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*046:スコール*森重寛
ヒロインちゃんは、常誠高校の一年生女子マネです。
インターハイで、森重と出会う話。
インターハイ静岡県代表の常誠高校バスケ部マネージャーとして、初めての全国大会。
一試合目は、順当に勝ちあがり、今日は二試合目。
まだまだ高校バスケ部マネージャー3カ月目で初心者マークの私は、雰囲気に飲まれながらも、先輩たちに言われるがままマネージャーの仕事をこなすので精一杯だ。
初戦だけでもこんなにヘトヘトなのに、決勝戦まで行く高校は選手だけでなくマネージャーも本当に大変だ。
そんなマネージャーにとって大事な仕事の一つが、スコアシート。
新米の私も練習も兼ねて出来る限り試合のスコアシートを付けるように言われているから、一通りの準備を終えて、自分用のスコアシートを確認する。
常誠高校/名朋高校
8月3日 9時30分
今日は、お隣の県、愛知県のチームとの対戦だ。
広島にいるといつもは気にならないのに、隣の県というだけで妙に親近感が湧いてしまうから不思議なもので、共に中部圏同士、いい試合しましょうね。なんて考えながら、相手選手の名前を書き起こしたのが昨日の夜のこと。
スコアシートに書いておいた名朋の選手達を確認する前から…というより最初に会場入りして目に飛び込んできたのは、ド迫力の坊主頭。
昨日、監督が一年だけれど、背が高くガタイが良いから要注意だと言っていたからすぐにピンときた。
彼が、森重寛だ。
スコアシートの一番下にある名前を確認していると、ドンという音が聞こえる。
森重寛が豪快にダンクを決めた音で、まだまばらな観客はどよめき、先輩たち常誠のメンバーも練習を止めて見てしまうほどの迫力だ。
キャプテンの「練習に集中!」という掛け声に、再び練習を始めるけれど、明らかに動揺しているのが分かる。
ウチの先輩たちだって、負けてないよね…?と、私も弱気になってしまいそうなので、スコアシートを置いて、再度タオルやドリンクを並べ直したりして気を紛らわせた。
そして、いよいよ試合開始。
森重寛の迫力は、試合が進むにつれて大きくなるばかりで、私達のチームは、その迫力に飲み込まれてしまった。
私のスコアシートには、15の数字が沢山刻まれている。
試合終盤、すでに先輩マネージャーは涙を浮かべている。
こんなことって……
森重寛にいとも簡単に吹き飛ばされるキャプテンを、私はただ無事を祈るように見つめるしかなかった。
空しく試合終了のホイッスルが鳴り響いた時には、正直終わってほっとしている自分もいた。
呆然とする先輩たちにかけることの出来る言葉なんてないので、息をひそめてベンチの片付けをすることしか出来ない。
先輩たちが控室へと引き上げていくのを待ち、残りの片付けを進めるけれど、記者たちに囲まれている森重寛につい目が行ってしまう。
一瞬、バチンと目があってしまい、慌てて目をそらし、一旦荷物をすべてベンチの外へと運び出した。
控室へと荷物を運ぶ途中、森重寛が向かってくる。
試合が終わったばかりなのに、もう涼しい顔をしている。
なるべく目を合わせないようにして、横を通り過ぎようとすると、森重寛は足を止めた。
先輩が吹き飛ばされる試合のシーンがフラッシュバックして、恐怖で身体が強張る。
私は小さくなって壁に身体を寄せ、彼が通り過ぎるのを待つことしか出来なかった。
森重寛は、ふっと笑って再び歩き始めた。
恐らく数秒のことだけれど、私にとっては永遠とも思えるくらいに長く感じた。
汗ぐっしょりになって、控室へとたどり着けば、中からは先輩たちのすすり泣きの声が聞こえてくる。
「お疲れ様です…」
なるべく小さな声で、先輩たちの邪魔をしないように控室へと入り、荷物をまとめていく。
私たちバスケ部が荷物をまとめて体育館を出ようとする頃には、あんなに晴れていた空はもくもくと黒い雲に覆われていた。
「一、二年は、来年のために山王戦見ていくように。夏に合宿に来てくれた湘北が戦っているから、応援してくれ。今からなら後半戦にまにあうだろう。さすがに彼らと山王では分が悪すぎるだろうが…」
監督に言われたので、移動のバスは、湘北が王者に挑んでいる会場へ立ち寄り、私を含む一、二年生は降ろされた。
会場に着くなり雷が鳴って、大雨が降り始める。
ちょうど後半戦が始まったところで、湘北は山王のゾーンプレスに全く対応できない姿を目の当たりにして私はコートから目をそらす。
その視線の先に森重寛がいて、ヒッと息をのんだ。
一度目に入ってしまえば、試合よりも彼の方が気になってしまう。
試合は、山王が20点リード。
やはり、王者は強すぎる…と思っていると、森重寛は立ち上がって、去っていった。
そのことに心底ほっとして、やっと試合に集中できる。
外だけでなく、私の心の中も嵐のように目まぐるしい。
こんな最悪な印象の森重寛と私の関係は、ここだけでは終わらなかった。
今日は、私と寛の出会いの思い出話だけ――
***
2023.8.6.
