかいないだろう。
ったく、私は風邪ひいてるっていうのに…
私が鍵をかちゃりと開けると同時に、彦一によって扉が勢いよく開けられた。
「大丈夫でっか!?」
『んー、彦一うるさい』
「心配してるんやで」
『そうだけど、もう少し静かにお願い』
「彼女が風邪ひいたちゅうて、慌てて飛んできたんにつれなすぎるんちゃう」
『それはありがと。でも、そんなにせかせかされると休まんない』
「ほな、おかゆでも作ってこよか!キッチンにおるなら、ええやろ?」
『はぁ…そういうとこなんだけど…まぁいいや、”静かに”お願い』
「任しとき!」
私の頼みを聞いているとは思えないくらい、せわしなく靴を脱いで、買い物袋を必要以上にカサカサと音を鳴らしてキッチンに向かう彦一にあきれながらも私はベッドに戻った。
もうひと眠り…しようにも、彦一はがたがたと大きな音を立てて、買ってきたものを冷蔵庫に仕舞ったり、
「あれ、どこにメモしたんやったかな…」
と大きすぎる独り言を言いながら、ノートをペラペラめくる音まで大きいから、気になって仕方がない。
はぁ…とため息をつきながら、寝るのはあきらめ、ぼんやりする頭でがちゃがちゃと何かを作っているキッチンの方へ意識を向ける。
ほどなくして、かすかにいい匂いが漂ってくる。
鼻をティッシュでかめば、もう少しはっきりとお出汁の匂いが感じられる。
食欲はほとんどないと思ってたけれど、少しは食べられそうだ。
「…っつぅ!やってもうた……って、あぁ!わいは大丈夫やで~」
なんて聞こえるから気が気じゃない。
ゆっくりと体を起こして、ベッドに腰掛けるような体制になったところで、
「おかゆ、できたでー!」
と、どんぶりにおかゆを盛りつけた彦一が私のベッドまでやってきた。
『うるさいから寝られなかった…』
「名前がおかゆ食べたら帰るから、はよ、食べてや」
私の文句を軽く流した彦一は、どんぶりごと私におかゆを差し出した。
『こういう時はさ、あーんじゃないの?』
「な、なんやて……」
急に顔を赤くする彦一にこっちまで恥ずかしくなってしまう。
『急に照れないでよ…』
「こっちかて、気持ちの用意っちゅうもんがやな…」
と言いながらも、慎重にスプーンでおかゆをすくっている。
ゆっくりと私の口元に運んでくれたので、そっと口を開けておかゆを食べる。
ちょっと薄味だけど、出汁が効いていておいしい。
彦一は照れながらも、再びおかゆをすくって私の口元へと運んでくれる。
しばらく、沈黙のまま食事が進む。
静かでちょっとした物音にもびくっとしてしまいそうな緊張感に私が耐えられなくなった。
『ね、なんで急に静かなの?』
「緊張するやろ…」
『調子が狂う』
「風邪ひいてるんやから仕方ないやろ」
『そういうことじゃないのに…』
「残りはどないする?」
半分くらいになったおかゆだが、全部食べると気持ち悪くなりそうだ。
いつもなら、もっとギャーギャーと言い合うところだけれど、やっぱりまだそんな気分にもなれない。
『夜にいただこうかな。もう、ご馳走様』
「ほな、ラップして冷蔵庫入れとくわ」
てきぱきと片づけて、帰り支度をする彦一の姿に急に心細くなる。
『ね、本当に帰るの?』
「うるさくて寝れない言うたのはそっちやで?」
『そ、そうだけど…』
「寝付くまでいたろか?」
『うん、お願い…』
「うるさいかもしれんで」
『それでも、一人は嫌…』
優しい笑顔になった彦一に、キュンとときめいてしまう。
もしや、これは風邪のかけた幻覚…?
そんなことを考えながらも、頭はさらにぼやっとしてくる。
横になれば、彦一はそっと頭をなでてくれた。
「おやすみさん」
『おやすみ…』
私は、心地の良い眠りについた。
***
2023.2.4.
風邪ひいたときに看病に来たのが彦一だったら、うるさそうだけど、ちゃんと世話してくれそうという妄想。