◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*038:目に見えない大切な物*赤木剛憲*
結婚してます。アニメの声優を務められた梁田さんに哀悼の意を込めて…
「ただいま」
『おかえり!お疲れ様』
「体調大丈夫か?」
『まぁ、ね。話したいことあるから早く着替えてきて!』
「おう」
病院に行くと言っていたから、その結果が良くなかったのでは…と少し不安になりながら、寝室へと向かう。
社会人になって5年、すっかり馴染んでいるスーツを脱いで部屋着に着替える。
1年前に結婚して家に帰れば出迎えてくれるパートナーもいて、「赤木の人生は順風満帆だな!」なんて上司に言われたばかりだが…
リビングへと戻れば、にやつく顔を必死に抑えているといった様子の名前を見て、悪いニュースではなく良いニュースなのだろうと分かり、幾分かほっとする。
が、病院からの良い知らせなんて検討もつかないから、病気ではなくて他に何か良いことがあったのだろう。
『ね、早く座って!』
「ああ…どうしたんだ?病院行くと言っていたから、心配していたが、妙に嬉しそうだな」
『ふふっ、あのね…赤ちゃん出来たみたいなの』
「……」
赤ちゃんということは、妊娠したということなのだろうか?
『剛憲くん?』
「す、すまない。実感がわかないんだ…」
『妊娠6週目だって』
「6週!?」
一ヶ月以上も気付いてなかったことに驚いてしまう。
『そう。最後の生理が始まった日が0日って数えるからね』
「俺は何も分かってないな…」
つわりというものがあるらしいというくらいしか、妊娠についての知識がないことに気落ちしてしまう。
『私も分からないことだらけだから、一緒に勉強していこ?』
「そうだな。それにしても、不思議な気持ちだな」
『私は、少し前からの不調が、この子が原因だって分かって、嬉しいのと不安なのと半々かな』
「大切なものがまた一つ増えることは嬉しいが…目に見えるのは、まだ先か…」
俺の言葉に、名前は白黒の写真を取り出した。
『これ、エコーの写真だけど、この小さい丸っこいのが私たちの赤ちゃんなんだって』
「ほう…でもやっぱり分からんな」
『剛憲くんらしいね』
「そうか?」
名前がそっと手を置いたお腹を見つめてみるけれど、やっぱりまだ子供が生まれると実感できるのはまだ先になりそうだ。
それまでは、今以上に名前を大切にしていこう。
そう思って、立ち上がる。
「今日は、俺が飯を作ろう」
『ありがとう。私は食欲なくって…ごめんね』
「なにか食べれそうなものあったら言ってくれ」
『うん…あのね、フライドポテトが食べたい』
「フライドポテト…?じゃあ、買ってくるから」
『ゴメンね』
俺は、ジャンパーを羽織って出かける用意をする。
ついでに、妊娠に関する本も買ってこよう。
大量のフライドポテトと大量の本をつい買いこんで呆れられたのは、ここだけの話だ。
***
2022.11.23.
梁田清之さんが命を吹き込んだアニメスラムダンクの赤木さんの声でお読みいただけたら嬉しいです。
ご冥福をお祈りいたします。
映画では赤木さんに新たな命を吹き込まれるのだと思い、新たな命の誕生を心待ちにする赤木さんを書いてみました。
ご不快に思われた方いらっしゃいましたら、申し訳ございません。
結婚してます。アニメの声優を務められた梁田さんに哀悼の意を込めて…
「ただいま」
『おかえり!お疲れ様』
「体調大丈夫か?」
『まぁ、ね。話したいことあるから早く着替えてきて!』
「おう」
病院に行くと言っていたから、その結果が良くなかったのでは…と少し不安になりながら、寝室へと向かう。
社会人になって5年、すっかり馴染んでいるスーツを脱いで部屋着に着替える。
1年前に結婚して家に帰れば出迎えてくれるパートナーもいて、「赤木の人生は順風満帆だな!」なんて上司に言われたばかりだが…
リビングへと戻れば、にやつく顔を必死に抑えているといった様子の名前を見て、悪いニュースではなく良いニュースなのだろうと分かり、幾分かほっとする。
が、病院からの良い知らせなんて検討もつかないから、病気ではなくて他に何か良いことがあったのだろう。
『ね、早く座って!』
「ああ…どうしたんだ?病院行くと言っていたから、心配していたが、妙に嬉しそうだな」
『ふふっ、あのね…赤ちゃん出来たみたいなの』
「……」
赤ちゃんということは、妊娠したということなのだろうか?
『剛憲くん?』
「す、すまない。実感がわかないんだ…」
『妊娠6週目だって』
「6週!?」
一ヶ月以上も気付いてなかったことに驚いてしまう。
『そう。最後の生理が始まった日が0日って数えるからね』
「俺は何も分かってないな…」
つわりというものがあるらしいというくらいしか、妊娠についての知識がないことに気落ちしてしまう。
『私も分からないことだらけだから、一緒に勉強していこ?』
「そうだな。それにしても、不思議な気持ちだな」
『私は、少し前からの不調が、この子が原因だって分かって、嬉しいのと不安なのと半々かな』
「大切なものがまた一つ増えることは嬉しいが…目に見えるのは、まだ先か…」
俺の言葉に、名前は白黒の写真を取り出した。
『これ、エコーの写真だけど、この小さい丸っこいのが私たちの赤ちゃんなんだって』
「ほう…でもやっぱり分からんな」
『剛憲くんらしいね』
「そうか?」
名前がそっと手を置いたお腹を見つめてみるけれど、やっぱりまだ子供が生まれると実感できるのはまだ先になりそうだ。
それまでは、今以上に名前を大切にしていこう。
そう思って、立ち上がる。
「今日は、俺が飯を作ろう」
『ありがとう。私は食欲なくって…ごめんね』
「なにか食べれそうなものあったら言ってくれ」
『うん…あのね、フライドポテトが食べたい』
「フライドポテト…?じゃあ、買ってくるから」
『ゴメンね』
俺は、ジャンパーを羽織って出かける用意をする。
ついでに、妊娠に関する本も買ってこよう。
大量のフライドポテトと大量の本をつい買いこんで呆れられたのは、ここだけの話だ。
***
2022.11.23.
梁田清之さんが命を吹き込んだアニメスラムダンクの赤木さんの声でお読みいただけたら嬉しいです。
ご冥福をお祈りいたします。
映画では赤木さんに新たな命を吹き込まれるのだと思い、新たな命の誕生を心待ちにする赤木さんを書いてみました。
ご不快に思われた方いらっしゃいましたら、申し訳ございません。