続きが書けたらいつか書きたいな~と思ってます。
森重に怯む常誠のマネージャーになりたい妄想。
ヒロインちゃんは、常誠高校の一年生女子マネです。
インターハイで、森重と出会う話。
インターハイ静岡県代表の常誠高校バスケ部マネージャーとして、初めての全国大会。
一試合目は、順当に勝ちあがり、今日は二試合目。
まだまだ高校バスケ部マネージャー3カ月目で初心者マークの私は、雰囲気に飲まれながらも、先輩たちに言われるがままマネージャーの仕事をこなすので精一杯だ。
初戦だけでもこんなにヘトヘトなのに、決勝戦まで行く高校は選手だけでなくマネージャーも本当に大変だ。
そんなマネージャーにとって大事な仕事の一つが、スコアシート。
新米の私も練習も兼ねて出来る限り試合のスコアシートを付けるように言われているから、一通りの準備を終えて、自分用のスコアシートを確認する。
常誠高校/名朋高校
8月3日 9時30分
今日は、お隣の県、愛知県のチームとの対戦だ。
広島にいるといつもは気にならないのに、隣の県というだけで妙に親近感が湧いてしまうから不思議なもので、共に中部圏同士、いい試合しましょうね。なんて考えながら、相手選手の名前を書き起こしたのが昨日の夜のこと。
スコアシートに書いておいた名朋の選手達を確認する前から…というより最初に会場入りして目に飛び込んできたのは、ド迫力の坊主頭。
昨日、監督が一年だけれど、背が高くガタイが良いから要注意だと言っていたからすぐにピンときた。
彼が、森重寛だ。
スコアシートの一番下にある名前を確認していると、ドンという音が聞こえる。
森重寛が豪快にダンクを決めた音で、まだまばらな観客はどよめき、先輩たち常誠のメンバーも練習を止めて見てしまうほどの迫力だ。
キャプテンの「練習に集中!」という掛け声に、再び練習を始めるけれど、明らかに動揺しているのが分かる。
ウチの先輩たちだって、負けてないよね…?と、私も弱気になってしまいそうなので、スコアシートを置いて、再度タオルやドリンクを並べ直したりして気を紛らわせた。
そして、いよいよ試合開始。
森重寛の迫力は、試合が進むにつれて大きくなるばかりで、私達のチームは、その迫力に飲み込まれてしまった。
私のスコアシートには、15の数字が沢山刻まれている。
試合終盤、すでに先輩マネージャーは涙を浮かべている。
こんなことって……
森重寛にいとも簡単に吹き飛ばされるキャプテンを、私はただ無事を祈るように見つめるしかなかった。
空しく試合終了のホイッスルが鳴り響いた時には、正直終わってほっとしている自分もいた。
呆然とする先輩たちにかけることの出来る言葉なんてないので、息をひそめてベンチの片付けをすることしか出来ない。
先輩たちが控室へと引き上げていくのを待ち、残りの片付けを進めるけれど、記者たちに囲まれている森重寛につい目が行ってしまう。
一瞬、バチンと目があってしまい、慌てて目をそらし、一旦荷物をすべてベンチの外へと運び出した。
控室へと荷物を運ぶ途中、森重寛が向かってくる。
試合が終わったばかりなのに、もう涼しい顔をしている。
なるべく目を合わせないようにして、横を通り過ぎようとすると、森重寛は足を止めた。
先輩が吹き飛ばされる試合のシーンがフラッシュバックして、恐怖で身体が強張る。
私は小さくなって壁に身体を寄せ、彼が通り過ぎるのを待つことしか出来なかった。
森重寛は、ふっと笑って再び歩き始めた。
恐らく数秒のことだけれど、私にとっては永遠とも思えるくらいに長く感じた。
汗ぐっしょりになって、控室へとたどり着けば、中からは先輩たちのすすり泣きの声が聞こえてくる。
「お疲れ様です…」
なるべく小さな声で、先輩たちの邪魔をしないように控室へと入り、荷物をまとめていく。
私たちバスケ部が荷物をまとめて体育館を出ようとする頃には、あんなに晴れていた空はもくもくと黒い雲に覆われていた。
「一、二年は、来年のために山王戦見ていくように。夏に合宿に来てくれた湘北が戦っているから、応援してくれ。今からなら後半戦にまにあうだろう。さすがに彼らと山王では分が悪すぎるだろうが…」
監督に言われたので、移動のバスは、湘北が王者に挑んでいる会場へ立ち寄り、私を含む一、二年生は降ろされた。
会場に着くなり雷が鳴って、大雨が降り始める。
ちょうど後半戦が始まったところで、湘北は山王のゾーンプレスに全く対応できない姿を目の当たりにして私はコートから目をそらす。
その視線の先に森重寛がいて、ヒッと息をのんだ。
一度目に入ってしまえば、試合よりも彼の方が気になってしまう。
試合は、山王が20点リード。
やはり、王者は強すぎる…と思っていると、森重寛は立ち上がって、去っていった。
そのことに心底ほっとして、やっと試合に集中できる。
外だけでなく、私の心の中も嵐のように目まぐるしい。
こんな最悪な印象の森重寛と私の関係は、ここだけでは終わらなかった。
今日は、私と寛の出会いの思い出話だけ――
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2023.8.6.
続きが書けたらいつか書きたいな~と思ってます。
森重に怯む常誠のマネージャーになりたい妄想。