◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*061:週末*
「あの……どこかで会いませんでしたか?」
週末の夜、バーのカウンター席で一人座っていれば、またかと呆れるほどに声をかけられる。
ナンパの教科書があったら必ず載るであろうそのありふれたセリフを無視することは簡単だけれど、今日は誰かと呑みたい気分でもある。
良い男だったらいいだけど…なんていう下心を隠して、にこやかに答える。
『人違いじゃ……』
なかった……まさかの知り合いだ。
それも、大学時代の片想いの相手でもあるバスケ部のエースだった堂本五郎だ。
『ど、堂本くん?』
「やっぱり、苗字だった。久しぶりだな!」
『まさかこんなとこで会うなんて…噂では秋田の有名高校でバスケの監督やってるって聞いたよ~』
「まあな!で、隣いいか?」
『もちろん、一人だから…』
久しぶりで、大学時代の思出話に花が咲く。
昔と違って髭を生やしているけれど、会話のテンポが心地よくてついお酒も進む。
アルコールの回った頭で、こんな運命的な再会に言うしかないと
『私さ、堂本くんのこと好きだったんだよ。知ってた?』
そう言って顔が真っ赤になってしまう。
そう、これは飲み過ぎだから顔が赤いんだ。
更にのどが渇いて、目の前のカクテルをくいっとのみほす。
「好きだった…か…で、今は?」
『運命の再会に動揺してる…』
「俺は今でも好きだって言ったら?」
『それは…嬉しいよ』
「じゃ、良いよな?」
カウンターの下で不意に伸びてきた堂本くんの手は私の膝に置かれる。
私は自分の手を重ねるとすぐに、熱をもった二つの手を絡まり合うように繋げた。
***
2022.4.21.
「あの……どこかで会いませんでしたか?」
週末の夜、バーのカウンター席で一人座っていれば、またかと呆れるほどに声をかけられる。
ナンパの教科書があったら必ず載るであろうそのありふれたセリフを無視することは簡単だけれど、今日は誰かと呑みたい気分でもある。
良い男だったらいいだけど…なんていう下心を隠して、にこやかに答える。
『人違いじゃ……』
なかった……まさかの知り合いだ。
それも、大学時代の片想いの相手でもあるバスケ部のエースだった堂本五郎だ。
『ど、堂本くん?』
「やっぱり、苗字だった。久しぶりだな!」
『まさかこんなとこで会うなんて…噂では秋田の有名高校でバスケの監督やってるって聞いたよ~』
「まあな!で、隣いいか?」
『もちろん、一人だから…』
久しぶりで、大学時代の思出話に花が咲く。
昔と違って髭を生やしているけれど、会話のテンポが心地よくてついお酒も進む。
アルコールの回った頭で、こんな運命的な再会に言うしかないと
『私さ、堂本くんのこと好きだったんだよ。知ってた?』
そう言って顔が真っ赤になってしまう。
そう、これは飲み過ぎだから顔が赤いんだ。
更にのどが渇いて、目の前のカクテルをくいっとのみほす。
「好きだった…か…で、今は?」
『運命の再会に動揺してる…』
「俺は今でも好きだって言ったら?」
『それは…嬉しいよ』
「じゃ、良いよな?」
カウンターの下で不意に伸びてきた堂本くんの手は私の膝に置かれる。
私は自分の手を重ねるとすぐに、熱をもった二つの手を絡まり合うように繋げた。
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2022.4.21.