◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*047:お弁当*高校三年生。付き合ってません。
私の貸してあげたピンクのエプロンが、妙に似合う強面の男子、堀田徳男くん。
なんだか可愛くなって、三角巾もお花柄のを貸してあげた。
リーゼントが崩れるのを少し気にしているみたいで恐る恐る三角巾を着けているけれど、大切なダチ”三っちゃん”のためならって張り切っている。
それにしても、家庭科室でクラスメイトでこの学校の番長と呼ばれる堀田君と二人きりでお弁当を作ることになるとは思ってもみなかった。
「なぁ、調理部の部長何だろ?弁当作り教えてくれねぇか?」
と声をかけられたのは一週間前。
部員が少なく、各々好きなものを好きかって作ってお喋りするというゆるい部活で、不良に料理を教えるなんてどうしたらいいのか…と身構えていると、
「こんな俺に料理なんて、無理かな…」
急にしょんぼりしてしまった堀田君が可愛そうになって、
『私で良ければ、いいよ!』
「本当か!頼む!!」
思わず引き受けてしまったのだ。
サラサラの髪をなびかせて不良をしていた三っちゃんこと三井寿くんが髪をバッサリ切り、堀田くん達不良と縁を切ってバスケ部に戻ったという噂だと思ったのだが、内情は少し違うようだ。
詳しくは言葉を濁して教えてくれないが、どうやら三井くんと堀田くんはまだお友達同士らしい。
そして、堀田くんはバスケ部に戻った三井くんを恨むどころか、応援しているのだそうだ。
男の友情というのは、特殊な世界なのだろうと思うことにして、何を作るか打ち合わせをした。
「三っちゃんは、サンドイッチが好きだっていうから、サンドイッチだな!」
と、三井くんの好みまでリサーチ済みで、まるで恋する乙女だと笑ってしまいそうになるほどだ。
不良とはいえ、堀田くんも普通の男子高校生だと会話を重ねる毎に堀田くんのイメージが変わっていくけれど、他の部員は恐がって結局私一人で堀田くんとサンドイッチを作ることになった。
せっかくだから、最近流行りの萌え断を作ってみたくて、色々とレシピを調べてきた。
野菜やハム、卵サラダだけじゃなく、フルーツサンドも作りたくて材料は盛りだくさんだ。
堀田くんの話では次勝てばインターハイ出場が決まるそうで、三っちゃん以外のバスケ部員の差し入れにすれば良いだろう。
『よし!作ろう!』
「っしゃ!」
堀田くんは意外と器用で、少し教えればすぐに要領をつかんでセンスの良いサンドイッチを作っていく。
むしろ私より堀田くんの方が溢れそうになる具を押さえる手が大きい分、作るのがうまいんじゃぁ…と思うほどだ。
一通り作り終えて冷蔵庫で少し休ませれば、いよいよカットだ。
『堀田くん、切ってくれる?』
「いいのか?」
『三っちゃんのお弁当でしょ?』
「緊張して……」
『堀田くんでも緊張するんだね!』
「まぁな……でよ、いっしょに切ってくれねぇ?手が震えるんだ。最初の一回で良いからよ…」
『えぇ!?そこまで?』
確かに包丁を握る手が小刻みに震えて危なっかしい。
私はそっと堀田くんの右手の上に乗せるように手を重ねて、サンドイッチをカットした。
「おぉ!」
『やった!大成功!!』
切り終えた包丁を置いて切れ目を開けば、その綺麗な断面に私たちは手をとりあって喜んだ。
私たちが再びナイフを共に握って、ウエディングケーキ入刀を行うのは、ここから10年後のお話。
***
2022.7.26.
私の貸してあげたピンクのエプロンが、妙に似合う強面の男子、堀田徳男くん。
なんだか可愛くなって、三角巾もお花柄のを貸してあげた。
リーゼントが崩れるのを少し気にしているみたいで恐る恐る三角巾を着けているけれど、大切なダチ”三っちゃん”のためならって張り切っている。
それにしても、家庭科室でクラスメイトでこの学校の番長と呼ばれる堀田君と二人きりでお弁当を作ることになるとは思ってもみなかった。
「なぁ、調理部の部長何だろ?弁当作り教えてくれねぇか?」
と声をかけられたのは一週間前。
部員が少なく、各々好きなものを好きかって作ってお喋りするというゆるい部活で、不良に料理を教えるなんてどうしたらいいのか…と身構えていると、
「こんな俺に料理なんて、無理かな…」
急にしょんぼりしてしまった堀田君が可愛そうになって、
『私で良ければ、いいよ!』
「本当か!頼む!!」
思わず引き受けてしまったのだ。
サラサラの髪をなびかせて不良をしていた三っちゃんこと三井寿くんが髪をバッサリ切り、堀田くん達不良と縁を切ってバスケ部に戻ったという噂だと思ったのだが、内情は少し違うようだ。
詳しくは言葉を濁して教えてくれないが、どうやら三井くんと堀田くんはまだお友達同士らしい。
そして、堀田くんはバスケ部に戻った三井くんを恨むどころか、応援しているのだそうだ。
男の友情というのは、特殊な世界なのだろうと思うことにして、何を作るか打ち合わせをした。
「三っちゃんは、サンドイッチが好きだっていうから、サンドイッチだな!」
と、三井くんの好みまでリサーチ済みで、まるで恋する乙女だと笑ってしまいそうになるほどだ。
不良とはいえ、堀田くんも普通の男子高校生だと会話を重ねる毎に堀田くんのイメージが変わっていくけれど、他の部員は恐がって結局私一人で堀田くんとサンドイッチを作ることになった。
せっかくだから、最近流行りの萌え断を作ってみたくて、色々とレシピを調べてきた。
野菜やハム、卵サラダだけじゃなく、フルーツサンドも作りたくて材料は盛りだくさんだ。
堀田くんの話では次勝てばインターハイ出場が決まるそうで、三っちゃん以外のバスケ部員の差し入れにすれば良いだろう。
『よし!作ろう!』
「っしゃ!」
堀田くんは意外と器用で、少し教えればすぐに要領をつかんでセンスの良いサンドイッチを作っていく。
むしろ私より堀田くんの方が溢れそうになる具を押さえる手が大きい分、作るのがうまいんじゃぁ…と思うほどだ。
一通り作り終えて冷蔵庫で少し休ませれば、いよいよカットだ。
『堀田くん、切ってくれる?』
「いいのか?」
『三っちゃんのお弁当でしょ?』
「緊張して……」
『堀田くんでも緊張するんだね!』
「まぁな……でよ、いっしょに切ってくれねぇ?手が震えるんだ。最初の一回で良いからよ…」
『えぇ!?そこまで?』
確かに包丁を握る手が小刻みに震えて危なっかしい。
私はそっと堀田くんの右手の上に乗せるように手を重ねて、サンドイッチをカットした。
「おぉ!」
『やった!大成功!!』
切り終えた包丁を置いて切れ目を開けば、その綺麗な断面に私たちは手をとりあって喜んだ。
私たちが再びナイフを共に握って、ウエディングケーキ入刀を行うのは、ここから10年後のお話。
***
2022.7.26.