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*044:蛍*花形透*
同棲設定。社パロ?


『あ、もうすぐ閉店。急がないと!』

透くんと遅い時間に駅で待ち合わせをして一緒に帰る。

さすがに今から作る元気はなく、お惣菜でも買って帰ろうと、近くのスーパーに入ってすぐ蛍の光が流れ始めた。

「俺が遅くなってせいで……すまない」

『ううん、私も残業だったし』

「それにしても、なんで閉店は【蛍の光】なんだろうな…」

『確かにね~』

「気になるな…」

透くんは、気になると調べないと居られないタイプで、すぐにスマホを取り出して検索を始める。

『ちょっと待って!早く買い物終えないとお店の人にも迷惑だよ…』

そうは言っても調べ始めてしまえば、私の言葉は馬の耳に念仏だろう。

真剣にスマホを覗き込んでいる透くんを半ば置いていく形で、買い物を進める。

すぐに食べられるレタスやトマトを選び、値引きになったお惣菜とお弁当、朝ごはん用のパン、明日はお休みだからとビールも2本かごに入れたところで、透くんはスッキリした顔で私のところに戻ってきた。

「この曲は、【蛍の光】じゃなくて【別れのワルツ】という曲の可能性が高い」

『へぇ~そうなんだ』

「【蛍の光】は四拍子で、【別れのワルツ】は三拍子だそうだが…俺にはこの曲がどっちか分からないな…」

『うーん、三拍子じゃない?』

「やはりこの曲は【別れのワルツ】なんだな」

透くんは嬉しそうに今仕入れた知識を披露してくれるけれど、透くんの知識よりも、正直私は早く買い物を終える方が大切だ。

閉店前で一つしか空いていないレジへと急ぎ、レジ横で目に入った特売ポップの付いたチョコレートも追加して、レジにかごを置いた。

店員さんが手際よく商品をスキャンし、二人共用のお財布からお会計を済ませる。

袋詰めをしながら、

「蛍の光で思い出したんだが、蛍が光るのは、発光という現象で、蛍の光と書く蛍光とは違う現象なんだ」

また難しい話を嬉々と始めようとする。

『お腹空いたから、その話はまたお家でゆっくり聞かせて。ね、早く帰ろ!』

「ああ、すまない…」

重い袋は透くん、軽い袋は私が持って真っ暗な帰り道を二人の家に向かって歩いていく。

私は空いている方の手を、透くんの腕に絡める。

『透くん、好き』

通行人がいない隙を見て、背の高い彼に届くように声をかける。

「そ、そうか……」

ちょっと照れが混じる花形くんの声色に私はふふふと嬉しくなるのだった。

お家に帰ったらゆっくりお話聞いてあげるからね。

***
2023.9.21.
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